「頼れる人が、誰もいない」
「この仕事、結局わたしがやるしかない」
「AIとか、なんか手抜きっぽくて怖い」
そんなふうに、心の中で呟いていませんか。
真面目で責任感の強い人ほど、仕事を人に振れません。
頼み方がわからない。
断られるのが怖い。
そして「自分でやったほうが早い」と結論づけて、また全部を背負い込む。
気づけばタスクは山積み。
時間も気力もすり減って、休日は寝るだけで終わる。
誰にも助けを求められないまま、静かに窒息しかけている。
そんなあなたを救う、最強の生存戦略があります。
モデルになるのは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんです。
「AIと5股している」という異常な発言
田村淳さんは、複数のAIツールを同時に使い分けています。
本人いわく「5股以上」。
ChatGPT、Gemini、Claudeといった生成AIを、目的ごとに使い分ける。
1つに絞らない。
浮気しまくる。
しかも扱い方が独特です。
彼はAIを「遊び道具」として消費しない。
ビジネスパートナー、あるいは部下のように接する。
そして必ず、お礼を言う。
相手は機械です。
感謝されても嬉しくない。
それでも、言う。
一見するとただの変わった習慣に見えます。
ですがこの行動を科学的に分解すると、そこには極めてロジカルで、優しい自己防衛システムが隠されていました。
一人で抱え込む人生から降りるための技術。それが淳さんのAI活用術の正体です。
今回は、その思考法を3つのメソッドに分けて解説します。
➀ 「5股」で依存先を分散させる
「依存先の分散」理論
【事実】
淳さんは1つのAIに忠誠を誓いません。
文章の構成はこれ。
アイデア出しはこっち。
画像はあっち。
自身が運営するオンラインサロン「大人の小学校」でも、コミュニティ内で使うゲームやアイテム、企画の制作にAIを投入している。
用途に応じて、相棒を取り替える。
【科学的解説】
ここで効いているのが、小児科医で東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎氏の有名な言葉です。
熊谷氏は「自立とは依存先を増やすことである」と述べています。
脳性まひの当事者である熊谷氏は、健常者が自立して見えるのは、依存する先が水道・電気・交通・人間関係と無数に分散しているからだと指摘しました。
逆に、依存先が1つしかない状態こそが「依存症」なのだと。
つまり、こういうことです。
・依存先が1つ=その1つが倒れたら終わり
・依存先が5つ=1つ倒れても平気
あなたが苦しいのは、依存先が「自分」しかないからです。
世間は言います。
「まずは一つのツールを使いこなしてから」
「浮気せず一つを極めろ」
あっさり否定します。
極める必要なんてない。
薄く広く、いろんな相手に寄りかかっておく。
そのほうが、圧倒的に折れにくい。
これは「ズルさ」ではありません。
リスク管理です。
投資の世界で分散投資が常識であるように、頼る相手も分散しておくのが合理的すぎるのです。
⓶ 「部下」として扱い、指示を出す練習をする
「認知的負荷」の外部委託
【事実】
淳さんはAIを、部下やビジネスパートナーとして扱います。
「これやっといて」ではなく、背景を伝え、目的を共有し、修正を返す。
やり取りの形が、完全に「人に仕事を振る」形式なのです。
【科学的解説】
ここで重要になるのが、心理学者ジョン・スウェラーが提唱した「認知的負荷理論」です。
人間の脳が同時に処理できる情報量には、明確な上限があります。
タスクを抱え込むと、脳の作業スペースが埋まる。
すると、判断力そのものが落ちる。
あなたが夕方になるとイライラするのは、性格が悪いからではない。
単純に、脳の容量が限界だからです。
だから外に出す。
・考える作業をAIに投げる
・叩き台を作らせる
・自分は判断だけする
そしてもう1つ、隠れた効能があります。
AIへの指示出しは、そのまま「人への頼み方の練習」になる。
頼るのが下手な人は、頼み方を知らないだけです。
何をどこまで任せるか。
どう伝えれば伝わるか。
AI相手なら、何度失敗しても嫌な顔をされません。
断られない。
陰口も言われない。
頼るのが怖い人にとって、AIは世界で一番安全な「頼る練習台」なのです。
「まずは自分の頭で考えろ」という説教は、もう捨てていい。
考える前に、まず投げる。
その順番でいいのです。
⓷ 「お礼を言う」ことで、自分の人格を守る
「セルフ・パーセプション理論」の応用
【事実】
淳さんはAIとのやり取りで、必ずお礼を言うといいます。
相手は感情を持たない。
それでも、丁寧に接する。
さらに彼は、自身の声質や話し方を再現した「AI田村淳」を制作し、番組のニュース読み上げなど実験的な試みに使っています。
分身をつくり、自分の仕事を分けて持たせる。
ここまでくると、もはや相棒どころか「もう一人の自分」です。
【科学的解説】
お礼を言う行為には、科学的な意味があります。
社会心理学者ダリル・ベムが提唱した「自己知覚理論」によれば、人は自分の行動を観察して、そこから自分の態度や性格を逆算します。
つまり、順番が逆なのです。
・優しいからお礼を言うのではない
・お礼を言うから、優しい人になる
ここが本質です。
AIを道具として雑に扱い続けると、その雑さは人間相手にも滲み出します。
逆に、相手が機械であっても丁寧に接し続ける人は、自分自身の「丁寧さ」を保存できる。
お礼は、AIのためではない。
自分の人格を守るための儀式なのです。
ちなみにOpenAI CEOのサム・アルトマン氏は2025年、ユーザーが「please」「thank you」と入力することで発生する電気代について問われ、「数千万ドル規模だが、うまく使われた金だ」という趣旨の投稿をしています。
お礼にはコストがかかる。
それでも、意味がある。
この感覚は、そのまま人間関係にも当てはまります。
【まとめ】
真の強さとは、すべてを一人で背負い切ることではない。
頼れる相手を、何人も確保しておくことだ。
努力の量ではなく、誰と組むか。
根性ではなく、分散。
田村淳さんがやっているのは、最先端の技術活用ではありません。
「一人で戦わない」という、極めて古典的で、したたかな生存戦略です。
抱え込む人が偉いのではない。上手に降ろせる人が、長く続くのです。
次にあなたが、山積みのタスクを前にして「結局わたしがやるしかない」と呟きそうになった時。
心の中で、こう呟いてみてください。
「これは、わたしが背負う分じゃない」
そしてスマホを開いて、AIに投げてしまえばいい。
5股でも6股でも構いません。
浮気を咎める相手は、どこにもいないのですから。
一人で全部やるという呪縛を手放せた瞬間、肩に食い込んでいた重い鎖はスッと解けるはずです。
あなたが今日、最初に手放していいものは何でしょうか。
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参考文献
・熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター)「自立とは依存先を増やすこと」に関する各種講演・寄稿
・John Sweller「Cognitive Load Theory」(認知的負荷理論、1988年提唱)
・Daryl J. Bem「Self-Perception Theory」(自己知覚理論、1972年)
・サム・アルトマン(OpenAI CEO)による2025年のX投稿(ユーザーの丁寧な言葉遣いに伴う運用コストについての言及)
・田村淳氏のAI活用およびオンラインサロン「大人の小学校」に関する各種メディア報道・本人発言



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