会社で利用が認められているAIで多いのは「Copilot」「Gemini」。
これしっかり活用できていますか?
個人的にプライベートでは、ChatGPTやClaude codeをメインで活用しており、正直会社のCopilotは活用できていませんでした。
ただ近年、Copilotも目覚ましく発展をしており、
会社での資料やチャットの出力が劇的に変わりました。
それをきっかけに海外での事例はどんなものだろうと気になったので、
今回海外企業の事例を片っ端から調べてみました。
まず、ドバイのある銀行が、Copilotで年間39,000時間を削ったと公表しています。
Commercial Bank of Dubai。1人あたり年2,000時間働くとして計算すると、およそ19人分の仕事時間です。
数字を見て「規模が違う」と思うかもしれません。でも中身を開けてみると、やっていたのは特別なことではありませんでした。監査の資料読み、Excelの集計、契約書の比較、会議のメモ。どこの会社にもある仕事です。
違ったのは、Copilotへの渡し方でした。
たとえば会議の準備。ほとんどの人は会議の直前にメールを検索して、過去の議事録を開いて、資料を探します。これをCopilotに渡すと、こうなります。
1今日の〇〇社との会議の準備をしてください。2私がアクセスできる範囲の、過去30日間の関連メール、過去のTeams会議、関連資料を参考にしてください。34以下をまとめてください。56これまでの経緯7-前回決まったこと8-相手からの要望9-私たちが約束していること10-まだ解決していない問題11-今日確認すべき質問を5つ12-今日決めるべきこと13143分以内で読める量にしてください。15確認できない内容は推測せず、「情報なし」と書いてください。
これが「渡す」ということです。「要約して」でも「メールを書いて」でもありません。仕事のかたまりごと預けています。
この記事では、海外20社が実際にやっている渡し方を20個、コピペできるかたちで置いていきます。あわせて、39,000時間の内訳と、自分の仕事のどれから渡せばいいのかの決め方も書きます。
先に断っておくと、この記事に出てくる数字はすべてMicrosoftが公開している導入事例(Customer Stories)に載っている、企業側の申告値です。第三者が監査した数字ではありません。そのつもりで読んでください。
39,000時間の内訳を開けてみる
Commercial Bank of Dubaiが公表している内訳は、部門ごとに分かれています。
監査部門:月56時間の削減。規制関連の資料をCopilotに読ませて、矛盾している箇所を探させ、リスク一覧の下書きを作らせています。
経理部門:手作業のレポート作成で週あたり最大12時間の削減。Excelのデータから傾向を分析させ、そのままPowerPointの構成まで作らせています。
人事部門:月20時間の削減。
役員会の事務局:月15時間の削減。会議の要約とタスク抽出を大量に回しています。
法務部門は、契約書を自社の標準ひな形と比べて、違っている箇所だけを抜き出させています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/24341-commercial-bank-of-dubai-microsoft-365-copilot
並べてみると分かるのですが、どれも「新しい何かを生み出す仕事」ではありません。読む、比べる、探す、まとめる。この4つだけです。
そしてこの銀行がやったことで一番効いていたのは、実はツールの設定ではありませんでした。
Prompt-a-thon(プロンプト大会)を3回開いています。部門ごとに自分たちの仕事でCopilotに何をやらせるかを持ち寄って、うまくいった書き方を「Super Prompts」として社内で共有しました。初期に参加したメンバーの利用率は85%です。
つまり39,000時間は、賢いAIが勝手に生み出した時間ではなく、社員が自分の仕事を分解して渡した結果です。
同じことが他社でも起きています。
ブラジルの金融サービスXP Inc.は、会議・議事録まわりで累計9,000時間超の削減を公表しています。内部監査の効率は30%向上したとしています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/20560-xp-microsoft-365
英国のSomerset Councilという自治体では、利用者の87%が効果を実感し、平均で月10時間の効率化を報告しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/22699-somerset-council-microsoft-365-copilot
「質問するAI」だと思っている限り、使い道は増えない
ここが一番大事なところなので、先に整理します。
Copilotを「何でも質問できるAI」だと思うと、使い道はすぐ尽きます。要約して。メールを書いて。アイデアを10個出して。だいたいこの3つで止まります。
Copilotが他の生成AIと違うのは、頭の良さではありません。会社の中の情報を材料にできることです。
