昨日神宮球場で開催されるはずだったシャンパンメーカーの協賛イベントと、始球式が中止になりました。
それについて色々言われていて、中には「球団の偉い人がキャバクラでいい顔したくて出演者をブッキングした」という、本気で見当違いをしているのかギャグなのかわからないポストも見かけました。おそらく球団にしてみればひとつの営業受注案件として実施予定だった企画だと思います。
それがなぜ中止に追い込まれてしまったのでしょうね?というのを僕なりに考えてみました。
PRしたいのは本当にシャンパンなのか?
シャンパンを売りたいから、試飲ブースを設置する。そして来場者にはパンフレットの類が配られる。これは普通に実施される予定だったようです。
さらに普通の企画であればメーカーの偉い人とか醸造元の人、あるいはCMタレントが始球式して…っていうことになると思うんですよ。
ところが今回は、商品であるシャンパンよりも「売りたいものは別にある」っていう感じがしていたんですよね。シャンパンの商品ラインナップの紹介とか、どういう品質なのかとか、出演予定だった人たちの商品に関する感想コメントなどはありましたか?僕は目にしていないです。
イベントの出演者の紹介ばかりが目立っていました。
さらに僕の疑問に追い打ちをかけたのが、球団ウェブサイトの告知ページの出演者紹介文に「夢を追いかける」云々っていう、全く具体性の無い「悪い大人が若者をだます常套句」が盛り込まれていた点です。
なんだ、PRしたいのは出演者あるいは「その業界=いわゆる『夜職』そのもの」じゃないか。
調べてみたら、その夢は「武道館に立つこと」らしいんですけど、そんな昭和のロックバンドみたいな話ありますかね?大体、何をして武道館に立ちたいんでしょうか。
開催反対の声の根幹にあるものとは?
本当の趣旨が別にあるPR戦略は、ステルスマーケティングに近い、或る意味『だまし討ち』です。
僕は今回の企画に寄せられた多くの開催反対の意見の根幹にあるのは『こういうやり口から始まる搾取への嫌悪』なのだと思います。
「子供に見せたくない」とか「夜のお店で人生を持ち崩す人がいる」とか色々な理由付けも、全てが元をただせばそこに行きつくのではないでしょうか。単純に「出演者がシャンパンをPRします」という企画だったら、ここまでの反対はあったでしょうか?
Xでは『ROLANDの始球式は良くて、キャバ嬢の始球式はダメなのか?』という言い争いみたいなやりとりも見かけました。個人的な意見としては、自分のお店の宣伝をするでもなく、多くの人にとっては「テレビなどでよく見かける、夜職キャラのタレント」として映るROLANDと、出演者あるいは業界そのものへ関心を引くための今回の企画では、ちょっと趣旨が違うかな?と思います。(もちろん露出そのものが大きな宣伝になることには違いないのですが…)
今回の企画を立案したPRプランナーは消費者の「嗅覚のようなもの」を甘く見すぎだったかもしれません。また、インフルエンサーというのはあくまで局地的・限定的な人気であり、その後ろにある嫌悪が一線を越えると爆発することは頭に入れておくべきでした。
もしそのプランナーが「そんなことはない!あくまでシャンパンのブランドを広めるのが目的だ!」と言うのであれば、こんなに胡散臭く、多くの人に嫌悪感を抱かれて中止に追い込まれるような企画を立案したあなたはプロとして失格です。
求められる『正当性』
今回のイベントの協賛商品であるシャンパンについて、本場のフランス人はほとんど知らないでしょう。日本のマーケット向けにブランディングされた商品だからです。
それ自体は悪い事ではなく、よくある話です。たとえばファッション業界ではオロビアンコを『イタリアの有名なブランド』だと思っている人もいると思いますが、現地では無名です。正当なマーケティング戦略の結果と、価格に対する対価として商品が認められたから今の認知度があるのです。
では、今回のシャンパンはどうでしょうか?この商品がどういう意図で売られているものなのか?
正直に言うと、今回のような企画をされると、うがった見方をしてしまいます。あくまで個人的な憶測の域を越えないのでここでは書くことは控えますが…本当に良いものであるのなら残念だなと思いますし、僕がこのシャンパンのブランドを好きになることはないでしょう。
最後に、こういう企画でありながら、ほいほい「協賛デー」を許した球団も浅はかと言わざるを得ないと思います。選手の年俸が高騰していく中でイベント開催も重要な営業ツールなのだと思いますが、今後はもう少し冷静な判断を望みたいと思います。





