新しい Gemini Spark でできることすべて:40 の機能を完全網羅

@nobel_824
日本語2026年8月08日
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TL;DR

Google の AI エージェント「Gemini Spark」の包括的な解説。Gmail 、 Drive 、ウェブブラウジングにわたる 40 の具体的な機能に加え、セットアップ要件や実践的なプロンプトのレシピを詳細に紹介します。

Gemini Sparkがついに日本の Google AI Pro でもう使えるようになりました。2026 年 7 月 29 日に日本展開が告知され(Google Japan Blog)、そこから数週間かけて配信されて、8 月に入って僕のアカウントにもタブが出てきました。

頼んだ仕事を 同時に 15 本まで走らせられて、しかもノートパソコンを閉じても止まりません。処理が動いているのは自分の端末ではなく、Google のクラウド側だからです。

月額 2,900 円のプランで、そこまで手が届くところまで来ています。

ただし、先に言っておいた方がいいことがあります。

会社や学校の Google アカウントでは使えません。

「記事を読んで試そうとしたのに、そもそもタブが出てこない」の原因は、だいたいここです。

「AI に頼んだのに、結局モニターの前に張り付いて『次はこれ』と指示を出し続けている」 「便利なのは分かった。でも、僕が寝ている間は何も進まない」

AI を使い始めて半年くらい経つと、たいていここで止まります。賢さは足りている。足りていないのは、こちらが見ていない時間に動いてくれることでした。Spark はそこを正面から埋めにきた機能です。

tatsuki(@nobel_824)と申します。中小企業向けに AI の活用サポートをしていて、Claude / Codex の業務導入を手伝いつつ、自分でも Claude Code を1日中走らせています。

実際に少し触りつつ、公式ヘルプを端から読み、日本語 3 本・英語 3 本の実機検証記事と突き合わせて整理しました。できることを 40 個 に分解して全部並べます。公式ヘルプに散らばっている条件と制限値も一枚にまとめました。

後半には、そのままコピペできるプロンプトを 8 本と、中級者向けに「スキルの実体は何なのか」「Claude や ChatGPT のエージェント(自律的に手順を判断して動く AI)と何が違うのか」まで踏み込みます。ちなみに Spark を動かしているのは Gemini 3.5 Pro ではなく Flash です。理由は第 6 章で書きます。

情報は 2026 年 8 月 8 日時点のものです。Spark はベータ(試験提供)扱いで週単位に更新されているので、読むなら今のうち、というのが正直なところです。最新の変更は公式の更新履歴ページに 1 行ずつ載っていきます。

記事の最後で特典を配っています。

tatsuki | Claude Code活用支援 - inline image

第1章 Gemini Spark は「4 つの部品」で理解すると早い

機能名が多くて混乱しやすいのですが、構造はシンプルです。

やってほしい仕事を タスク、いつ動くかを スケジュール、どうやるかの型を スキル として持つ。そこにどのアプリを触っていいかの 連携設定 が乗る。この 4 つだけです。

タスク: 頼む仕事そのもの

「今週の受信箱を見て、返信が要るものだけ抜き出して」のように、複数のアプリをまたいで完了までやりきってもらう単位です。

普通のチャットとの違いは、返事を待たなくていいところ。投げたら閉じてよくて、終わったら Gemini アプリ側に通知が来ます。

日本語ブログの表現がそのままで、「パソコンを閉じているときやスマートフォンがロックされているときでも、バックグラウンドで動作します」。処理が走っているのは、Google のクラウド上に用意されたリモートコンピュータの側です。

スケジュール: いつ動くか

1 回だけ、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年。この時間指定に加えて、条件で起動するトリガー(きっかけ。この状況になったら動け、という設定)が 2 種類あります。

  • 特定の条件に合うメールが届いたとき
  • ニュース・金融・スポーツ・地域イベントなどのトピックが動いたとき

「毎朝 7 時にブリーフィングを作る」も「取引先からメールが来たら要約して通知する」も、どちらもここで設定します。

ちなみに公式ヘルプには「スケジュールされたタスクの実行時刻はおおよそのもので、条件を満たした瞬間ぴったりに動くとは限らない」と書かれています。秒単位の精度を期待する用途には向きません。