Microsoft 365 Copilotは、あなたが元々アクセスできる範囲のメール、チャット、会議、文書などをMicrosoft Graph(Microsoft 365の中の情報をつなぐ仕組み)経由で参照して答えを作ります。
出典:https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot-architecture
言い換えると、Copilotは「会社の中に置いてある、あなたが見ていい情報を探しに行けるAI」です。
ここを踏まえると、渡し方が変わります。
質問する使い方:「議事録の書き方を教えて」
渡す使い方:「今日の会議の内容から、決定事項・未決事項・担当者・期限を出して、参加者へのフォローメールまで作って」
前者はAIに知識を聞いています。後者は仕事そのものを預けています。
ふだんの仕事を分解すると、だいたいこの7つの動作でできています。
探す。読む。まとめる。比べる。書く。入力する。共有する。
Copilotが強いのは、この7つです。逆に「決める」「責任を取る」は人間の側に残ります。
なお、権限まわりで誤解されやすい点を1つ。Copilotを入れたからといって、社員が会社中の情報を見られるようになるわけではありません。元々アクセスできる情報しか使いません。逆にいうと、SharePointの権限設定が最初から広すぎる会社は、そこを直す話が先です。
20個の渡し方、全体マップ
ここから20個を出します。4つのかたまりに分かれています。
会議とメール(1〜6):今日から使えて、効果が一番早く出る場所です。
Excelと資料づくり(7〜11):数字を扱う仕事。時間削減の幅が一番大きい場所です。
営業と顧客対応(12〜15):Copilotを「業務システムの中」に入れる話。ここから難易度が一段上がります。
社内の質問と仕組み化(16〜20):同じ質問を何度も受ける仕事を、専用AIに置き換える話。ここが海外企業の到達点です。
時間がない人は、1・2・7の3つだけ見てください。この3つで会議とExcelがまるごと変わります。
各項目には「今まで」「渡し方」「コピペ用の実物」「海外の実例と出典」を付けます。
会議とメールを渡す(1〜6)
1. 会議の3分前に、これまでの経緯を1枚にさせる
今まで:会議の直前にメールを検索して、過去の議事録を開いて、Teamsをさかのぼって、「前回何を決めたんだっけ」と焦る。
渡し方:関連するメール・会議・資料をまとめて材料にして、経緯と論点と質問案まで作らせます。冒頭に置いたプロンプトがこれです。
海外の実例:英国の金融サービスHargreaves Lansdownは、顧客との面談前の準備と面談後の文書作成にCopilotを使っています。従来4時間かかっていた文書化業務を1時間にすることを目標に掲げ、初期の推計では週2〜3時間の削減、利用者の96%が「役立つ」と回答しています。
2. 会議中の必死なメモをやめる
今まで:話を聞きながら、メモを取りながら、次の質問を考える。3つ同時にやって、結局どれも中途半端になる。
渡し方:Teamsの会議内容から、要点と決定事項と次の行動まで出させます。
ここで大事なのは「会議で話されていないことを勝手に作らせない」と明示することです。担当者や期限は、決まっていなければ「未設定」と書かせます。
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1この会議を次の5項目で整理してください。231.結論42.決定したこと53.まだ決まっていないこと64.誰が何をするか75.次回までにやること89会議で話されていない担当者や期限は、勝手に作らないでください。10決まっていないものは「未設定」と書いてください。
▲ここまで
海外の実例:同じくHargreaves Lansdownは、顧客との面談で担当者が手書きメモを取り、面談後にテンプレートへ転記していた流れを、Teams側の記録とCopilotに置き換えています。会話に集中できるようになったことが導入理由として挙げられています。
3. 議事録で止めず、フォローメールまで書かせる
Copilotを使い始めた人がだいたい止まるのがここです。会議から議事録を作って、終わり。
でも仕事はそこで終わりません。議事録のあとに、やること決め、担当決め、期限決め、参加者へのメール、次回の準備が続きます。
渡し方:この一連の流れを1回のプロンプトでまとめて渡します。
1この会議をもとに、以下を整理してください。231.決定事項42.未決定事項53.担当者別のアクション64.期限75.次回までの準備89最後に、参加者へ送るフォローアップメールを300文字以内で作ってください。10会議で出ていない内容は補わないでください。
海外の実例:中東のUnifonicでは、営業担当が会議を記録してCopilotに要約とタスク抽出をさせ、会議直後に次のステップをメールで送る運用にしています。営業とマーケティングで1人1日2〜3時間の削減を報告しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/23690-unifonic-microsoft-365-e5
4. 長いメールを「自分がやること」だけに変換させる
今まで:50通のスレッドを頭から読んで、結局自分に関係あるのは3行だった。
