はじめに:誰もが気になって、誰も確かめていなかったこと
生成AIでの教材研究が、当たり前になりつつあります。教材の構造分析、発問案の壁打ち、板書計画のたたき台——ChatGPT、Claude、Gemini、NotebookLM。使いこなす先生が増えるほど、ある問いが職員室の空気の中に漂うようになりました。
「教科書の本文って、AIに入力していいの?」
検索すれば、個人の解釈や又聞きの情報は山ほど出てきます。文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(令和6年12月 Ver.2.0)」は利活用の方向性を示してくれますが、著作権の個別の判断は、最終的には権利者の考え方に大きく左右されます。つまり、ネットの誰かの解釈をいくら読んでも、この問いには答えが出ない。
「35条があるから大丈夫」と言う人もいれば、「入力は複製だから許諾が要る」と言う人もいる。どちらの言い分にも一理あって、どちらも権利者本人の言葉ではない。教科書は、発行会社と、そこに作品を提供する数多くの著作者たちのものです。
だったら、当事者に聞くしかない。
そう考えて、私は自分が授業で使っている教科書の発行会社3社——東京書籍・光村図書・教育出版——に、同じ内容の問い合わせメールを送りました。結果、3社すべてから、驚くほど丁寧で誠実な回答をいただきました。
そして結論から言うと、答えは三社三様でした。この記事では、私が送った質問と各社の回答の要旨、そこから見えてきた共通ラインと相違点、明日からの実務でどう振る舞うべきかを、できる限り正確にまとめます。
まず前提の整理:この問題に関わる3つのルール
各社の回答を読む前に、登場するルールを簡単に整理しておきます(正確な内容は必ず一次資料をご確認ください)。
① 著作権法第35条(授業目的の権利制限)
学校の「授業の過程」であれば、必要と認められる限度で、著作物を無許諾で複製・公衆送信できるという規定です。ただし「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は除かれます。公衆送信についてはSARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)への補償金支払い(通常は設置者=自治体が一括手続き)が前提で、具体的な運用は「改正著作権法第35条運用指針」に整理されています。重要なのは、この運用指針には、生成AIへの利用についての具体的な記述がまだないということです。
② 著作権法第30条の4(享受を目的としない利用)
情報解析など、著作物の表現の「享受」を目的としない利用であれば無許諾で使える、AI時代に注目されている規定です。ただし、内容を味わい活用すること(=享受)が目的に含まれる場合は適用されません。
③ 文化庁「AIと著作権に関する考え方」等
令和6年に文化庁が示した整理で、AIへの入力・生成それぞれの段階での著作権の考え方がまとめられています。
④ 文科省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」
学校現場での生成AI利活用の基本的な考え方を示すものですが、これは「使い方の指針」であって、個別の著作物を入力してよいかどうかの許諾を与えるものではありません。利活用ガイドラインと著作権のクリアは、別々に確認が必要な2つの関門です。
そしてもうひとつ、実務上のキーワードが「オプトアウト」。入力した内容をAIの学習データとして使わせない設定のことです。今回の問い合わせでは、「オプトアウト設定が可能なサービスを、設定したうえで使う」ことを前提として明記しました。
さらに、NotebookLMのようなRAG型ツール(資料をアップロードして、その内容に基づいて回答させる仕組み)には固有の論点があります。学習には使われなくても、アップロードした資料がツール内に「蓄積」されること、そしてノートブックを複数人で「共有」できること。この「蓄積」と「共有」が、35条の判断に影響しうる——という視点は、今回の教育出版の回答で明確に指摘されており、私自身、問い合わせるまで解像度が足りていなかった部分です。
私が3社に送った質問
3社に送ったのは、次の3点です(前提として、オプトアウト設定を行ったうえでの利用であることを明記しました)。
【1】教材研究のための生成AIへの本文入力
教科書掲載教材の本文(文章のみ、イラスト・写真は含まない)を、教員である私自身が教材研究の目的でAIに入力し、構造分析・発問例の検討・板書計画の検討に活用してよいか。
【2】教材研究に基づくスライド資料の作成
その教材研究をもとに、授業で児童に提示するスライド(本文の一部引用または要約+自作の発問や図解で構成)を作成してよいか。
【3】スライドの授業内利用
作成したスライドを、担任学級の児童のみを対象に、教室内と学習端末上で授業の過程で使用することは、著作権法第35条の範囲内として差し支えないか(校外への公開・配布、SNS共有は一切しない)。
「自分の学級の授業のためだけに、必要な範囲で使う」——現場の先生が最も知りたい、最小限のユースケースに絞った質問です。
補足:なぜ「文章のみ」「オプトアウト前提」で質問したのか
質問文を作るとき、意識したことが3つあります。これから同じ問い合わせをする方の参考になると思うので、書いておきます。
第一に、論点を「本文の文章」に絞ったこと。
教科書の紙面には、文章のほかにイラスト・写真・図版が載っていて、それぞれに別の権利者がいます。ページを画像やPDFのままAIに入れる行為は、それら全員の権利に触れる可能性がある。だから質問では「イラストや写真は含まず、文章のみ」と明記して、争点を最小限にしました。実際、東京書籍の回答では図版・写真の権利者の多さへの注意が明確に示されており、この絞り込みは正解だったと感じています。
