Claude Science 完全ガイド

@shunxneuro
日本語3 日前 · 2026年7月02日
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TL;DR

Claude Science は、文献検索、コード実行、データ分析を統合し、研究者のための安全なローカルファースト環境を提供する Anthropic の専門的な AI ワークベンチです。

Anthropic、研究者向けAIワークベンチ「Claude Science」を発表

米Anthropicは現地時間2026年6月30日、科学研究に特化した新しいデスクトップアプリケーション「Claude Science」を発表した。Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランでベータ版としての提供が始まっている。本稿では、公式発表と製品ドキュメントをもとに、Claude Scienceの要点を整理する。

TL;DR

  • 文献調査・コード生成・計算資源接続→実行まで、研究者が日常的に行き来する作業をひとつの環境にまとめたAIワークベンチ
  • 生成した図表やデータには、実行したコード・環境・会話履歴が自動的に紐づき、あとから検証・再現できる
  • デフォルトで常に動く「レビュアーエージェント」が、主張や実際の実行結果をチェックするのが、最も大きなChat形式との違い

Claude Scienceとは何か

研究者の日常には、地味だが時間のかかる作業が多い。PubMedで文献を探し、Jupyterでコードを書き、Rで統計処理を行い、クラスタのターミナルからジョブを投げる。それぞれ操作方法もデータ形式も異なるツールを、研究者は行き来しなければならない。Claude Scienceは、こうした分断されたツール群をひとつの研究環境にまとめたlocal host上で動作するアプリだ。

AnthropicのOpus4.8などの既存モデルがこのプラットフォーム上で動作する。なお、Fable 5は7/1時点では動作しない。

あくまで「研究向けに設計された環境」であることが、この製品の核心にある。

3つの柱で見る仕組み

Anthropicは、Claude Scienceの中核を大きく3つの観点で説明している。

① 再現可能な"生きた"アーティファクト

科学研究は本質的に視覚的な営みだ。Claude Scienceは図表や論文原稿を生成する際、それを作り出したコードと環境をセットで保存する。3Dのタンパク質構造やゲノムブラウザのトラック、化学構造式なども、追加のソフトウェアを入れることなくアプリ上でそのまま表示できる。

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これらはFiles内のArtifactとして保存される。

生成された図には、実行に使われたコードと環境、生成過程の平易な言葉での説明、そして会話履歴のすべてが紐づく(ドキュメント上ではこれを「プロベナンス」と呼ぶ)。「アノテーション」を人間が付与して、モデルに一気に与えて修正させることもできる。

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② 計算資源とコンテキスト管理

タンパク質のフォールディングや大規模ゲノミクスパイプラインの実行など、重い計算はこれまで研究者自身がジョブを組み、クラスタに投げ、成功・失敗を確認し、結果を回収するという作業が必要だった。Claude Scienceはこの流れを代行する。

セッションはコンテキストをメモリ上に保持したまま動作するため、巨大なデータセットも一度読み込めば使い回せる。処理はあくまでインフラ(ノートPC、Linuxマシン、HPCのログインノードなど)上で行われ、大容量・機微なデータそのものがそこから外に出ることはない。

さらにコンテキストの管理の可視化がレベルアップしている。左下の+タブの一番下、"Context Usage"から、以下のように研究の過程でのエージェントのコンテキストの推移を見れる。

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③ 60以上のデータベースに"最初から"対応

生命科学の知識は、UniProt、PDB、Ensembl、Reactome、ClinVar、ChEMBL、GEOなど、数百に及ぶ専門データソースに散らばっており、それぞれスキーマもクエリの書き方も異なる。Claude Scienceに自然言語で質問を投げると、専門特化したエージェントがこれらのデータソースを横断的に検索・統合してくれる。