渡し方:要約ではなく、自分の次の行動まで出させます。これが分かれ目です。「要約して」だと文章が短くなるだけで、判断は自分に残ったままです。
1このメールのやり取りを整理してください。231.何が起きているか42.今の論点53.私への依頼64.期限75.私が返信で確認すべきこと89最後に、150文字程度の返信案を作ってください。
海外の実例:スイスの保険会社Zurich Insuranceは、Outlookの中から長いメールスレッドを要約して返信を作る使い方をしています。約300人の利用実績から、翌年に約14,000時間の削減ができると推計しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/23452-zurich-schweiz-microsoft-365-copilot-for-sales
5. 朝いちばんに、今日の仕事を1枚にさせる
今まで:カレンダーを見て、メールを見て、Teamsを見て、それぞれ別々に確認する。この時点で30分。
渡し方:予定と依頼をまとめて「今日の仕事」として整理させ、優先順位まで付けさせます。
1今日の予定と、私に関係する重要な仕事を整理してください。231.今日の会議42.会議前に準備すべきこと53.返信が必要な重要メール64.期限が近い仕事75.今日中にやるべきこと89それぞれに優先順位を、高・中・低で付けてください。
海外の実例:ギリシャのエネルギー企業HELLENiQ ENERGYでは、朝にカレンダーから1日のブリーフィングを作らせる使い方をしています。約70%の利用者が生産性向上を回答し、情報の検索・処理・共有が29%高速化、メールの処理量は64%減ったとしています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/24670-helleniq-energy-microsoft-365-copilot
6. 休み明けの「何が起きた?」を重要度順にさせる
有給明け。Teamsの通知が数百件。メールも山。全部読むだけで午前中が終わります。
渡し方:ここでも「全部要約して」は使いません。重要な変化だけを、重要度順に出させます。
1私が休んでいた〇月〇日から〇月〇日までの期間について、私がアクセスできるメール・Teams・会議の情報から整理してください。231.重要な決定42.私に関係する依頼53.期限があるもの64.問題が発生しているもの75.返信が必要なもの89重要度順に並べてください。
海外の実例:HELLENiQ ENERGYでは、連続した会議のキャッチアップにCopilotを使い、約4倍の速さになったとしています。Microsoftが147人を対象に行った比較実験でも、会議のキャッチアップは約3.8倍速いという結果が出ています。
ただしこの実験では、会議要約について細部の網羅性がわずかに下がったことも報告されています。「Copilotに任せたから確認しなくていい」という意味ではありません。
Excelと資料づくりを渡す(7〜11)
7. Excelを「集計する道具」から「考える道具」に変える
今まで:「このExcelを分析して」と投げて、当たり障りのない要約が返ってきて、結局自分で見る。
渡し方:見る順番を指定します。ここが決定的な違いです。何をどの順で見るかを渡すと、出力の質が変わります。
1このExcelデータについて、以下を調べてください。231.前月比42.前年同期比53.大きく増えた項目64.大きく減った項目75.異常な数値86.良かった上位3項目97.悪かった下位3項目1011そのうえで、次の順番でまとめてください。1213事実 → 原因の仮説 → 追加で確認すべきデータ → 次の行動14数値は元データと照合できる形で示してください。
海外の実例:Commercial Bank of Dubaiの経理部門は、Excelのデータから傾向を分析させる使い方で、手作業のレポートについて週あたり最大12時間の削減を公表しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/24341-commercial-bank-of-dubai-microsoft-365-copilot
8. 分析で止めず、PowerPointの構成まで作らせる
Excelの分析が終わったら、次は報告資料です。ここも切り離さずに渡します。
1この分析結果を経営会議で説明します。2PowerPoint5枚の構成にしてください。341枚目:今回の結論 2枚目:重要な数字 3枚目:大きく変化したもの 4枚目:原因の仮説 5枚目:次にやること56各ページについて、タイトルと掲載内容を作ってください。7数字は元データから変更しないでください。
海外の実例:同じくCommercial Bank of Dubaiでは、Excelでの分析からPowerPointでの報告までを一続きの流れとして扱っています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/24341-commercial-bank-of-dubai-microsoft-365-copilot
9. 毎月ほぼ同じ作業になっている照合とレポートを型にする
毎月、数字をコピーして、グラフを作って、先月と比較して、コメントを書く。この仕事の特徴は「毎月ほぼ同じ」であることです。
