ついに、テンプレートが完成!!
CopilotのPowerPointは、もう「AIっぽい資料」しか作れない道具ではありません。
モデルにClaude Opus 5.5を選び、AIが書きやすいテンプレートを先に渡す。これで、KPIのカード、推移グラフ、経営の論点、施策のステップが並ぶ27枚の経営会議資料が、自分のテンプレートの見た目で出てきました。
Copilotが作った27枚のうちの1枚。数値はテンプレートの見本用に用意したサンプル値です。

少し前までは違いました。Copilotに「報告資料を作って」と頼むと、中央にタイトル、その下に箇条書きが5行。どこかで見た配色に、意味の薄いイラストが1枚。
「これなら自分で作ったほうが早い」。そう思って、Copilotのボタンを押さなくなった人は多いはずです。
この残念さ、僕もずっと感じていました。会議に出せる資料にするまで直していると、結局ゼロから作るのと時間が変わらない。
たとえるなら、腕のいいデザイナーに、会社の過去資料を1枚も見せずに発注していたさようなものです。腕があっても、会社の「いつもの形」は知りません。だから平均的な形で返ってきます。
変わったのは、Copilotの腕と、こちらが渡す「見本」の両方です。
この記事では、テンプレートの作り方から、Copilotに頼んで資料が出てくるまでの7工程を、実際の画面で全部公開します。読み終える頃には、明日の資料づくりで最初に開くファイルが決まっているはずです。では、始めます。
※本記事は2026年9月30日時点のMicrosoft公式公開情報(Microsoft Copilot Blog、Microsoft Support、Microsoft Learn)と、僕のPowerPoint画面に基づきます。表示や提供状況は契約とテナント(会社の契約単位)によって異なります。
第1章:CopilotのスライドがAIっぽくなる3つの原因
まず、なぜ「AIっぽさ」が出ていたのかを分解します。原因が分かると、直す場所もはっきりします。
原因①:見本を渡していない
Microsoft Supportの「Copilotでプレゼンテーションをブランドに合わせる」ページに、はっきり書かれています。Copilotはテンプレートの中のサンプルスライドを主な手がかりにして作り、サンプルが少ないとスライドマスターに頼るため、ありきたりなレイアウトになりやすい。
白紙から頼めば、Copilotは「平均的な資料」を思い浮かべて作ります。AIっぽさの正体は、この平均値です。
原因②:モデルが資料づくりに向いていなかった
Copilotの裏で動くAIモデルは、ここ数か月で入れ替わりました。Microsoftは7月にClaude Opus 5をPowerPointのモデル選択に加え、「より洗練された見た目、創造的なレイアウト、スライドの余白の使い方」を改善点に挙げています。
そして9月22日、Microsoft Copilot Blogで、Claude Opus 5.5がWord、Excel、PowerPointなどに順次提供されると発表されました。
原因③:作り方の手順を毎回説明していた
枚数はどうするか、どの図を使うか、数字の出典をどう書くか。これを毎回チャットに書くのは大変です。書かなければ、Copilotは毎回違う手順で作ります。
ここまでで、見本・モデル・手順の3つが足りていなかったことが見えました。次は、その3つをどう埋めたかです。
第2章:覚醒の正体は3つの部品 ── Opus 5.5・スキル・テンプレート
はっきり言います。コンサル品質の資料は、上手な指示文からは生まれません。部品をそろえた結果として出てきます。
部品①:Claude Opus 5.5(考えて書く担当)
PowerPointのCopilotウィンドウ右上で、使うモデルを選べます。僕の画面では「Opus 5.5」が選べる状態です。

僕のPowerPoint(Web版)の画面。表紙は自作テンプレートの1枚目。
公式の案内では、PowerPointでモデルを切り替えられるのは法人向けのCopilot契約です。また、選んだモデルはPowerPointを閉じると「自動」に戻ります。開くたびに確認する習慣をつけると安心です。
部品②:スキル(作り方の手順を覚えさせる担当)
9月23日、PowerPoint(Web版)のCopilotに、自分で作ったスキルを登録できる機能が入りました。スキルは、Copilotに「この手順で作って」を覚えさせておく仕組みです。
一度登録すれば、毎回の長い説明がいらなくなります。「+」から選ぶか、「@スキル名」と打つだけで呼び出せます。
部品③:テンプレートとブランドキット(見た目を決める担当)
会社で契約していれば、ブランドキットという機能で、ロゴ・色・フォント・テンプレートをまとめて配れます。必要なのはMicrosoft Copilotの有料ライセンスで、管理者が指定した担当者がキットを作る仕組みです。
僕は個人契約なので、ブランドキットは画面に出ません。その代わりに使うのが、自作テンプレートです。公式も、テンプレートを開いてから頼めば、Copilotはそのデザインとレイアウトを引き継ぐと案内しています。
会社ならブランドキット、個人ならテンプレート。どちらでも「見本を先に渡す」という芯は同じです。
第3章:AIが書きやすいテンプレートを作る5つの工夫
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。人が見て美しいテンプレートと、AIが使いこなせるテンプレートは、少し違います。
僕が作ったのは、朱色を主役にした150枚のテンプレートです。

