8,000 体の AI エージェントが躍動:リコーが経営企画の工数を 2 か月から 4 時間に短縮した方法

@ai_yorozuya
日本語2 日前 · 2026年6月30日
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TL;DR

リコーは、ワークフローの可視化と無駄の排除を徹底することで、8,000 体の AI エージェントの導入に成功しました。この戦略的アプローチにより、経営企画の策定時間を数か月から数時間へと劇的に短縮し、スタッフが創造的な判断に注力できる環境を実現しました。

90年続く製造業がたどり着いた、人が創造的な仕事に集中するためのAIの入れ方

社員3万人と、8000体のAIエージェントが、机を並べて働いている会社が日本にあります。

しかも、最先端のITベンチャーじゃありません。

1936年創業、今年で90歳になる、あの製造業のリコーです。

「うちは古い会社だから、AIなんて無理」

そう思っている人ほど、この記事を読んでほしいんですよね。

なぜなら、リコーがやったことは、特別な天才集団だからできたことじゃないからです。むしろ逆で、「正しい順番」を守っただけ。

この記事を読むと、あなたの会社で「ChatGPTを2年使ってるのに、なぜか効果が出ない」という状態が、なぜ起きているのかが分かります。

そして明日から、AIを入れる順番を、ひっくり返せます。

3万人の社員と、8000体のAIが机を並べる会社

まず、数字から。

リコーは世界で約7万8000人が働く会社です。そのうち国内は3万人。

で、2026年1月末時点で、国内だけで8000体のAIエージェントが動いているそうです。

8000ですよ。びっくりしますよね。

しかも、この8000体を作っているのは、3000人弱の社員。つまり全従業員の、たった10%です。

この10%が、勝手にどんどんAIを作って、仕事をさせている。

ここで大事なのは、リコーが「あの複写機の会社」だってことなんです。

物を作るビジネスが基盤で、今でこそデジタルサービスやAIの売上が半分を超えましたが、もともとはコテコテの製造業。

図面を手書きして、次の人に渡して、っていう世界です。

そういう伝統的な会社が、スタートアップより速くAIを回している。

ちなみに、創業100年以上の企業って、日本に4万5000社もあるんです。世界の100年企業の、半分以上が日本だそうです。

つまり「古いから無理」じゃなくて、「古い会社こそ、まだ伸びしろが眠っている」という話なんですよね。

AIを2年使っても効果が出ない、本当の理由

ここからが本題です。

リコーには今、こういう相談がめちゃくちゃ増えているそうです。

「使いたいところにとりあえずChatGPTを入れて2年。でも、どうも効果が出ない。組織の壁を越えていかない」

これ、心当たりある人、多いんじゃないでしょうか。

理由は、大きく3つあります。

1つ目は、生産性の問題。

日本の生産性は、OECD加盟38カ国のうち29位(2024年のデータ)。下から数えた方が早い順位です。デジタルで世界を引っ張るアメリカと比べると、約半分しかありません。

なんでこうなるか。原因は「属人的な仕事のやり方」です。

ITにいくらお金を投資しても、仕事のやり方そのものが変わってなければ、生産性は上がらないんですよね。

2つ目は、データの問題。

会社の中にあるデータの70〜90%は、「非構造化データ」だと言われています。

非構造化データって、簡単に言うと「人についている勘・コツ・ノウハウ」のこと。手書きの図面とか、ベテランの頭の中にしかない知恵ですね。リコーはこれを「暗黙知」と呼んでいます。

これを整理しないまま、AIに「うちの仕事を手伝って」と言っても、渡すデータがそもそも汚いんです。

だからAIも、正しく動けない。

面白いのが、ドキュメントを読むAIに表が入った瞬間、急に読めなくなったりする。秘伝のタレみたいな技術情報は、クラウドに上げたくないからオンプレでやりたい、なんて葛藤も出てくる。