同じということは、渡し方も固定できるということです。
1今月の数値を先月と比較してください。2以下を整理してください。341.大きく伸びた数字52.大きく下がった数字63.異常値74.考えられる原因85.来月確認すべきポイント910そのうえで、前回の月次報告書と同じ構成で初稿を作成してください。11数値は元データと一致させ、一致しない場合はその旨を書いてください。
海外の実例:米国のU.S. Ventureは、クレジットカードや銀行明細の定期的な照合作業にCopilot for Finance(Excelに組み込んで使う経理向けのCopilot)を導入しました。経理部門で月30時間超の削減、ある担当者の銀行照合業務は80%の時間削減。セットアップは約4週間だったとしています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/20600-us-venture-microsoft-365-copilot-for-finance
10. 長い依頼書を、人間が読む前に整理させる
提案依頼書(RFP)や仕様書のような長い資料は、頭から読むと半日消えます。
渡し方:何を要求されているのかを先に構造化させます。人間が読むのはそのあとです。
1このRFP(提案依頼書)を読んでください。2以下を項目ごとに整理してください。341.必須条件52.提出物63.提出期限74.評価されそうなポイント85.不足している情報910こちらで準備すべきもの11各項目に、資料のどこに書かれていたかを付けてください。12最後に、提案書の構成案を作ってください。
海外の実例:クウェートのPetrochemical Industries Companyでは、RFP関連の業務を1週間以上から1日以下に短縮しています。同社では役員スピーチの初稿作成も1日以上から5分未満になったとしています。
なおこの会社は、社員が無料の外部生成AIを勝手に使い始めて情報管理が問題になったことが、Copilot導入のきっかけになっています。
11. 過去の提案書から、新しい提案書のたたき台を作らせる
ゼロから考えません。会社が過去に作った「通った提案書」を材料にします。
1過去の提案書を参考に、今回の顧客向け提案書の初稿を作ってください。2過去資料から、以下を抽出してください。341.よく使われている構成52.自社の強み63.実績の書き方74.説明の順番89そのうえで、今回の顧客の課題に合わせて内容を変更してください。10過去資料に無い実績・数値は書かないでください。
海外の実例:米国のIndustrialized Construction Groupは、過去の提案書と指定テンプレートから新しい提案書を作る使い方で、提案の回答時間を80%短縮しています。社員5人規模のチームで営業・人事・経理・戦略をすべて回している会社です。
同社はさらに、独自の分析システムを作る代わりにCopilot Studio(社内専用AIを作るツール)でAgent(特定の仕事専用のAI)に置き換え、約50万ドルのプログラミング費用を回避したと公表しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/23620-icg-microsoft-365-copilot
営業と顧客対応を渡す(12〜15)
12. 商談前の情報集めから渡す
営業でAIというと「営業メールを書かせる」を想像しますが、海外事例を見ると、もっと手前から使っています。
渡し方:顧客情報、過去メール、過去商談、未解決の課題を先に整理させます。
1〇〇社との次回商談を準備してください。231.現在の取引状況42.過去のメールで出ている課題53.前回の約束64.まだ解決していないこと75.今回質問すべきこと86.今回提案できそうなこと910確認できない項目は「情報なし」と書いてください。
海外の実例:Zurich Insuranceは、OutlookとTeamsの中から顧客との過去の接点をまとめて確認できるようにしています。同社には10万件を超える進行中の商談があり、メールとCRMの行き来が入力漏れと情報の陳腐化を生んでいたことが背景です。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/23452-zurich-schweiz-microsoft-365-copilot-for-sales
13. CRM入力を「後でやる仕事」にしない
ここは他の19個と少し性質が違います。プロンプトの話ではなく、置き場所の話です。
今まで:商談が終わってから、あとでCRM(顧客管理システム)を開いて入力する。だいたい後回しになって、月末にまとめて思い出しながら入れる。
渡し方:CRMを開きに行くのをやめて、いつも仕事をしているOutlookとTeamsの中からCRMを更新できるようにします。
具体的には、Copilot for Sales(営業向けのCopilot)でメールの相手を案件に紐づけ、会議メモをそのままCRMへ記録します。