スキル: どうやるかの型

公式の定義は「再利用可能な指示と追加のコンテキストのセット」。毎回説明し直したくない手順を、保存しておく機能です。

公式ページに載っている例が分かりやすくて、こういうものです。

「僕が最近書いた 50 通のメールを読んで、それをスタイルガイドにして」

一度これでスキルを作っておけば、以降のメール下書きは自分の書き方に寄ります。

面白いのは、スキルが SKILL.md というファイルでアップロードできること(SKILL.md を含む .zip も可、合計 100MB まで)。Claude の Skills と同じファイル名です。ここは第 6 章で掘ります。

連携設定: どこまで触っていいか

Gmail、カレンダー、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、Keep、ToDo リスト、YouTube、マップ。Google 側はこのあたりが対象です。

サードパーティは Canva、Instacart、OpenTable、Dropbox、Zillow が公式に追加済み。さらに自分で選んだアプリを MCP(Model Context Protocol。外部ツールを AI に繋ぐための共通規格)のサーバー URL で繋げるようになっています。

初期状態ではすべてオフです。使いたいものだけ自分で開けます。

この章でやる 1 つ: Gemini のウェブ版で設定の Connected Apps(日本語表示では「接続済みのアプリ」)を開いてみてください。今どのアプリがオンになっているかを把握するだけで、後の設計が変わります。

第2章 使えるようにするまで(ここでつまずく人が一番多い)

条件が細かいので、先に全部並べます。

必要な条件(全部満たす必要があります)

  • 18 歳以上であること
  • 個人の Google アカウントであること
  • Google AI Pro または Google AI Ultra を契約していること
  • Gemini アプリの「アクティビティを保存」がオンになっていること
  • 対象地域であること(EEA〈欧州経済領域〉・英国・スイス・ナイジェリアは対象外。日本は対象内です)

出典は公式の更新履歴ページの 2026 年 7 月 14 日・16 日のエントリです。利用条件のヘルプページ本体は地域によって古い記述(米国のみ・Ultra のみ)が残っていることがあるので、更新履歴の方を見た方が確実です。

最大のつまずきポイント: 仕事用アカウントでは使えない

一番よく踏むのがここです。会社や学校の Google アカウント(Workspace)では、現時点で Spark は対象外です。

Workspace 向けのヘルプページを見ても Spark の記載はありません。「業務で使いたい」と思って会社アカウントで探しても、そもそも出てきません。

では Workspace 中心の人はどうするか

ここで記事を閉じられると困るので、現実的な回避策を書いておきます。要は 個人アカウント側で Spark を動かして、成果物だけを会社側に渡すという構えになります。

  • 出力先を共有ドライブに固定する。個人アカウントに共有ドライブ内のフォルダの編集権限を付けておけば、Spark が作ったドキュメントやスプレッドシートをそこに置けます。読み書きの範囲がフォルダ単位で切れるので、権限事故も起きにくいです
  • 入力は転送したものだけに限る。会社の Gmail は直接読ませられないので、見せたいメールだけ個人アドレスに転送します。手間はかかりますが「何を読ませたか」を自分で把握できます
  • 業務データそのものは渡さない。顧客情報や未公開の数字は個人アカウント側に持ち込まない。この線だけは先に引いておいた方がいいです

僕がサポートしている会社でも、この手のベータ機能は「個人アカウントで先に試して、使えると分かってから会社の導入を検討する」という順番にしています。今の Spark はその段階です。

料金

公式の日本向けプランページに載っている金額です。

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無料版では使えません。Ultra には上位の 32,000 円のティアもあります。Pro と Ultra で Spark に効いてくるのは、第 3 章の 22 番で触れる Chrome 操作の 1 日あたり回数(20 回 / 200 回)です。