表紙、目次、章扉、カード、ステップ。1枚ごとに役割が違う。
工夫①:型の種類を増やす
グラフ、ファネル、ヒートマップ、2×2、ロードマップ、ガント、比較表。見本の種類が、そのままCopilotの引き出しになります。

見本が少ないと、Copilotは箇条書きに逃げる。150枚あると、内容に合う形を選べる。
工夫②:仮文で「何を書く場所か」を示す
どのスライドにも「タイトル」「サブタイトル(リード文)を入力します」「本文を入力」といった仮文を入れています。空欄より、何を書くかが文字で書いてある方が、Copilotは迷いません。
工夫③:見出しの下に、結論を書く枠を固定する
全ページの見出しの下に、枠で囲ったリード文の場所を置きました。「このスライドで伝えたい結論を2〜3行で書きます」と仮文で指示しています。コンサル資料らしさは、この「1枚1結論」から生まれます。
工夫④:色に役割を決める
主役の朱色、段階を示す中間色、淡い地の色。色の役割が決まっていると、Copilotが色を勝手に増やしません。明るい色の上には濃い文字、濃い色の上には白い文字、という組み合わせもテンプレートの中でそろえてあります。
工夫⑤:フォントとサイズを固定する
フォントはメイリオ、見出しと本文の大きさも見本の中で決めています。見本ごとに文字の大きさがそろっていれば、出来上がった資料のページごとに文字の大きさがばらつくことも防ぎやすくなります。
5つに共通するのは、「Copilotに考えさせる部分」を減らすことです。考えなくていい部分をテンプレートが引き受けるほど、Copilotは中身に集中できます。
第4章:実際の画面で追う7工程
ここからが本番です。プログラミングは一切いりません。PowerPointを開いて、画面の順に進めるだけです。
STEP1:テンプレートを開いて、モデルを選ぶ
テンプレートのファイルを複製して開きます。元のテンプレートを直接書き換えないためです。右上のCopilotを開き、「編集を許可する」がオンになっていること、モデルがOpus 5.5になっていることを確かめます。
STEP2:スキルを登録する
Copilotの「+」から「スキルの選択」に進み、カスタムスキルを追加します。手動で作る場合は、名前・説明・手順の3つを書きます。

説明には「いつ使うスキルか」、手順には「どの順番で作るか」を書く。説明と手順は、それぞれ1,024字まで。
字数に上限があるので、要点を絞って書くのがコツです。
STEP3:登録されたか確かめる
登録したスキルが一覧に出て、スイッチがオンになっていれば完了。

STEP4:スキルを呼び出す
入力欄の「+」から「スキルの選択」を開くと、最初から入っているスキルと並んで、自分のスキルが表示されます。

「このプレゼンテーションのレビュー」「質問に備える」は最初から入っているスキル。自作スキルも同じ場所から呼べる。
STEP5:依頼を送る
依頼文は「資料の条件」と「素材」の2つに分けて書きます。数字や決定事項は、依頼文にそのまま貼ります。自分の仕事で使えるよう、形を整えた例を紹介します。
@(自分のスキル名) 開いているテンプレートを使って、経営会議向けの報告資料「(資料名)」を作ってください。
■資料の条件 ・種類:報告(経営会議資料) ・読む人:経営陣(社内向け) ・発表時間:30分 ・結論:(一番伝えたいことを1文で) ・章立て:(章の名前を順番に)
■素材(数値はこのとおりに使い、ここに無い数値は作らない) 【章1】(数字と事実を箇条書きで) 【章2】(数字と事実を箇条書きで)
■お願い ・数値の出典はスライドの注記に「※出所:〜」で入れる
「ここに無い数値は作らない」の1行は、Copilotがもっともらしい数字を足してしまうのを防ぐための一文です。
STEP6:入力確認と枚数を選ぶ
送信すると、Copilotはいきなり作り始めません。まず、読み取った条件を整理して、枚数を3つの案で聞いてきます。

