きっかけはAnthropicのブログでした。
https://claude.com/blog/how-anthropic-uses-claude-marketing
「ターミナルも触ったことがないGrowth MarketerがClaude Codeでマーケ全部門を回してる」という話です。
調べていったら、似たような事例が思ったより揃っていたので、2026年4月時点の公開情報をもとに、マーケター×Claude Code活用の事例をまとめました。
全体像を先に整理すると
今回まとめたのは3事例です。海外の企業や個人のマーケティング職の方の事例を集めました。

事例1|Anthropic自身 — 「1人の担当者がグロースマーケ部門を回す」
一番最初に読んで、一番驚いた事例です。
AnthropicのGrowth Marketingチームで働くAustin Lau氏は、ターミナルを触ったことがなかった状態から、Claude Codeだけで以下を全部構築・運用しています。
- 広告バリエーション自動生成:既存広告のCSVをClaudeに投入 → headline専用・description専用のサブエージェントが文字数制限を守りながら数百件を生成
- Figmaプラグイン自作:広告バリエーションを1クリックで数十件(dozens)Figmaに差し込む仕組みを、プログラミング未経験で約45〜60分で構築
Figmaプラグイン自作は具体的にどうやったのかについてもブログで紹介されています。
ソーシャル広告やアプリストア素材って、コピー10バリエーション×5アスペクト比みたいな組み合わせが普通に発生するので、毎回Figmaのフレームを手動複製してGoogle Docsと行ったり来たりしながらコピペ。
この作業だけで1回の更新に30分以上消えてたそうです。
Austin氏がClaude Codeに言ったのはこれだけ!
「Claude、私はFigmaで作業しています。この繰り返しのコピー&ペーストという課題を解決したいです。私のこの課題を解決するためのFigmaプラグインを作るのを手伝ってもらえますか?」
Claudeはその場でFigma APIのドキュメントを自分で調べながらプロトタイプを作り始めたんだそうです。
最初のバージョンは完璧じゃなかったけど「概念の検証には十分」だったので、そこから繰り返し改良して完成。
完成後の操作は、Google SheetからキャッチコピーをコピーしてFigmaで対象フレームを指定、プラグイン上でペーストしてボタン1クリック。
アスペクト比違いも含めてすべてのバリエーションが自動生成されます。1バッチ最大100件で、更新するたびに約30分節約できる仕組みに変わったそうです。

さらに驚きなのが、この仕組みの構築にかかった時間が45〜60分だったということです。
2回分の作業時間を仕組みの構築にかけるだけで、その後の作業時間を大幅に削減できています。
📎 Anthropic公式内部資料PDF「How the Anthropic Team Uses Claude Code」
事例2|Adam Sandler氏(元American Expressマーケター) — 「1人CMO」システムを構築
American ExpressやNestléといったFortune 500企業でデジタルマーケティングを担当してきたベテランマーケター、Adam Sandler氏の事例。
現在は「SLC CMO Agent」というオーケストレーターエージェントを自作して、マーケティング業務全体を1人で回しています。
SLC CMO Agentの仕組み
このエージェントは「ガイド付きの体験」を重視した設計で、キャンペーン開発(ブランド・競合・SNS・ローンチ・年間キャンペーンなど)を主軸に、聞くべき質問をすべて聞いてくれるようになっているそうです。
Adam氏自身のマーケティング経験や直感をエージェントの振る舞いに反映させるために常に改善を繰り返していて、「AIの出力に違和感があったらその場で修正して、エージェントの思考パターン自体を調整する」というアプローチを取っています。