先に数字だけ知りたい人向け: 制限値ぜんぶ

公式に数値が明示されている制限は、これで全部です。

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逆に、1 日あたりのタスク実行数と 1 タスクの最大実行時間は公式に数値が示されていません。全体としては「コンピュートベースの使用量制限」で管理される、という説明にとどまっています。

使えるプラットフォーム

  • Gemini モバイルアプリ(iOS / Android)
  • ウェブ版(gemini.google.com
  • Mac アプリ(2026 年 6 月 30 日から Schedules と Skills 付きで提供)

Mac 版には注意が要ります。6 月 30 日の公式ブログは、Mac 版を「18 歳以上の Google AI Ultra 契約者向けに、米国からベータで提供」と書いています。Pro 契約者が探しても見つからない可能性が高いです。

カスタム MCP の接続設定だけはウェブ版でしかできません。接続してしまえばモバイルからも使えます。

この章でやる 1 つ: Gemini アプリで Spark のタブがあるか確認する。無ければ、個人アカウントか / Pro 以上か / アクティビティ保存がオンか、の 3 点を上から見てください。

第3章 できること全カタログ 40 個

公式ヘルプ・公式ブログ・製品ページに書かれている機能を、9 つのカテゴリに分けて並べます。まず早見表から。

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全部を使う必要はまったくありません。この 40 個を上から眺めて、自分が今週 3 回以上やった作業に丸を付けてみてください。丸が付いた番号だけが導入候補です。

A. メールまわり(Gmail)

01. 受信箱をスキャンして、対応が要るものだけ抜き出す 公式の例文が「毎週月曜午前 9 時に受信箱をスキャンして、過去 1 週間のメールをレビューして」です。埋もれた要対応メールの発掘に効きます。

02. ニュースレターを要約する / アーカイブする 公式ヘルプに「Declutter your inbox」として明記されている用途です。

03. メーリングリストの購読を解除する 読んでいないメルマガの棚卸しが自動でできます。

04. 返信の下書きを作る 自分の文体を学習させておくと精度が上がります(→ 06 番)。

05. メールから項目を抽出してスプレッドシートに転記する 公式製品ページの例文は「写真撮影サービスの問い合わせメールが来たら、クライアント名を自動で抽出して」。受注管理の入口を自動化するイメージです。

06. 送信済みメールから自分の文体ガイドを作らせる インドでの実機検証記事では、送信済みメールから「協調的」「直接的」という 2 つの書き分けを正確に識別した、と報告されています(TechMitra)。

07. スレッド全体を読んで要点をまとめる 同じ検証記事では、スレッド内の個々のメッセージを 1 通ずつ評価させる指示が使われています。

B. カレンダー・予定

08. 予定の重複・衝突を見つける

09. 予約確認メールから旅程表を組み立てる 飛行機・ホテル・レンタカーの確認メールを拾って、1 枚のスプレッドシートにまとめる使い方が、各国版の公式ブログで共通して紹介されています。

10. 未読メール・タスク・カレンダーを横断して数日分の計画を立てる 単なる並べ替えではなく、優先順位の判断が入るのがポイントです。移動時間と集中作業の枠まで考慮させられます。

C. ドライブ / ドキュメント / スプレッドシート / スライド

11. ドライブをスキャンして重要ファイルを一覧化する 公式の例文は「僕のドライブをスキャンして、一番重要なファイルをスプレッドシートに整理して」。

12. ファイルを整理してフォルダ分けする 散らかった共有ドライブの棚卸しに向きます。

13. ドキュメント・スプレッドシート・スライドを作成して編集する リサーチ結果の出力先としてよく使われます。

14. スプレッドシートに追記していく 一度きりの出力ではなく、定期実行と組み合わせて「記録が溜まっていく表」を作れるのが強みです。

15. ドキュメントのコメントを読む 2026 年 6 月 29 日に追加された機能です。レビューコメントの棚卸しに使えます。

D. Keep / ToDo リスト

16. Keep のメモを読む・書く

17. ToDo リストのタスクを作る・整理する

この 2 つは 2026 年 6 月 29 日に追加されました。ここ、注意が要ります。5 月末に出た海外の実機レビューでは「Keep には対応していない」と返されたという報告があります(TechCrunch の検証記事)。