海外の実例:オランダの通信会社KPNは、SalesforceとOutlook・Teamsをこの形で接続しました。78人の営業への調査で1人あたり週約2時間の削減、69%が提案の品質が上がったことで受注可能性が上がったと回答しています。50人での試験導入のあと、約4か月で300人に広げています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/24202-kpn-microsoft-365-copilot-for-sales
ここが「便利なAI」と「業務が変わるAI」の分かれ目です。人間がAIのために新しい作業を増やすのではなく、AIを既存の作業画面に入れています。
14. 顧客の声100件を、人間だけで分類しない
アンケートの自由記述が100件、500件。読むだけで1日終わります。
渡し方:分類させたうえで、少数意見を消させないことが肝です。多数派だけ残すと、改善のヒントが消えます。
1この顧客アンケートを、似ている意見ごとに分類してください。2各グループについて、以下を整理してください。341.件数52.代表的な意見63.良い意見か悪い意見か74.考えられる原因85.改善策910件数が少ない意見も、消さずに別枠で残してください。
海外の実例:ブラジルのLocalizaでは、顧客フィードバックの分析について、2〜3人がほぼ1日かけていた作業が数時間になったとしています。同社全体では平均で1人あたり月8.3時間の削減、よく使う人では月19時間です。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/19818-localiza-microsoft-365-copilot
フランスのLa Posteでも、顧客アンケートの自由記述をまとめて、感情の傾向と対応策を作る使い方をしています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/23613-la-poste-microsoft-365-copilot
15. 契約書は「判断させる」のではなく「違いを探させる」
「この契約は安全ですか」と聞いて、AIに最終判断をさせるのは危険です。
渡し方:判断ではなく比較をやらせます。人間が判断するための材料を作らせる、という分け方です。
1今回の契約書と、当社の標準契約書を比較してください。2条項ごとに、以下に分類してください。34-同じ5-異なる6-不足している78「異なる」「不足」の場合は、どこが違うか、当社側のリスク、担当者へ確認すべき質問を出してください。9最終的な法的判断はしないでください。根拠となる箇所を必ず示してください。
海外の実例:英国のVodafoneは、法務部門でこの使い方をしています。契約書を要約させ、重要な論点を抽出させたうえで、レビューと意思決定は人が行う流れです。法務部門の利用者は平均で1人あたり週4時間の削減を報告しました。
同社は300人での先行利用から始め、68,000人への拡大を計画しています。導入担当者によると、最初は「メールを書いて」程度だった利用者が、次第に「横にいる専門家」のように使うようになったそうです。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/19346-vodafone-microsoft-365-copilot
社内の質問と仕組み化を渡す(16〜20)
ここから先は、毎回プロンプトを書く段階を抜けます。同じ仕事を専用のAIに固定する話です。
16. 人事への「同じ質問」を専用AIに答えさせる
有給の申請方法は。交通費は。産休のルールは。人事には同じ質問が何度も来ます。
渡し方:社内規程だけを読ませた専用のAgentを作ります。Copilot Studioを使うと、プログラミングなしで作れます。
作るときの設定は、この形で固定します。
1Agent名:(例)経費精算Agent23答える範囲:経費精算に関する質問のみ45参照する資料:SharePointの「経理規程」フォルダ内の承認済み文書のみ67回答ルール: ・参照した資料名とセクションを必ず示す ・資料に書かれていないことは答えず、「担当部署に確認してください」と返す89・金額や期限を推測で答えない10エスカレーション:判断が必要な質問は、経理部の担当窓口を案内する
海外の実例:ITサービスのMarlabsは、複数の人事システムを横断するAgentを構築し、人事への問い合わせの約80%を処理、応答時間を60%以上短縮しました。新入社員の受け入れ業務では1人あたり3日の削減を報告しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/26644-marlabs-microsoft-365-copilot
17. 新人の「どこに書いてありますか」をなくす
新人にとって難しいのは、情報が無いことではありません。情報が多すぎて、どこにあるか分からないことです。
渡し方:社内規程、業務マニュアル、研修資料、よくある質問をまとめたAgentを作り、社員がふだん使っているTeamsから呼べるようにします。
ポイントは、Agentを1個で全部やらせようとしないことです。範囲を絞ったAgentを複数作るほうが、答えの精度が上がります。
分け方の基準はこれで足ります。
1Agentを分ける判断基準23□ 参照する資料の管理部署が違う → 分ける4□ 答えを間違えたときの影響度が違う → 分ける5□ 質問してくる人の属性が違う → 分ける6□ 資料の更新頻度が大きく違う → 分ける7□ 上のどれにも当てはまらない → 1つにまとめる89分けたAgentごとに、参照する資料のフォルダを1つに固定する
