司が部下を正しく指導や育成する義務はないのですよね。
多くの企業で、「正しく指導する」「部下を育成する」ことが職位定義表や人事考課に入ってないのです。入っていても数%程度の評価配分。
多くの企業の管理職評価は、だいたいこんな感じです。
業績評価 60%
- KPI達成率:チーム全体の数値目標に対する達成度
- 戦略遂行:会社の中長期方針に沿った施策を実行できたか
組織運営 30%
- 業務改善:プロセス見直し、効率化やコスト削減
- チームビルディング:モチベーション維持、円滑なコミュニケーション、エンゲージメント、定着率
- 人材育成:スキルアップやキャリア形成支援 ←ここにひとつまみ。しかも研修受けさせたとか、セミナー行かせたとかで大体「〇」が貰える
規律管理 10%
- 法律や社内ルールの遵守、メンタルヘルスケア、ハラスメント防止
でも目的的には、業績評価で「チームの成果をあげる」とかは入ってますよね?そこで育成や指導も必要になりませんか?
ならないですね。
チームの成果を上げるなら、デキる部下と自分に業務を集中させた方が手っ取り早いです。
100の作業量があるとして、
- 自分(上司):45
- デキる部下A:35
- 部下B:15
- 部下C:5
と分配するほうが早く終わる。
何度か育成や指導を試みても改善の兆しがない人に、自分の時間を使うのはもったいない。
めんどくせえなあ、って話ではなくて、ROIが合わないのです。
育成のROI
2〜3年でチームは変わるかもしれない。 育成がうまくいっても、その成果が出てくるのに1年はかかる。 そして正直、「この人はたぶんうまくいかないだろうな」と少し思ってる。
それでも自分を奮い立たせて、フィードバックして、レビューして、メンタリングして。 先回りして準備して、デキる人には用意しなくていいものも用意して。
任せないと力は伸びないけど、無理な時にやったらぱーんってなるから、相手の状況を見極めつつストレッチなものにチャレンジさせて。
当然うまくいかないことが多いので、リカバリーが必要。プライド傷つけないように作業を巻き取ったり、 迷惑かけた先に裏で謝罪行脚したり。パワハラと言われないように、また慎重に指摘して。斜め上や他の部下にもケアのお願いして。
このあたりが育成にかかるコスト。
つまり、ハイリスク・ウルトラローリターンなのです。
上司も部下や後輩を育てないと、将来自分も困ってしまうこともわかっています。
でも目の前の仕事もある。
つまり投資判断ですよね。リソース配分を、生きていくための生活費と将来の希望にどう配分するか。
がっつり育ててくれる上司は「スーパーレア」
手取り足取り、時間も労力もかけてくれる上司。 個人的には、そうあるべきと思います。
でも力学的に難しい。
チーム成果60%で評価される人間が、ROIが恐ろしい育成に全力投球するのは、構造的に無理がある。それでも数パーの評価のために育成するならば、デキる部下にはがっつり、そうでない部下には有料セミナーとか社外交流会、それに全社横断PJT(自分の監督下ではないところ)とかにガンガン行かせる。それで評価上の名目は立つ。
では、それでも育ててくれる上司はどんな人か。
仏か、育成が趣味か、天然の先輩肌か。
そしてそんな人は体感10人に1人いるかいないかくらいです。
だからこそ、知っておいてほしいこと
「上司は無能で育ててくれない」「指示出しも下手くそ」と嘆く前に、この構造を理解しておくことが大事です。
上司が雑なのは怠慢ではない。
評価構造と時間制約の中で、合理的に判断した結果、低リソースで伝わる人と集中的に仕事している。
だとしたら、「がっつり面倒見てもらえる前提」で待つのは、かなりリスキーな戦略です。
もし10人に1人のスーパーレアな上司に出会えたら、それは本当にラッキー。全力で吸収したほうがいい。
でもそうじゃないなら、自分で自分を育てる仕組みを持っておくこと。それが、構造を理解した上でのいちばん現実的な戦略だと思います。
その他、上司を攻略する方法の完全解説版noteがありますので、よろしければ是非どうぞ。
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