発表から 1 か月で塞がった穴なので、古い記事を根拠に「Keep は使えない」と判断すると外します。逆に言うと、今できないことも来月にはできるようになっている可能性があります。

E. Web を自分で見に行く

18. 複数サイトを横断してリサーチし、出典付きでまとめる

19. 商品・サービスを比較する 在庫・セール・クーポンの重ねがけまで調べさせる使い方が、TechCrunch の検証で報告されています。

20. リモートブラウザでログインが必要な画面まで進む Google 側のクラウド上にあるブラウザを使います。

21. 保存された認証情報(クッキー)を管理する・まとめて削除する リモートブラウザが保存したログイン情報は、Spark の設定からいつでも削除できます。削除すると全サイトからサインアウトされます。

22. 手元の Chrome を操作する(Chrome auto browse) 2026 年 7 月 30 日に発表された機能で、自分がログイン済みのブラウザをそのまま動かせます。保存済みパスワードも使えます。

回数制限があって、AI Pro は 1 日 20 リクエスト、AI Ultra は 1 日 200 リクエストです(Chrome ヘルプ)。

23. 予約・申し込みの手前まで進める 公式ブログの例は「保存した物件の内見予約」「フライトの調査と予約プロセスの開始」。ただし金銭が動く操作、規約への同意、アカウント作成は、ユーザーが引き継ぐ設計になっています。

F. 見張らせる(Schedules)

24. 時間で動かす 1 回だけ / 毎時 / 毎日 / 毎週 / 毎月 / 毎年 の 6 種類です。

25. 条件で動かす 特定の条件に合うメールの受信と、トピックの動き。この 2 種類がトリガーとして使えます。

26. ニュース・株価・スポーツ・天気・地域イベントを監視する 2026 年 6 月 30 日のアップデートで、ブログ・ニュースサイト・SNS・金融・買い物・天気・スポーツまで監視できるようになりました。「特定の銘柄がある水準に達したら詳細なレポートを作る」「贔屓のチームの試合が終わったらハイライトと分析を送る」といった例が挙げられています。

27. スケジュール一覧の画面から手動で作る・止める 会話の中で作る方法と、専用画面から作る方法の 2 通りがあります。ただし 手動作成は時間ベースのトリガーのみ。条件トリガーは会話経由でしか作れません。

28. 走っているタスクの進捗を見る・途中で止める 公式製品ページの但し書きは「注意深く監督し、必要なら中断してください」。監視と中断は機能であると同時に、ユーザーの責任範囲として明示されています。

G. 自分専用の型を作る(Skills)

29. Gemini と対話しながらスキルを作る 2026 年 7 月 17 日から、最初のスキルとタスクの設定を Spark 自身に手伝ってもらえるようになりました。

30. テンプレートを編集する / 白紙から手で書く 用意されたテンプレートを直す方法と、白紙から書く方法の両方があります。

31. SKILL.md ファイルや .zip をアップロードする 合計 100MB まで。手元で書いた手順書をそのまま持ち込めます。

32. タスクの実行中に「今のをスキルにして」と頼む うまくいった手順をその場で型にできます。

なお公式ヘルプには「スキルは現在 Gemini Spark でのみ利用できます」と書かれています。スキルは、通常のチャットでは一切効きません。

H. パソコン本体

33. Mac のフォルダを読ませて、分析・編集・リネーム・整理させる Mac アプリの機能です。ダウンロード / デスクトップ / ドキュメント / 写真へのアクセスを許可制で開けます。

34. スマホやタブレットから Mac をリモート操作する 同一アカウントで、同じ Wi-Fi か Bluetooth 連携が条件です。リモート側のマイクで音声コマンドを出したり、メディアの再生・一時停止を制御したりもできます。

35. リモートコンピュータでコードを実行する 公式ヘルプは「タスクのために、自動保存された情報を持つリモートブラウザと、コード実行データを持つリモートコンピュータを使える」と説明しています。