海外の実例:アルゼンチンのBanco Ciudadは、カードやローンなどの社内手続きを支援するAgentを作り、Teamsから数クリックで使えるようにしました。同社はCopilot関連の施策で年間2,400時間を高付加価値の業務へ振り向けたとしています。
同社の進め方は3段階です。まず個人がCopilotを使う。次に部門ごとのAgentを作る。最後に大規模なAI基盤に進む。いきなり高度なところから入っていません。
18. 紙のマニュアルを3秒で引ける状態にする
この記事で一番分かりやすい事例です。
ブラジルの鉄道物流企業Rumoでは、列車の運転士が約4kgの紙マニュアルを持ち歩いていました。必要な手順を探すのに4分以上かかることもあったそうです。
渡し方:承認済みのマニュアルだけを読ませたAgentを作り、スマートフォンから自然な言葉で聞けるようにしました。
結果は、手順の検索が4分超から3秒。年間7,644時間の回収、130万ページ相当の紙の削減、投資回収は2か月未満と公表されています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/25656-rumo-microsoft-copilot-studio
ここで注目したいのは、安全に関わる現場なので「自由に答えるAI」は使えなかったことです。承認済みの資料だけを参照する設計にし、多要素認証や端末の制御を組み合わせ、規制の担当者が知識の中身を管理する体制にしています。
現場にAIを入れるときは、賢さより「余計なことを答えない設計」のほうが重要になります。Rumoの設計をそのまま持ち帰るなら、この5つです。
1現場で使うAgentの設計原則231.参照先を、承認済みの資料だけに限定する42.資料に無いことは答えさせず、「記載なし」と返させる53.回答には、参照した資料名とページを必ず出させる64.資料の中身を更新できる人を、規程の管理担当だけに絞る75.端末側の認証と利用範囲を制限する
19. 週3回以上使うプロンプトは、Agentにする
判断の基準はこれだけです。
同じ資料を毎回指定している。同じ形式で出させている。社員から同じ質問が来ている。
このどれかに当てはまって、それが週3回以上あるなら、毎回プロンプトを書く必要はありません。Agentに固定します。
公開する前のチェック項目は、この形で持っておくと安全です。
1Agent公開前チェック23□ 管理者(オーナー)を決めた4□ 参照する資料を承認済みのものだけに限定した5□ 使える人の範囲を決めた6□ 個人情報を含む資料が入っていないか確認した7□ 答えられないときの逃げ道を設定した8□ 人へエスカレーションする経路を用意した9□ 利用ログを確認できる状態にした10□ テスト環境で検証してから公開した
\海外の実例:米国のState Farmは、社員が自分でAgentを作れる仕組みと、安全な運用を両立させています。「自分用 → チーム → 部門 → 全社」と段階的に昇格させる方式で、3,000を超えるAgentが作られ、リスク審査を通過して本番稼働したものが41件。
保険引受のマニュアルを検索するAgentは、公開から30日以内に社内で2番目に使われるAgentになりました。翻訳の業務フローは12か月から24時間に短縮されたと報告されています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/26947-state-farm-microsoft-power-platform
20. 情報を1か所に集める。これをやらないと、残り19個が効かない
最後は、順番としては本当は最初にやることです。
Copilotは、あなたがアクセスできるMicrosoft 365の中の情報を材料にします。逆にいうと、資料がPCのデスクトップや古いファイルサーバーに散らばっていると、材料が無い状態になります。
渡し方の前段階として、この確認をします。
1Copilotを効かせるための下準備チェック23□ 重要な資料がSharePointかOneDriveにある4□ フォルダ名を見て中身が分かる5□ 古い版と最新版が区別できる6□ SharePointの権限が広すぎない7□ 機密資料にラベルが付いている8□ 所有者が分からない資料を整理した
海外の実例:韓国のHyundai Glovisは、データがPCのローカルディスクやファイルサーバーに残っているとCopilotを活かせないと判断し、OneDriveやSharePointへ情報を集約する方向を重視しました。同社は15名×4部門のChampion Programで、部門ごとの使い方とプロンプトを開発しています。研修後のアンケートでは95%が追加の研修を希望しました。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/25103-hyundai-glovis-microsoft-365
Copilotの導入は、AIの導入であると同時に、社内の情報整理のプロジェクトでもあります。ここが弱いまま「使えない」と言われている会社は、かなり多いはずです。