具体的にやっていることは、
- 競合分析CSVの自動生成 — 「この競合をリサーチして、CSVに構造化して保存して」と指示。一度作ったテンプレートが次の競合分析にもそのまま使え、データが蓄積されるたびにトレンド分析やメールキャンペーンへの展開まで反復的に積み上げていける
- コンテンツの並行作成(サブエージェント活用) — 10本のブログ記事を書きたければ、10個のサブエージェントが並列で同時に動く。1本書く時間で10本が完成する仕組み。サブエージェントはそれぞれ独立したコンテキストウィンドウを持ち、仕事が終わったら破棄される「使い捨て」設計
- ブランドボイスの厳格な適用 — クライアントの通話トランスクリプトや動画のトランスクリプトを蓄積し、個人ごとの「ペルソナスキル」を構築。その人の話し方、フレーズ、スタイルを再現するスキルに育てている
- Google Analytics・Search ConsoleとのMCP連携 — カスタムMCPツールを自作し、Claude Codeから直接GA/GSCのデータを取得。「最近のパフォーマンスを見て、トレンドに基づいたブログ記事を10本提案して」と音声で指示するだけで、リアルタイムのデータに基づいた提案が返ってくる
- オンボーディングフロー — 新しいブランドをセットアップする際、フォルダにブランド素材を放り込むだけでエージェントが整理。Golden CircleやBlue Oceanなどのマーケティングフレームワークを使ったブランド分析まで自動でガイドしてくれる
という動きを、1人でこなしています。
もう一つ印象的だったのが、コンテキスト管理の考え方。
「セッションに何を見せて、何を見せないかを外科手術のように管理する」と表現していて、関係ないコンテキストが混ざるとハルシネーションの原因になるから、意図的にスコープを絞ることが重要だと強調していました。
また、音声入力(Super Whisperを愛用)を強く推奨していて、「タイピングの効率化だけじゃなくて、声に出して説明するというマインドセットの変化がアウトプットの質を上げる」という視点は、マーケターならではの言語化力との相性の良さを感じます。
📎 出典:本人サイト「The Viable Edge」(Claude Codeを使った14種のAIマーケティングスペシャリストシステムを販売・公開)
事例3|Zapier — Product MarketingチームがClaude CoworkとCodeを日常業務にフル活用
個人事例からチーム・企業の事例へ。
ZapierではHead of Product MarketingのJoe Stych氏、Senior Manager of Influencer MarketingのMatt Brown氏、AI Automation EngineerのLarisa Cavallaro氏がClaude Coworkを使って実務を委任しています。
特に面白いなと思ったのが、Joe Stych氏(プロダクトマーケティング責任者)の話。
自社の商品データベースを調べて、訴求メッセージの資料を作り、ランディングページまで同じ作業セッションの中で一気通貫で完成させているそうです。
以前は、この流れだけで3つの別チームとの調整が必要だったとのこと。
Joe氏がCoworkに事前につないでいるのは3つの情報源です。
①自社の既存ホームページ
②チーム独自の「スキル」(プロダクトマーケティングチームの文体ルール・訴求方針・運用上の前提条件をまとめた、繰り返し使える指示セット)
③Zapier MCP経由で社内ツール(Slackのスレッド、社内検索ツールのGlean、Jiraなど、必要な情報を何でも引っ張れる状態)
毎回ゼロから指示し直さなくていいように、チームとしての考え方や判断基準をあらかじめツールに組み込んであるというのが、本当にポイントだなと思います。
実際のワークフローはこうなっています。

Coworkに渡すのは2つだけ。「今の自社ホームページ」と「今回のプロジェクト用の訴求方針」。
Claudeがブラウザで実際のWebサイトを開いて、ヘッダー・メインビジュアル・機能紹介といったページの構成要素を読み取り、新しい訴求方針に合わせたホームページの改訂案をそのままHTMLの試作ページとして出力してくれます。
デザイナーへの依頼や引き継ぎなしで、そのまま人に見せられる状態のものが出てくるんですよね。
しかも、Claudeが作業している間は自分は別の仕事ができる。結果、CMO・CEOにシェアしてフィードバックをもらうまでの所要時間がなんと約15分!
以前はデザイナーに一度引き渡さないと方向性の評価すらできなかったので、数日かかってた作業だそうで、、スピード感が全然違いますよね。
もう一つ印象的だったのが、Joe氏の「セッションを使い捨てにしない」という考え方。
毎回の作業セッションの最後に「今回のセッションから何を覚えておくべき?」とClaudeに聞いて、学びを蓄積させているそうです。
他にも、インフルエンサーマーケターのMatt Brown氏がROIダッシュボードをClaude Coworkで自作している(GitHubPages上に日次更新のリアルタイム可視化ダッシュボードを構築)そうです。
マーケターが「ダッシュボードを自分で作る」という発想が、以前だったらなかったと思うんですよね。
ここまでができると、AIがない場合の仕事には戻れなくなりそうです。
📎 Zapierブログ「What is Claude Cowork?」(Coworkの機能解説記事)
事例を横断して見えてきたこと
①「コードが書けない」はもう言い訳にならなくなっている
Austin Lau氏もAdam Sandler氏も、ターミナルもプログラミングも未経験からスタートしています。
「問題を同僚に説明するように話す」というアプローチが、そのままワークフロー構築に直結しています。
②個人も大企業も「構造」は同じ
個人の事例(Adam Sandler氏)も、チームの事例(Zapier)も、やっていることの本質は同じです。
サブエージェントに役割を持たせて並行処理させ、人間はレビューと意思決定に集中するという構造です。
スケールは違っても再現できるんだと思うと、「まず小さく試してみる」がしやすくなる気がします。
③「人間レビューは最終確認のみ」をどこまで許容するか
私自身の中でも明確な答えが出ていないんですが、
どこまでAIに委ねるかの判断基準って、業種・ブランド・フェーズによってかなり変わってくると思っています。
事例を見ながら、自社なりの線引きを考えていく必要はあると思います。
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