36. コード実行データや保存ファイルを設定画面から消す 「Delete remote code execution data」という項目があります。何が残っているかを自分で管理できる設計です。

I. 外部サービスと繋ぐ

37. Canva / Instacart / OpenTable / Dropbox / Zillow と繋ぐ Canva・Instacart・OpenTable が 2026 年 7 月 1 日、Dropbox・Zillow が 7 月 7 日から順次提供されています。

38. 自分で選んだアプリを MCP サーバー URL で繋ぐ 2026 年 6 月 29 日に追加。公式が対応していないサービスも自分で繋げるようになりました。手順は第 6 章に書きます。

39. 連携をアプリ単位でオン・オフする 初期状態は全部オフ。使うものだけ開けて、不要になったら閉じられます。

40. YouTube とマップの情報を使う 動画の内容を要約させたり、移動時間を計算に入れた予定を組ませたりできます。

この章でやる 1 つ: 丸を付けた番号をメモアプリに書き出してください。この記事の中でここだけブックマークしておけば、後から見返せます。

第4章 シーン別の使い倒しレシピ(コピペ用プロンプト 8 本)

カタログを読んでも、最初の一手が浮かばないと動けません。実際に動いたと報告されているプロンプトを軸に、日本語で組み直したものを置いておきます。

すべて Spark のチャット欄にそのまま貼る前提です。時間や条件を文中に書いておけば、会話の中でスケジュールとして登録されます。

レシピ1: 毎朝のブリーフィング

Tom's Guide のレビュアーが「お気に入り」と書いていた型です(出典)。

毎朝 7 時に、今日のブリーフィングを作ってください。

含めるもの:

  1. 今日のカレンダーの予定
  2. 未読メールのうち、今日中に返信が要るものだけ
  3. AI 関連の主要ニュース 3 本(出典リンク付き)
  4. 今日の天気
  5. 優先順位をつけた ToDo リスト 出力は箇条書きで、5 分で読める長さに収めてください。

登録できたかどうかは、Schedules の一覧に出ているかで確認できます。

レシピ2: 受信箱の週次棚卸し

過去 7 日間の受信箱を全部見てください。

  • 対応が不要なものはアーカイブしてください
  • 返信が必要なものだけリストにしてください
  • そのうち返信文を作れるものは下書きを作ってください(送信はしないでください) 最後に、何通を処理して何通をアーカイブしたか報告してください。