どの仕事から渡すかを、点数で決める
20個を全部やる必要はありません。自分の仕事のどれから渡すかを決める簡単な方法があります。
計算式はこれです。
**優先度 = 頻度 + 所要時間 + 定型度 + データの整備度 - リスク
**※各項目を1〜5点で付けます。
たとえば毎週の会議議事録なら、頻度5、所要時間4、定型度5、データ5、リスク1で、合計18点。
月次レポートの初稿なら、頻度4、所要時間5、定型度5、データ5、リスク2で17点。
契約書の最終的な法的判断なら、頻度3、所要時間5、定型度3、データ5、リスク5で11点。
年1回の経営戦略の策定なら、頻度1、所要時間5、定型度1、データ2、リスク4で5点。
点数が高い順にCopilotを当てます。「何かCopilotにやらせよう」ではなく、効きそうな仕事から当てる、という順番です。
逆に、優先度を下げたほうがいい仕事もはっきりしています。
年に1回しかやらない仕事。正解が存在しない仕事。社内データが整理されていない領域。出力を誰も確認できない仕事。
この4つに当てはまるものは、最初の候補から外して構いません。
会社で共有するなら、この6つを共通語にする
20個を全員に覚えさせる必要はありません。社内で言葉を揃えるなら、この6つで十分カバーできます。
1MTG:会議を「決定・未決・担当・期限・次の行動」に整理する2MAIL:メールを「要点・依頼・期限・返信案」に変える3DOC:資料を「要約・論点・リスク・行動・根拠」に分解する4LEGAL:契約や規程を「差分・リスク・不足・要確認」で比較する5SALES:顧客情報を「状況・前回の約束・課題・次の一手」に整理する6DATA:数字を「異常・増減・原因の仮説・可視化」の順で見る
これを社内の共通語にしておくと、毎回長いプロンプトをゼロから考える必要がなくなります。
うまくいったプロンプトは、この形で残しておくと資産になります。
1業務名:2いつ使う:3入力する資料:4完成させたいもの:5標準プロンプト:6人が必ず確認する項目:7平均削減時間:8作成者:9最終更新日:
海外企業がやっているのは、まさにこれです。Commercial Bank of DubaiはPrompt-a-thonで「Super Prompts」を作り、Localizaはハッカソンを開き、Hyundai GlovisはChampion Programでプロンプトを開発しました。HELLENiQ ENERGYは約600名の「Digital Stars」を置いて70以上の使い方を集めています。
米国のKOHLERは200人を超えるChampionを配置し、導入から6週間で98%の利用率に到達しました。9か月かける想定だった95%の目標を40日で達成しています。
出典:https://www.microsoft.com/en/customers/story/26948-kohler-company-microsoft-365-copilot
共通しているのは、研修をやったことではなく、社内で使い方を発明し続ける仕組みを作ったことです。
最後に、明日やる1つだけ
20個並べましたが、明日から全部やる必要はありません。
明日の予定表を開いて、会議を1つ選んでください。その会議の前に、この記事の1番目のプロンプトを1回だけ使ってみる。それで十分です。
そこで「思っていたより使える」と感じたら、2番目(会議中のメモ)と7番目(Excel)に広げる。この3つで、会議とExcelの時間の使い方が変わります。
Copilotが入っているのに使い道が分からないという状態は、AIの問題ではなく、仕事の分け方の問題です。
「Copilotで何ができますか」から考えると、機能一覧が出てきて終わります。
代わりに、こう聞いてください。
・毎週2時間以上かかっている、面倒な仕事は何か。
その仕事を、探す・読む・まとめる・比べる・書く・入力する・共有する、に分解する。Copilotに渡せる部分は、だいたいその中にあります。
海外20社がやっていたのは、Copilotを使うことではなく、この仕事ではCopilotを使うと決めることでした。
Vodafoneは契約書。KPNは営業とCRM。Rumoは現場のマニュアル。Marlabsは人事の問い合わせ。Commercial Bank of DubaiはExcelと報告業務。State Farmは保険引受と翻訳。
やらせることを決めた会社から、効率化が始まります。
出典一覧
この記事で参照した海外20社の事例は、すべてMicrosoftが公開している導入事例です。記載した時間削減率や生産性の数値は、原則として各企業自身の測定・アンケート・推計であり、第三者機関が監査した数値ではありません。
Vodafone(英国・通信) https://www.microsoft.com/en/customers/story/19346-vodafone-microsoft-365-copilot
Hargreaves Lansdown(英国・金融) https://www.microsoft.com/en/customers/story/1700944299531611959-hargreaves-lansdown-microsoft-365-copilot-united-kingdom
