「メタ認知がある人」と「ない人」の間で、もう取り返しのつかないレベルの格差が広がり始めています。
しかも、この格差はこれまで以上に広がるスピードが速い。AIという増幅装置が、両者の差を指数関数的に引き剥がしている、という表現のほうが正確かもしれません。
この話を書こうと思ったきっかけは、実際に直面した対照的すぎる2つのエピソードでした。
①AIに「辛辣にフィードバックしてくれ」と頼む経営者の話
以前、僕がお世話になっている経営者の方と話す機会がありました。
その方は、僕から見ても明らかに優秀な方です。ビジネス戦闘力が化け物級に高いと言ってもいい。何度もお世話になっているし、一緒に仕事をしていて「この人の思考の解像度、本当にすごいな」と思わされる場面が日常的にあります。
その方が、最近こんなことをやっていると教えてくれました。
会議のAI議事録を取った後に、それをAIに突っ込んで「この会議における俺のバリューはどれくらいだったか、辛辣にフィードバックくれ」って聞いてるんだよね フィードバックが辛辣で結構凹むんだけど、これがいいトレーニングになってるんよ
そう言うわけです。
AIからは、たとえばこんな返しが来るらしい。
- 14時23分のあなたの問いかけは、議論の論点をXからYに転換させた価値がある発言でした
- 一方で、14時40分頃のこの発言は、議論の本筋に対してあまり貢献していません
- 会議後半、15時以降はほとんど発言できていませんね。話のキャッチアップ不足なのか、言いづらいことを直言できずにモゾモゾしていたか、どっちですか?
- あなたは議論を前に進めるよりも、事実確認に時間を使いすぎる傾向がありますね
これを読んで、次の会議に臨む、と。
正直、ぞっとしました。
この人、もうこのレベルに達しているのにまだ伸びようとしてる。
しかも、話を聞いていてさらに驚いたのが、AIに議事録をただ丸投げしているわけではない、という点です。
その方のやり方は、まず自分で「今日の会議、俺はこういうところは発揮できたと思う。でもこの点はできてなかった気がする」という自己認識を書き出してから、それを添えてAIに投げているそうです。
「自分の自己認識を書いた上で、それが合っているかズレてるかも含めてフィードバックほしい」と指示すると、めちゃくちゃ辛辣だけど具体的で肌触り感ある指摘をもらえるんよ
これが何を意味するか。
自分がわかっている点と、わかっていない点の「境界線」そのものをAIに検証させている、ということです。
この構造、ちょっと考えてみてほしいんですが、凄まじいループが回り始めるんですよ。
- 自分の自己認識を書き出す
- AIが議事録と照合してズレを指摘する
- ズレが明らかになる(=メタ認知できていなかった領域が浮き彫りになる)
- 次回はそのズレを踏まえて自己認識を書き出す
- また新しいズレが見つかる…
このループが回れば回るほど、自分の認識と実態のズレが小さくなっていく。つまり、メタ認知の解像度が上がり続けるわけです。
当然、会議での振る舞いも、発言の質も、議論の回し方も、全部上がっていく。
…というのを、既に化け物みたいに優秀な人が、毎週すっげー回数、回し続けているわけです。
いやー、本当にすごい。
②「相談に乗ってあげてる」と言う人と、「あの人と話すの嫌」と言われる人の話
時系列的には①のちょっと前なのですが、また別の機会に、とある方と話す機会がありました。
仮にAさんとしましょう。
Aさんは、Bさんの相談に乗っている立場にある方です。
・Aさん:相談に乗る側
・Bさん:相談する側
僕はたまたま、AさんともBさんとも、それなりにコミュニケーションを取る機会があったんですね。
Aさん(=相談に乗る側)は、僕にこう言っていました。
いやー、最近Bさんの面倒を見るの大変なんだけどさ、まあ親身に相談に乗ってあげてるよ。1on1も定期的にやってるし
「そうなんですね、偉いですね」みたいな返事をして、その場は終わりました。
ところが、後日、Bさん(=相談する側)と話す機会があったんです。
「最近どうですか」と聞いたら、返ってきた言葉がこれでした。
あのー、正直、Aさんとの1on1、本当に嫌なんですよ。全然親身に相談に乗ってくれないし、こっちが話してる途中であくびするし。あの時間がある日は朝から憂鬱です
ふぁっ?、となりました。
同じ1on1という時間について、Aさんは「親身に相談に乗ってあげてる」と認識し、Bさんは「あの時間が苦痛で仕方ない」と感じている。
このギャップの大きさよりも、僕が本当に怖いなと思ったのは、Aさんはこの認識のズレに一生気づけない可能性がある、という構造のほうです。
Aさんは「俺はちゃんと相談に乗れている」という自己認識でいる。
その自己認識を前提にしている以上、Aさんは1on1のやり方を改善しようとは、1ミリも思わないわけですよ。
だって、できてると思ってるんだから。
改善しようと思わない以上、メタ認知力が上がる構造になりようがない。
そして、Bさんから「本当に嫌だ」と思われていることに気づけない。
気づけていないことにすら、気づけていない。
誰かが正面からビシッと「あんた、1on1のやり方ヤバいよ」と言ってくれない限り、Aさんは一生この状態のままだと思います。
そしてたいていの場合、そんなことを正面から言ってくれる人は、いません。
フィードバックしてもらえるうちが花です。
冒頭の経営者とAさん、何が違ったのか
冒頭の経営者の方とAさんを並べてみると、スキルとか地頭の差ではない、もっと根源的な何かの差があるように見えてきます。
冒頭の経営者の方は、あれだけ優秀にもかかわらず、
「自分はまだまだできていないだろう」という前提に立っている。
だからこそ、AIにフィードバックを求めるし、それも単に丸投げするのではなく「自分の自己認識はこうだが、合っているか」というレベルの聞き方をする。
一方のAさんは、「自分はできている」という前提に立っている。
だから、フィードバックを取りに行くという発想自体が生まれない。
この「前提」の差が、時間が経つほどにとんでもない差になって現れてくるわけです。
冒頭の経営者は、毎週毎週、自分のメタ認知の解像度を上げ続けている。
Aさんは、毎週毎週、自分の認識と現実のズレを拡大再生産している。
1年後、2年後、どれくらいの差になっているか、想像するだけでぞっとします。
一応、noteのサムネイル用に図示した画像を貼っておくと、こんなイメージでしょうか。

メタ認知の好循環に乗るための条件
で、ここからが本題です。
ここまでの話を踏まえて、メタ認知の好循環に乗るためには何が必要なのか、僕なりに考えてみました。
大きく3つあると思っています。
続きはnoteに詳しく書いておりますので、よろしければ。
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