最後の「何通処理したか報告して」が地味に効きます。どこまで触られたかが分からないのが一番怖いので、処理範囲の報告を毎回指示に入れるのをおすすめします。

レシピ3: 数日分の計画を立てさせる

僕のカレンダー、未読メール、ToDo リストを見てください。

予定の衝突があれば指摘して、仕事の優先順位をつけて、

今後 5 日間の現実的な計画を作ってください。

移動時間と、集中作業に必要なまとまった時間も考慮してください。

レシピ4: 自分の文体をスキル化する

公式製品ページに載っている例をベースにしたものです。

僕が最近送信したメール 50 通を読んで、

「文体スタイルガイド」としてまとめてください。

含めるもの: よく使う語尾、書き出しの型、締めの型、

相手によって変えている書き分け、避けている表現。

できあがったらスキルとして保存してください。

保存後は「このスキルを使って返信を書いて」と指定できます。

レシピ5: 定期リサーチを溜めていく

毎週金曜の 18 時に、AI エージェント関連の 1 週間のニュースを調べてください。

複数のソースを読んで、大きな流れを 3 つに整理し、

元記事へのリンクを必ず付けてください。

結果は Google ドキュメント「週次 AI ウォッチ」に追記していってください。

一度きりの出力ではなく追記させるのがコツです。3 か月続けると自分専用の資料になります。

レシピ6: 経費・サブスクの棚卸し

過去 3 か月分のメールから、サブスクリプションの

請求メールと決済通知を全部拾ってください。

サービス名 / 月額 / 課金日 / 直近の値上げの有無 を

スプレッドシートにまとめてください。

使っていない可能性が高いものには印を付けてください。

解約はしないでください。

「解約はしないでください」を入れておくのが大事です。理由は次の章で書きます。

レシピ7: 問い合わせ対応の下ごしらえ

「お問い合わせ」という件名を含むメールが届いたら、

以下を実行してください。

  1. 送信者名・会社名・希望日・要件をスプレッドシート「問い合わせ管理」に追記
  2. 返信の下書きを作成(送信はしない)
  3. 僕に通知

これはメールをトリガーにする型です。27 番で書いたとおり、条件トリガーは Schedules の画面からは作れません。チャット欄に貼って会話の中で作り、そのあと一覧に出ているかを確認してください。

レシピ8: 旅行の計画をまとめて作る

自宅から車で 3 時間以内で行ける 2 泊 3 日の家族旅行を計画してください。

宿を 3 つ比較して、費用の概算を出して、

移動を含めた行程表を作って、

すべてを 1 つの Google ドキュメントにまとめてください。

予約はしないでください。

リサーチ・比較・ドキュメント作成という Spark の得意分野が全部乗った形です。

この章でやる 1 つ: レシピ 1 をそのまま貼って、今夜のうちに 1 個だけ登録してください。明日の朝、結果が出ます。

第5章 落とし穴 6 つ(先に知っておいた方がいいこと)

ここまで「できること」を並べてきましたが、使う前に知っておくべきことが同じくらいあります。

落とし穴1: 「確認するよう設計されている」と「必ず確認する」は違う

Google の日本語ブログには「お金の支払いやメールの送信といった重要なアクションを実行する前に、必ず事前に確認するように設計されています」と書かれています。

一方で、日本語で詳しくリスクを整理している note の記事は、有効化画面の文言そのものを引いています。そこには「確認せずにユーザー情報を共有したり購入を実行したりする可能性がある」と書かれている、と(kazu 氏の記事)。

海外では、承認を求めるタイミングに明確なパターンが見当たらなかった、という検証報告もあります(TechBuzz)。

なので実務では、こう線を引くのが安全です。

  • 任せていいこと: 調査・分類・要約・下書き作成
  • 任せないこと: 送信・購入・削除・外部への共有

第 4 章のプロンプトに「送信はしないでください」「解約はしないでください」を毎回入れていたのは、この理由です。取り消せない操作だけは、指示文の側で先に塞いでおく。

落とし穴2: 受信箱は「誰でも書き込める入力欄」でもある

Spark はメールを読んで動きます。ということは、メールの本文に AI 向けの指示を仕込まれると、それを読んでしまう可能性がある。これはプロンプトインジェクション(AI に意図しない指示を紛れ込ませる攻撃)と呼ばれるもので、Google 自身が公式ヘルプで注意喚起しています。

Chrome auto browse のヘルプにも、対策はしているが「すべてのリスクからの保護を保証するものではない」と書かれています。そして「タスクを監視することが、リスクから身を守る一番重要な方法」とも。

24 時間動くエージェントの便利さと、この監視コストはセットです。

落とし穴3: 精度はまだ「調べ物」レベルで揺れる

検証記事を横並びで読むと、失敗の傾向が見えてきます。

  • 提示されたクーポンコードが無効だった / 5 件依頼したのに 4 件しか返らなかった(TechCrunch
  • 競合比較表を作らせたら、同じドキュメントの中で価格が食い違った(TechMitra
  • リサーチ結果 5 本のうち 2 本に誤りが混ざっていた、特に日付が弱かった(チャエン氏

まとまった公開情報を要約する場面では安定していて、散らばった情報から具体的な数値を組み立てる場面で崩れる。これが各記事に共通する評価です。

数字が出てきたら自分で当たり直す。今のところ、この前提は外せません。

落とし穴4: ベータなので、昨日使えた機能が今日消える

日本でも、8 月 1 日に使えるようになった翌日に機能ごと消えた、という記録があります(なぎ太氏)。インドの検証記事でも同じことが起きていて、約 24 時間後に戻ったそうです。