これを支えるのが、ゲノミクス・シングルセル・プロテオミクス・構造生物学・ケモインフォマティクスなどに合わせて事前設定された60以上のスキルとコネクタだ。研究室が独自に持つモデルやデータ、パイプラインについても、再利用可能なスキルやコネクタとして登録すれば、以後のセッションで自動的に呼び出せるようになる。

レビュアー:常時稼働する"査読者"

Claude Scienceを特徴づける機能のひとつが、バックグラウンドで動く「レビュアー」だ。Max、Team、EnterpriseではReviewerは自動で動く。これはClaude自身の直近の応答や、承認済みの実行計画、保存されたアーティファクト、実際に実行されたログを独立して読み直し、Claudeの主張が実際の作業内容と一致しているかどうかを検証するエージェントである。

レビュアーが検出する代表的な問題としては、次のようなケースが挙げられている。

  • 実際には何も実行されていないのに、結果が算出済みとして報告されている
  • 応答中の数値が、参照元ファイルの内容と矛盾している
  • 引用が、実際にはその主張を裏付けていない
  • 論文のDOIが、別の文献を指している
  • 承認済みの計画のステップが、実は完了していない
  • 使用した手法からは導けない結論が書かれている
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Max・Team・Enterpriseプランでは応答のたびに自動実行されるほか、長時間の作業中も定期的に走る。Proプランでは「レビューを依頼」を手動で使う形になる。ただしレビュアーは実行ログと主張の整合性を確認するものであり、解析そのものを再実行して検算するわけではない。

セキュリティとデータの扱い

研究データの多くは機微な情報を含むため、Claude Scienceは「ローカルファースト」の設計を強く打ち出している。

  • 会話履歴やアーティファクトは、Anthropicのサーバーではなく手元のマシン(~/.claude-scienceフォルダ)に保存される。
  • ~/.claude-science はClaude Scienceアプリが管理する内部データ領域のため、ユーザーが触ってはいけない。
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  • コードはすべてOSレベルのサンドボックス内で実行され、アクセスできるのは明示的に許可したワークスペースやフォルダに限られる。ネットワークもデフォルトで遮断されている。またデフォルトでCondaを用いて環境構築が行われる。
  • Claudeが新しいフォルダ・ネットワーク先・実行コード・リモートジョブにアクセスする際は、その都度「権限カード」が表示され、許可・拒否を選べる。許可の範囲は「1回のみ」から「このプロジェクト」「常に」まで細かく設定でき、設定画面からいつでも取り消せる。
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  • Anthropicに送信されるのは、Claudeモデルへの呼び出し(プロンプトと応答)のみで、標準的なデータ保持ポリシーの下で扱われる。会話やアーティファクトそのものがAnthropic側に保存されることはない。

利用にあたっての注意点

Anthropic自身も、Claude Scienceについていくつかの留保を明示している。

  • レビュアーはエラーを減らすが、完全になくすわけではない。
  • レビュアーは実行ログと主張の整合性を確認するものであり、解析を再実行して検算するわけではない。
  • 研究・論文発表・意思決定に用いる前には、結果を必ず自分で検証すること。
  • 個人識別情報は、Claudeに読ませず、ログ・ファイル名・レポートにも出さないよう注意が必要である。

ベータ版であることもあり、監査ログやコンプライアンスAPIなど組織向け管理機能の一部は、今後の実装が予定されている段階にとどまる。

まとめ

Claude Scienceは、「文献を読み、コードを書き、計算資源を確保し、結果を検証する」という研究の一連の流れを、ひとつのローカルアプリとエージェントに担わせようという野心的な試みだ。Claude Codeがソフトウェア開発の現場を変えたのと同じ発想を、生命科学を中心とした科学研究の現場に持ち込む挑戦であり、今後の研究のあり方を革命的に変えるプロダクトと考える。

全ての解説はX記事で困難だったため、追加記事をNoteで執筆を予定しているので、ぜひ本アカウントをチェックしてほしい。

お読みいだきありがとうございました。

参考

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