FRBが動いた。
政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%にした。
利上げは2023年7月以来、3年2カ月ぶり。
しかもFRBは、年内にもう1回の追加利上げを示唆した。
今回、本当に重要なのは0.25%という数字ではない。
米国、欧州、日本が、同じタイミングで利上げに動いていることだ。
日米欧「同時利上げ」という異常事態
今回のFRBの利上げによって、異常な状況が完成しようとしている。
・ECB:9月10日に0.25%利上げ
・FRB:9月16日に0.25%利上げ ← イマココ
・日銀:9月18日の会合で0.25%利上げがほぼ確実視 ← 明日
ロイター調査では、68人中66人のエコノミストが日銀の利上げを予想している。
日銀が実際に利上げすれば、世界経済の3極である米国、欧州、日本が、ほぼ同じタイミングで金融引き締めに動くことになる。
これは単なる偶然ではない。
世界中で、お金の値段が同時に上がり始めている。
世界中が、同時にお金を必要としている
各国はいま、国内への巨大投資を始めている。
・サプライチェーンの国内回帰
・半導体工場の建設
・AIデータセンターへの投資
・発電所と送電網の増強
・防衛費の拡大
・造船所や港湾の整備
・老朽化したインフラの更新
これらには、すべて莫大な資金が必要になる。世界中の政府と企業が、同じタイミングでお金を求め始めた。
しかし、使える資金には限りがある。
資金を借りたい側が増えれば、お金の値段である金利は上がる。これが、長期金利にかかっている構造的な上昇圧力だ。
そこへ、原油100ドルが重なった
さらにサウジアラビアの東西石油パイプラインが攻撃を受け、停止した。
原油価格は1バレル100ドルを突破。
エネルギー価格が上がれば、ガソリンや電気代だけでなく、輸送費、製造費、食料品まで上がる。
企業がコストを販売価格へ転嫁すれば、インフレは長期化する。転嫁できなければ、企業の利益が減る。
どちらに転んでも、経済には重い。
中央銀行も、景気を支えるために簡単には利下げできない。
つまり現在は、
・構造的な資金需要の増加
・脱グローバル化による生産コストの上昇
・戦争によるエネルギー価格の上昇
この3つが同時に起きている。
利下げできる条件が、また遠のいた。
FRBの見通しが語る、恐ろしい未来
今回FRBが示したインフレ見通しは、
・2026年:3.7%
・2027年:2.3%
・2028年:2.1%
・2029年:ようやく2%
つまりFRBは、
**「インフレが目標の2%に戻るのは2029年になる」
**と予測している。
ここで重要なのは、インフレ率が下がっても、物価が元に戻るわけではないことだ。値上がりの速度が遅くなるだけで、物価は上がり続ける。
「あと3年は、物価高が続き、住宅ローンや企業の借入負担が重くなる」とFRB自身が認めた。
さらに深刻なのが、政策金利の見通しだ。
・年内:あと1回利上げ
・2027年:利下げなし
・2028年:ようやく利下げ開始
・2029年:利下げ継続
前回の見通しでは、2027年に利下げが始まるはずだった。それが今回、据え置きへ変更された。
金利が下がる時期が、また1年先送りされた。
しかも2029年末の政策金利見通しは3.50〜3.75%。長期的な中立金利とされる3.2%より、まだ高い。つまり2029年になっても、完全には正常化していない。
今回のFOMCが伝えたのは、単なる0.25%の利上げではない。高物価と高金利が、一時的な異常ではなく、今後数年間の前提になったということだ。
低金利への帰還は、また遠のいた
市場はこれまで何度も、
「もうすぐインフレは収まる」
「もうすぐ利下げが始まる」
「金利は元の水準へ戻る」
と期待してきた。
しかし、そのたびに正常化の時期は先送りされた。
今回も、2027年に始まるはずだった利下げが2028年へ後退した。そして2029年になっても、政策金利は長期見通しの3.2%より高い。これは一時的な金融引き締めではない。
世界の金利体系そのものが、以前より高い場所へ移動した可能性がある。
安い借金を使って拡大した企業。
低い利回りでも買われていた不動産。
遠い将来の利益だけで評価されたグロース株。
すべての価格が、高金利を前提に計算し直される。
高金利が3年続いても、外部から資金を集めずに成長できる企業はどこか。
その答えを持っている投資家が、次の相場で生き残る。