段階的に配信して、問題があれば一部戻す。ベータ運用としては普通の動きですが、業務の本番フローに組み込むにはまだ早いということでもあります。

落とし穴5: 上限に当たると、静かに止まる

第 2 章に制限値の表を置きましたが、実害に直結するのはこの 1 行です。

公式ヘルプに「同時実行 15 の上限に達している場合、スケジュールは実行されない」と書かれています。

長時間かかるタスクを走らせっぱなしにしていると、毎朝のブリーフィングが黙って飛びます。エラーが出るわけではないので、気づくのは「今日は来てないな」と思ったときです。

落とし穴6: Mac のファイル操作は取り消しづらい

Mac アプリでフォルダを許可すると、ファイルの編集・リネーム・移動ができるようになります。一時バックアップは作られますが、次のタスクを始めた時点か 24 時間後に消えます。

「あとで戻そう」が効かない設計です。最初に許可するフォルダは、消えても作り直せるもの 1 つに絞るところから。

この章でやる 1 つ: 自分がこれから書くプロンプトの末尾に貼る禁止文を 1 行作って、メモアプリに保存してください。たとえば「送信・購入・削除・解約は一切せず、下書きまでで止めてください」。

第6章 中級者向けの深掘り

ここからは、すでに他社のエージェントを使っている人向けです。初めて Spark を触る人は、読み飛ばしてまとめまで進んでも大丈夫です。

スキルの実体は何なのか

Spark のスキルは SKILL.md というファイルでアップロードできます。このファイル名に見覚えがある人は多いはずで、Claude の Skills と同じ名前です。

ただ、実務で使い比べた人の評価は「同じではない」という方向で一致しています。

日本語で Claude Cowork と比較している記事では、こう整理されています。Claude 側はコードと実行環境まで組み込む方向、Gemini Spark 側は現状「プロンプトベースのタスク記憶」に近く、手順を保存して繰り返すもの(やすだ.dev 氏)。

この違いは、そのまま 検証可能性の差になります。

Spark にもリモートでのコード実行はあります(35 番)。ただし手元に残るのは最終的な文章や表で、どのコードがどう成功したかの実行ログは見えません。Claude Code の「テストが落ちたら赤で止まる」に相当する足場が無い。同じ「エージェントに任せる」でも、任せた後の確認コストがまるで違います。

しかも、ある検証では 5 本のリサーチのうち 2 本に誤りが混ざっていました。率として一般化できる数字ではありませんが、「そこそこの頻度で混ざる」という前提で読む必要はある。「自動化した分だけ楽になる」とは限らない、というのはここから来ています。

カスタム MCP 接続の実際

自分で選んだアプリを繋ぐ手順はこうです。

  1. ウェブ版(gemini.google.com)を開く
  2. 設定 > Connected Apps > Custom apps for Spark
  3. 接続したいサービスの MCP サーバー URL を入力
  4. Dynamic Client Registration(接続時のクライアント登録を自動でやる仕組み)に対応していないサービスは、認証情報を手で入れる

接続後はモバイル版でも使えます。設定だけがウェブ版限定です。

そして公式ヘルプには、こう書かれています。

Google はサードパーティの MCP サーバーを制御・監視・保護していません

繋いだ先の安全性は自分の責任です。ここは公式が明確に線を引いています。

何が動いているのか

Google の発表によると、Spark が使っているのは Gemini 3.5 Flash です。Antigravity harness というエージェントの実行と並列制御を担う土台と組み合わせることで、複数のサブエージェント(親エージェントが分担して動かす子エージェント)を並列で動かせる、と説明されています(Gemini 3.5 の発表記事)。

プラン別のモデル差は公式に明記されていません。ただ Spark 全体が Flash 系で動く設計である以上、Ultra を契約したから推論力が上がる、という話ではないと考えるのが自然です。速度と並列性を優先した設計になっています。

ちなみに日本語版のブログには Flash と書いてありません。「Gemini 3.5 を搭載」までです。日英で粒度が違うので、モデルの話は英語版を見た方が正確です。