XP Inc.(ブラジル・金融) https://www.microsoft.com/en/customers/story/20560-xp-microsoft-365
Somerset Council(英国・自治体) https://www.microsoft.com/en/customers/story/22699-somerset-council-microsoft-365-copilot
Petrochemical Industries Company(クウェート・石油化学) https://www.microsoft.com/en/customers/story/1776965075841351020-petrochemical-industries-company-microsoft-365-energy-en-kuwait
Unifonic(中東・コミュニケーション) https://www.microsoft.com/en/customers/story/23690-unifonic-microsoft-365-e5
Zurich Insurance(スイス・保険) https://www.microsoft.com/en/customers/story/23452-zurich-schweiz-microsoft-365-copilot-for-sales
KPN(オランダ・通信) https://www.microsoft.com/en/customers/story/24202-kpn-microsoft-365-copilot-for-sales
Industrialized Construction Group(米国・建設コンサルティング) https://www.microsoft.com/en/customers/story/23620-icg-microsoft-365-copilot
La Poste(フランス・郵便物流) https://www.microsoft.com/en/customers/story/23613-la-poste-microsoft-365-copilot
Localiza(ブラジル・モビリティ) https://www.microsoft.com/en/customers/story/19818-localiza-microsoft-365-copilot
U.S. Venture(米国・流通エネルギー) https://www.microsoft.com/en/customers/story/20600-us-venture-microsoft-365-copilot-for-finance
Commercial Bank of Dubai(UAE・銀行) https://www.microsoft.com/en/customers/story/24341-commercial-bank-of-dubai-microsoft-365-copilot
Hyundai Glovis(韓国・物流) https://www.microsoft.com/en/customers/story/25103-hyundai-glovis-microsoft-365
HELLENiQ ENERGY(ギリシャ・エネルギー) https://www.microsoft.com/en/customers/story/24670-helleniq-energy-microsoft-365-copilot
Banco Ciudad(アルゼンチン・銀行) https://www.microsoft.com/en/customers/story/24281-banco-de-la-ciudad-de-buenos-aires-microsoft-365-copilot
Marlabs(グローバル・ITサービス) https://www.microsoft.com/en/customers/story/26644-marlabs-microsoft-365-copilot
Rumo(ブラジル・鉄道物流) https://www.microsoft.com/en/customers/story/25656-rumo-microsoft-copilot-studio
KOHLER(米国・製造) https://www.microsoft.com/en/customers/story/26948-kohler-company-microsoft-365-copilot
State Farm(米国・保険金融) https://www.microsoft.com/en/customers/story/26947-state-farm-microsoft-power-platform
Microsoft公式ドキュメント
Microsoft 365 Copilotの仕組みと権限 https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot-architecture
147人を対象とした比較実験 https://www.microsoft.com/en-us/worklab/work-trend-index/copilots-earliest-users-teach-us-about-generative-ai-at-work





