10月11日、川崎が名古屋をホームに迎えた一戦、開始2分に先制を許すも直後に追いついた川崎だったが、後半、CBの対応ミスから名古屋に勝ち越し弾を許し、リーグ戦では今季2敗目を喫した。
手を焼いたのは“ミシャ”に率いられた名古屋の激しいマンマークであり、可変式のポゼッションであった。
特に下位からの巻き返しを図る名古屋はマンマークをベースに球際の競り合いで身体を張ってきただけに、川崎は思い通りにボールを前進できないシーンがあり、ミスも増えた。
そんななか1-1で迎えた29分にはキャプテンの脇坂泰斗と左SB三浦颯太が激しく意見をぶつける珍しい場面も起こった。
だが、一見、不穏な空気が流れたこのシーンはチームにとってはポジティブな側面もあった。
三浦に厳しい声掛けをしたキャプテンの脇坂も振り返る。
「僕と颯太の関係性があったからこそできた行動。相手に勢いを乗せてしまうようなミスで、試合前のアップから自分を含めてチーム全体が身体が重たそうだったので、何か変えたいという想いからああいう行動もしました。
それで颯太はその後、何もやられなかったですし、ゲーム展開もちょっとピリッとしたので、良かったかなとは思います。意見を言い合う場面もチームとしてより増えているのも良いこと。でもそれを結果につなげないといけないと思います」
一方の三浦も語ってくれた。
「特に大きい問題ではないと言いますか、ハーフタイムに泰斗くんには謝りました。試合が終わったあとにもしっかり話をさせてもらいました。ミスから攻められてしまったのでそこを指摘された形でした。前半、チームとしてミスも重なっていて、それで感情的になってしまった部分もありました」
どちらかと言うと、静かにプレーする選手が多かった川崎でこうした激しい意見のぶつけ合いが起こるのは悪いことではない。特にわだかまりがなく、今後へ向けた建設的な話し合いができているのなら何の問題もない。
それよりも相手が激しいマークをしてくることは分かっていたうえで、前に出る名古屋の背後が空くことを念頭に、名古屋戦は地上戦よりGKスベンド・ブローダーセンからCFデリキ・ラセルダへのロングボールを増やしたが、空中戦やセカンドボールの回収で上回れず効果的な組み立てにつなげられなかったと言える。
相手を見て臨機応変に戦い方を変えたかったが、そこには課題を残した。脇坂も厳しい表情を浮かべる。
「こういった名古屋さんのような戦い方をするチームは少ないとはいえ、避けては通れない。解決策をチームとしてより持っていかなくてはいけない。受けるつもりはなかったですが、相手の得意な形に持っていかれた場面もあった。
1対1を11個ぶつけるのではなく、自分たちはサポートの仕方やパスひとつとっても出す足まで気を使ってやっていかなくてはいけない。サッカーは掛け算のスポーツだと思っているので、そこを上手くやっていきたい。デリキへのロングボールも(マッチアップした)藤井(陽也)くんの土俵にならない、デリキの足もとに落とすだとか、どっちの足に付けるとか、そういう練習はしていますが、ゲームで出さないといけない。
やり続けることが大事ですが、勝点ゼロは優勝を目指すうえで本当に痛いので、もう一個も落とせないというような気持ちでやらないと、それも引き分けじゃなく勝ち続けるとの覚悟でやらないと、優勝は目指せないと思うのでやっていきたいです」
ひとつずつチームとしての引き出しは増えており、選手が勝利への渇望をより表現し、互いが妥協を許さない雰囲気を作り出せているのは良いことだ。
ただ、そこに結果を結びつけないと勢いが萎んでしまうのもよくあること。個々がしっかり危機感を示しているだけに、仕切り直しの勝利を目指していく。
文●本田健介