条件の読み取り結果と、枚数の3択。選んでから次に進む。
いきなり作らせないのには理由があります。最初に条件と枚数を確かめておけば、作り直しが減ります。
STEP7:構成を確かめて、作らせる
枚数を決めると、構成案が出て、スライドの作成に進みます。今回は27枚の資料になりました。途中で止まったときは、次の1文で続けさせます。
続きを作成してください。すでに作ったページは変えずに、次のページから進めてください。
第5章:Copilotが作った27枚と、出す前に人が見る3つのこと
言葉だけだと伝わりにくいので、実際にお見せします。今回Copilotが作った「生成AI利用状況レポート」です。数値はすべて、テンプレートの見本用に用意したサンプル値です。

表紙から裏付けの付録まで、全27枚。章扉を挟んで5つの章に分かれている。

3枚目で、いきなり結論を3つ。経営会議の資料は、この順番が基本です。

見出しは「人数・頻度・体験は別の指標として読む」。数字を並べるだけでなく、読み方まで書いている。
見た目以上に驚いたのは、中身の書き方です。コンサルの資料らしさは、飾りではなく「言い過ぎない誠実さ」に出ます。今回の27枚には、それが入っていました。
特徴①:章ごとに「論点」のページがある

事実を並べて終わりにせず、「経営として何を決めるか」を問いの形で出している。
特徴②:数字の限界を自分で書いている
ROIのページには「年間効果のすべてが現金の削減額であるとは扱わず、算定根拠の継続確認が必要」とあります。削減工数のページには「合計41,600時間はFTE約260名分の工数換算値であり、260名の削減や同額の人件費減を意味しない」と書かれていました。

数字は大きく見せつつ、リード文で「言い過ぎない」。
特徴③:計画には「案」と付け、実績と分けている

「実績ではなく今後の計画です」と、リード文で明言している。
特徴④:分からないことは「要確認事項」として残している

出所を特定できない数値を推測で埋めず、確認事項として一覧にしている。
白紙から頼んだときの「中央にタイトル、下に箇条書き」とは、見た目も中身もまったく違います。——でも、ここで終わりにはしません。
出てきた資料は、会議に出す前に必ず人が見ます。見るのは3つだけです。
確認①:数字が素材と合っているか
素材に書いた数字と、スライドの数字を1つずつ突き合わせます。数字の間違いは、資料全体の信用を落とします。
確認②:「要確認事項」を埋めたか
Copilotが付録に残した確認事項は、人が答えを出す宿題です。算定方法や調査の母数を確かめて、埋めてから会議に出します。
確認③:公開してよい情報か
社外に出す資料なら、社内の数字や人名が混ざっていないかを見ます。
最後に、注意点を2つ書いておきます。
注意①:モデル選択の条件
公式の案内では、PowerPointでのモデル選択は法人向け契約が対象です。自分の画面に選択肢が出ているかを、まず確かめてください。
注意②:大きな資料は分けて頼む
公式ヘルプにも、大きく複雑なプレゼンテーションは処理の上限を超えることがあると書かれています。50枚を超えるような資料は、前半と後半に分けて頼むと安定します。
まとめ:資料の出来は、頼む前に渡すもので決まる
以前、僕は「Copilotを変えたたった5つの工夫」という記事を書きました。あれは、頼み方と仕上げ方の話でした。今回はそこから一段、進化させています。
CopilotのPowerPointが変わったのは、Opus 5.5という新しいモデルが入ったからだけではありません。見本を渡すテンプレート、手順を覚えさせるスキル、会社の見た目を配るブランドキット。この3つがそろって、はじめて「AIっぽさ」が消えます。
指示文を磨くより先に、Copilotに渡す見本を磨く。これが、コンサル品質の資料への一番の近道です。
とはいえ、いきなり150枚のテンプレートを作る必要はありません。やることは、1つだけです。
過去に作った資料の中から、気に入っている5枚を選び、1つのファイルにまとめてテンプレートにしてください。
そのファイルを開いてからCopilotに頼むだけで、出てくる資料の見た目は自分の資料に近づきます。一度この差を見ると、白紙から頼んでいた頃には戻れません。
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