つまり、いきなり使いたい業務にAIを放り込んでも、土台ができてないと効かない、ということなんですよね。

ステップ1 まず仕事を「見える化」して、2割の無駄を消す

じゃあリコーは何から始めたのか。

AI導入じゃないんです。

最初にやったのは、社員に「働く余白」を作ること。

アップデートとか新しい技術って、時間のない人には使えないんですよね。だから、まず時間を空ける。これをステップ1にしました。

具体的には、1000人・115セクションで「今、どんな仕事をしているか」を全社で見える化した。

そうしたら、面白いことが分かったんです。

コロナの在宅勤務のとき、「何やってるか分からないから、確認のための会議をやろう」っていうのが、ものすごく増えていた。

それを数字で見ていくと、マネジメントが「あ、この仕事、もうやらなくていいですよね」と気づく。これで5〜6%の仕事がやめられる。

次に、似たような仕事を複数の組織が別々にやっていた。これを1つに寄せる。また少し減る。

そして、残った「本当に必要な仕事」を標準化する。標準化できると、今度は自動化の技術が効くようになる。

これを1年ちょっと、しつこくしつこく続けて、リコーは20%の業務改善を達成しました。

ここに、僕らがそのまま盗める学びがあります。

日本の「みんなで拾って、繋いでいく」働き方。これ、いいところでもあるんですが、実は「やらなくていい仕事」を生み出していたんですよね。

誰かが落としたボールを、自分の仕事じゃないのにみんなで拾う。優しいんだけど、仕事だけがどんどん増えていく。

だからまず、自分の仕事を1週間、見える化してみる。

それだけで「あれ、この会議いる?」が見えてきます。

ステップ2 全員が「1つだけ」AIを使い始める

20%の改善のうち、10%くらい目処が見えた時点で、リコーは次の手を打ちました。

「全社員が、仕事の中で1つだけAIを使う」

ここでポイントなのが、いきなり全員に丸投げしてないこと。

まず「このAIなら安全に使っていいですよ」というガードレールを、ちゃんと設計した。そのうえで、教育と成功事例をワークショップでみんなで共有した。

土台(ステップ1の見える化と標準化)があるから、AIに渡すデータがきれいになっている。だからAIが効く。

この順番なんですよね。

で、結果がさっきの8000体です。

具体例を1つ。

リコーは、お客さんの経営課題を聞いて解決する会社でもあります。大手企業のCEOやCIOと話すので、事前準備がめちゃくちゃ大事。

ベテラン社員が、相手の会社の統合報告書とか公開情報を全部読んで、「この会社の課題はこうだな」と仮説を立てる。

これが1社あたり、4〜5時間もかかっていたんです。

そのベテランの暗黙知をAIに覚えさせたら、AI同士が仮説検証をしながら提案書の案を作ってくれるようになった。

結果、ベテランの時間が75%削減。100の力でやっていたことが、25でできるようになったんです。

しかも、いいことがもう1つ。

そのベテランの勘が、中堅や若手にも伝わるようになった。AIと一緒に働くことで、ナレッジが伝承されていくんですね。

これ、マーケティング部門だけの話じゃありません。バックオフィスでも、SCMでも、販売の最前線でも、同じような効果が複数出ているそうです。

4〜5時間が1時間ちょっとに。あなたの会社の「毎回ゼロから資料を読み込む作業」も、同じことができるかもしれません。

ステップ3 浮いた時間で、人を「創造的な仕事」へ回す

そして、ここが本丸です。

空いた時間で、人にしかできない仕事をさせる。

リコーには、こんな会議室があります。

大型のLEDディスプレイの裏に、5つのAIが実装されている。

社員が議論すると、AIが発言を文字にして、正しい日本語に直して、意味を理解して構造化してくれる。

だから社員は、議論とアイデア出しだけに集中できる。最後に「これ面白いね」と投票して意思決定する。その進行役のサポートまで、AIがやってくれる。

で、すごいのがここから。

来年から始まる中期経営計画。経営幹部10人くらいで、この部屋でディスカッションした。

従来のやり方なら、おそらく2ヶ月くらいかかる内容です。

それが、4時間で終わったそうです。

2ヶ月が、4時間。

この「人を創造的な仕事へ回す」って話、ゲストの経営学者・楠木建さんの言葉がしっくりきました。

働くことには、ワークとプレーがある。

ワークは、スキルを提供して対価を得ること。決まったルールの中の作業ですね。これはAIの方が速いし、正確だし、疲れない。

でもプレーは違う。大谷翔平選手みたいに、その人ならではのセンスや判断で価値を出す仕事。

AIが奪うのは、決まった作業の方。人に残るのは、センスと判断なんです。

だからAIをうまく使うほど、人間の仕事はむしろ高度になっていく。

リコーは、社員の創造性を育てるために、2019年からアクセラレータープログラムというのもやっています。

新規事業のアイデアを、社員とスタートアップが一緒に出す。200くらいのアイデアをガチンコのピッチで戦わせて、最後に5〜10案を選ぶ。これを7年続けている。

こうやって、社員の自立と創造性を養っているんですね。

あなたの会社でも、できる。ただし順番を間違えないこと

ここまでをまとめます。

リコーの結論は、シンプルです。

「使いたいところに、すぐAIを入れない」

この順番を守る。

  1. まず仕事を見える化して、時間を作る
  1. 無駄を取って、似た仕事を寄せる
  1. 標準化する
  1. そこで初めて、AIを正しく使う環境を整える

この順番だから、社員が動き出す。逆にすると、効果が出ないんですよね。

もう1つ、大事な学びがあります。

AIには、2つの面があるんです。

1つは、苦痛な作業をなくす「マイナスをゼロに」。早く家に帰れる、面倒が消える。これはすぐみんな喜ぶ。

でも、これだけだと続かないんです。

もう1つの「ゼロからプラスへ」。人が新しい価値を生む方。ここまで設計して初めて、AI導入は本物になる。

昨日より今日、今日より明日が良くなって、その活動に自分が関わっている。この実感が、人を動かすんですよね。

リコーのイサ高弘さんは、こう言っていました。

「リコーができたんだから、他の企業も絶対できます」

そして、こうも。

「AIは、日本企業のために出てきたと思っている」

なぜなら、世の中のオープンなデータは、もうAIが学習し尽くした。残っているのは、企業の中に眠っているデータ。

そして、その企業内データを世界で一番持っている国は、日本なんです。

90年の老舗にも、あなたの会社にも、まだ誰も掘り出していない宝が眠っている。

だからまず、明日から1週間。

自分の仕事を、見える化してみてください。

「あれ、この作業いらないかも」が見つかったら、それがあなたのスタートラインです。

効果が出なかったのは、能力のせいじゃない。順番が逆だっただけなんですよね。

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