「お、お客さんの肋骨がパカッと開いてるな、腹筋が弱そうだし、吐き切る意識でドローインをやってもらおう」
↑これ半分しか合ってないです
肋骨の開き(リブフレア)を、腹筋の弱さだけで片づけないでほしいです
「胸郭の拡張パターン」を先に見るといい
もう少し噛み砕いていきます
■自分が肋骨の開きをどこで判断しているか
多くのトレーナーは「肋骨が開いてるのは腹筋が弱いからだ」と考えます

ただ自分が最初にやるのは「見ること」です
- 肋骨の下の縁が前に浮いてきていないか
- 吐いた時に、そこが収まるか
見た目で開いてそうだなと思って、あとで確認したら全然違った、という経験はあまりないです
なので自分は、視診、つまり見て取る情報を指導の判断に使っています
ただ見ただけで何度開いてるとか、原因はこれだと確定できるという話ではないです
見ているのは、今日の指導をどこから始めるかの判断材料です
「触って確かめた方が早いでしょw」
と思った方もいるはずです
ただ、下位肋骨は女性のお客さんだと胸の下です
センシティブな場所なので、自分は無理に触りにいかないです
触らないと進まない評価を前提にすると、やらない日が出てきます
だから見て判断して、種目をやった直後に、同じ所をもう一度見る
評価→アプローチ→再評価、この3工程で考えています
■なぜ下位肋骨が「前に逃げる」のか?
正常な吸気では、胸郭は前後・左右に拡張し、横隔膜が下降して腹部も膨らむ
この全方向拡張ができなくなるとどうなるか?
肺は空間を確保しなきゃいけない
だから一番楽な方向に逃げる
その逃げ道が「下位肋骨を上外方に持ち上げる」という代償パターン(前逃げパターン)です

ここは「機能解剖で考えるとこう説明できる」という範囲の話です
肋骨の開きが全員これ一つで決まるとは言えません
後方胸郭に拡張の余地が残っている人なら、背中側を開くことで、肋骨が前に逃げなくて済む
自分が指導でカギに置いているのは、この後方胸郭の拡張です

腹筋を鬼のように鍛えることはそこまで必要ない
もちろん腹筋が完全に無関係とは言わないけど、それだけではないです
■まず呼吸の型を叩き込む
(↑鬼滅っぽくなってしまったw)
これから後方胸郭の拡張を取り戻す種目を紹介しますが、2種目とも同じ呼吸方法を使います
これが土台なので、ここがバグってると種目をいくらやっても変わらないです
【呼気】

口からゆっくり、溜息をつくように吐く
「誰かに本気でがっかりした時の溜息」をイメージしてください
5〜10秒かけて、長く柔らかく
吐き切ったとき、下位肋骨が下がるのを感じる
そして腹部の側面(腹斜筋群)にわずかなテンションが入る
シックスパックじゃなくて、横腹ですね
【吸気】
- 口を閉じて、舌を上顎につける
- 鼻から静かに吸う
- 3〜5秒かけて、音が出ないくらい静かに
このとき背中側が膨らむ感覚が出れば正解
【ポイント】
呼吸の仕事量が増えると、首周りの筋肉が働きやすくなります
なので自分は、吸気の音が聞こえたら、首の方で吸い込んでる合図として扱って、静かに吸い直させています
お客さんには「自分の吸気の音が聞こえない」を物差しにしてもらってください
※音の有無で代償を判定できるという根拠は確認できていないです。自分はキューとして使っています
呼気の終わりに感じた側腹のテンション、これを10段階中2くらいの強度で維持したまま吸気に入る
ここが真髄です
全部手放してから吸うと、また前逃げパターンに戻る
この10段階はお客さんの中の目安です
伝わらない人には、呼気の終わりに横腹を自分で触らせて、その感じを残したまま吸う、で足ります
■自宅でできる2種目を叩き込んでいきます
【種目①】チャイルドポーズ・ブリージング

用意するもの ― 枕1つ(半分に折る)
【やり方】
- 枕を半分に折り、下位肋骨〜腹部の下に敷く
- チャイルドポーズの姿勢をとる(お尻を踵に向けて引く)
- 肘を膝の方向に近づけ、内側の肘が軽く触れる位置をキープ
- 100%リラックスした状態で呼吸シーケンスを実行
【注意点】
- 頭はニュートラルポジション(上げすぎない、下げすぎない)
- お尻が踵まで届かない場合 → フォームローラーを膝裏に挟んで距離を縮める
- 肘が届かない場合 → 肘を少し外に広げて手を合わせるポジションでOK
背中が膨らむ感覚は、これでほぼ理解していただけます
【種目②】座位フォワードリーチ・ブリージング

用意するもの ― 枕1つ(半分に折る)+椅子+踏み台(任意)
【やり方】
- 椅子に座り、膝と股関節が90°になるポジションを作る(踏み台で高さ調整)
- 坐骨が左右均等に椅子に当たっているのを確認
- 枕を半分に折り、下位肋骨と太ももの上端の間に挟む
- 両腕を枕の上に乗せ、肘を曲げて手のひらを自分側に向ける
- そのまま前方にリーチして軽く前傾する
- この姿勢のまま呼吸シーケンスを実行
【注意点】
- 頭はニュートラル(前に突き出さない、引きすぎない)
- 吸気時に体を起こしたくなるのは「腹側に呼吸を入れて伸展しようとしてる」サイン → 起き上がらない
- むしろ少し丸まってるくらいの方がこの種目では正解
- 目的は「背中側の肋骨を開くこと」なので前側を開く必要はない
【ポイント】
吸気時に「起き上がりたい」と体が動いたら、それが前逃げパターンそのもの
その衝動を封じて、背中だけに呼吸を入れましょう
2種目の違いは、やる場所と姿勢だけです
体の状態で種目が決まる、という分け方ではないです
床で丸まれる人は①
床に降りるのがつらい人、仕事中に椅子でやりたい人は②
①で背中が膨らむ感覚を掴ませて、②を宿題に渡す、という組み方もできます
どちらも2セット × 5〜10呼吸サイクルが目安
やった直後に立ち上がって、最初に見た所をもう一度見てください
その場で変化が出る人もいます
変わらない人もいます
ただその時は、今日の入口は呼吸じゃなかった、という情報が手に入ります
リブフレアを「腹筋の弱さ」だけの問題にしない
自分が先に見るのは、胸郭が後ろへ広がっているかどうかです
腹筋を死ぬ気で鍛えても、拡張が出ないままだと開いたままの人がいます
逆に呼吸パターンが変わるだけで、一撃で変化が出ることもある
お客さんの肋骨が開いてたらまず「呼吸」を見ましょう
腹筋の前に「後方胸郭」です

■P.S.
リブフレアを見て「腹筋が弱い」で止まるか、胸郭の広がり方まで見るか
同じお客さんを前にしても、見えてる景色がまるで違う
どこを見て、何を出して、どこで変化を確認するか
その順番を持ってるかどうか、それだけです
加えてこれは、肋骨に限った話じゃないです
膝が内に入る、腰が反る、肩がすくむ
どれも、見た所で止まるか、動いていない場所まで見るかで、その日の指導が変わります
症例をたくさん見てきたかどうかとは、別の話です
評価の順番と、変化が出なかった時に切り替える基準を持っているかどうかです
・無数にある評価の中から、まずアライメントと動作分析を選ぶべき理由
・ゴッドハンドにならなくても再現できる、アライメント修正の型
・お客さんが納得できる言葉で体の状態を説明する伝え方
この辺りを今後、公式LINEの方で配信していく予定です
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