他社エージェントとの立ち位置

比較表を作るより、勝てる場面を並べた方が正確だと思います。

Spark が勝つ場面

  • Gmail とカレンダーとドライブが仕事の中心にある
  • 端末を閉じている時間に動いてほしい
  • ChatGPT や Claude が社内規定で使えない

Claude Cowork が勝つ場面

  • 出力を機械的に検証したい(コードやテストを通す)
  • 手順そのものを実行環境ごと持ち込みたい
  • サードパーティ連携を自分で組み上げたい

ChatGPT が勝つ場面

  • 連携先の数と成熟度を優先したい
  • ベータではなく一般提供の安定性が要る

海外の評価も割れています。TechCrunch のレビュアーは「有用だが、独自のブランドを持つに値するほどではない」と書いていて、Gemini 本体の機能で足りた場面が多かった、という趣旨です。

僕が一番腑に落ちたのは、前述の Claude Cowork 比較記事にあった整理でした。「どの AI が一番賢いか」より「自社の環境で使えるか」に、選定の軸が移りつつある。

ChatGPT や Claude を社内規定で禁止している会社は珍しくありません。そういう組織で、すでに使っている Google の環境の延長線上にエージェントを置ける。これは機能比較表の行には出てきません。

(もっとも、そのために肝心の Workspace アカウント対応が来ていないのは皮肉なのですが)

僕自身がどう使い分けるか

Claude Code のスケジュール実行を Spark に置き換える気は、今のところありません。検証できない出力を増やしても、確認する仕事が増えるだけだからです。

置き換えるとしたら、逆側です。

Gmail とカレンダーの「読んで並べるだけ」の仕事。ここは Google のアプリに一番近いところで動く方が速い。

賢さで選ぶ話ではなくて、データがどこにあるかで選ぶ話だと思っています。

現時点で「まだない」もの

I/O の発表では、テキスト送信・メール送信・ローカルブラウザ操作・カスタムサブエージェント・追加の MCP 連携が今後の予定として挙げられていました。このうちローカルブラウザ操作は 7 月末の Chrome auto browse として、追加の MCP 連携は 6 月末のカスタムアプリ対応として実現済みです。残る 3 つの提供状況は、公式ソースでは確認できませんでした。

この章でやる 1 つ: 更新履歴ページをブックマークして、月 1 回見る予定をカレンダーに入れてください。追加のたびに 1 行ずつ載ります。

今すぐ課金していい人 / 待った方がいい人

40 個読んでも「で、自分は 2,900 円払うべきなのか」が残ると思うので、3 行で。

  • 今すぐ払っていい人: Gmail とカレンダーが仕事の中心で、個人アカウントで完結する人
  • 待った方がいい人: 会社の Workspace アカウントで動かしたい人(対象外なので待つしかない)
  • 払わなくていい人: 出力の数字を自分で検算する時間が取れない人

まとめ

AI に指示を出す人から、AI が出してきたものを判断する人へ。

今までは、頼んで、待って、次を頼んで、を自分の稼働時間の中でやっていました。Spark は、その待ち時間を自分のカレンダーの外に追い出します。

ただし、判断する仕事は減りません。むしろ増えます。5 本のうち 2 本に誤りが混ざるなら、読む量は変わらない。

変わるのは、白紙から書き始める時間がゼロになることです。

そして今はまだベータで、明日消えるかもしれない機能でもあります。過度に期待するより、「消えても困らない仕事」から 1 つずつ渡してみるのがちょうどいい距離感だと思います。

今日から試す 3 ステップ

  • [ ] Gemini アプリで Spark タブの有無を確認する。無ければ、個人アカウントか / Pro 以上か / アクティビティ保存がオンかを見る
  • [ ] 第 4 章のレシピ 1 を今夜そのまま貼って、1 個だけ登録して寝る。明日の朝に結果が出ます
  • [ ] 1 週間動かしたら、出力の数字を 3 つ自分で当たり直す。どこが崩れるかを自分の目で把握してから、任せる範囲を広げる

いきなり 15 タスク並列にしなくていいので、まずは 1 つ。やってみませんか?

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