第二に、オプトアウト設定を前提として書いたこと。
「学習に使われるかもしれないAIに入れていいですか」では、答えはほぼ確実にNOです。現実に選べる最も安全な設定を前提に置くことで、権利者側も検討しやすくなります。
第三に、ユースケースを具体的な3段階に分けたこと。
「AIを使っていいですか」という漠然とした質問には、誰も答えられません。①教材研究での入力→②スライドの作成→③自学級の授業での使用、と行為を分解し、「校外への公開・配布、SNS共有は一切行わない」と範囲の外側も明示する。回答する側が○×を付けやすい形にすることが、誠実な回答を引き出す近道だと思います。
光村図書の回答:条件付きで、明快に「差し支えない」
3社の中で最も簡潔で、現場がそのまま運用に落とせる回答でした。要旨は次のとおりです。
【1】〜【3】とも、条件を満たせば差し支えない。 その条件とは——
- SARTRASへの登録を前提に、著作権法第35条の範囲内であること
- 生成AIに読み込ませるのは、授業で必要な範囲に限ること
- データを学習に蓄積させない設定(オプトアウト)を行うこと
- 教科書の全文・全ページの利用は遠慮してほしいこと
- 先生同士での共有・発信は遠慮してほしいこと(35条の範囲を逸脱してしまうため)
注目すべきは、「先生同士での共有」を明確にNGとしている点です。AIで作った良い教材ほど、学年で共有したくなる。しかし35条が守っているのはあくまで「その授業の過程」であって、教員間の教材データのやりとりは範囲の外——この線引きを、権利者の言葉ではっきり確認できたのは大きな収穫でした。
東京書籍の回答:ツール別の整理と、「超えたらNG」の具体例
東京書籍の回答は、生成AIツールごとの考え方と、範囲を超える事例の列挙が非常に具体的でした。要旨は次のとおりです。
ツール別の考え方:
- NotebookLMへの利用は、各種法令・ガイドライン上、許容とされている範囲での利用であれば、許諾手続きは不要
- ChatGPT・Geminiへの利用は、AI本体に学習させないオプトアウト等の設定をしたうえで、同様に許容範囲内であれば許諾手続きは不要
参照すべき法令・ガイドラインとして、SARTRASの「改正著作権法第35条運用指針(令和3年度版)」、文化庁の「AIと著作権に関する考え方」「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」が挙げられました。
そして、範囲を「超える」とされた具体例が5つ:
- 教科書の全体や大部分(1授業単位を超えた範囲)をコピー・スキャンすること(生成AI利用のための教科書PDF化も同様)
- スキャンしたデータを、当該授業の目的以外で利用(アップロード等)すること
- データをさらにアーカイブ化すること(生成AIツールへのデータ蓄積を含む)
- 教材データを教員等で共有すること
- 教材データ(独自開発のアプリケーション等も含む)を、インターネット上で不特定多数がアクセス可能な状態、あるいは半永久的に閲覧できる形式で公開すること
私の3つの質問に対しては、「使用する生成AIツールが前述の条件を満たしていれば、法令・ガイドライン上許容されている範囲で利用できる」、そして「必要と認められる限度」についてはSARTRASの運用指針を確認のうえ判断してほしい、という回答でした。
また、教科書の図版・イラスト・写真・動画には、同社以外にも多数の権利者(イラストレーター、画家、フォトエージェンシー、カメラマン等)が存在するため、超過事例に該当する利用にはそれらすべての権利者からの事前許諾が必要になる、という重要な注意も添えられていました。私の質問が「文章のみ」と限定していたのは、まさにこの点を意識してのことです。
教育出版の回答:最も慎重——「許諾を出すことができない」
そして教育出版の回答は、3社の中で最も慎重なものでした。詳細な検討過程まで示された、誠実で重みのある回答です。要旨をまとめます。
- 教科書の本文には同社以外の第三者が権利を持つ著作物が多数含まれており、本文すべてに対して許諾を出せる立場にない
- 教科書本文の生成AIへの利用は、著作権法上の「複製」「翻案」「公衆送信」に該当すると考えられ、原則としてそれぞれの著作権者の許諾が必要
- 著作権法第30条の4は適用外と考えられる。教材研究・スライド作成・授業利用という今回の使い方は、教科書の内容の「享受」が目的に含まれると考えられるため
- 第35条についても(同社の独自見解としつつ)適用外と思われる。追加学習によるデータの「蓄積」やAIを通じた「共有」、RAG型ツールでのデータ蓄積・複数人での共有などが、「必要と認められる限度を超える」「著作権者の利益を不当に害する」と判断される可能性がある
- 権利処理の窓口として教科書著作権協会があるが、生成AIへの利用は権利者の間でも意見が分かれるため、許諾が得られない場合や高額な利用料が発生する場合が考えられる
- 以上から、同社が権利を有する著作物についても、生成AIへの利用に関する許諾を出すことはできない
つまり実務的には、教育出版の教科書本文は、生成AIに入力しないのが安全側の結論ということになります。なお回答の中では、権利制限規定を選ぶかどうかは利用者の判断と責任によること、適用範囲かどうかは終局的には司法判断となることも、繰り返し丁寧に述べられていました。
3社を並べて見えたこと
ひと目でわかる、3社のスタンス
細部に入る前に、全体の構図を整理しておきます。
- 光村図書:【1】〜【3】とも条件付きで「差し支えない」。条件はSARTRAS登録・必要な範囲・オプトアウト・全文NG・教員間共有NG。
- 東京書籍:法令・ガイドラインの許容範囲内なら「許諾手続き不要」。NotebookLMとChatGPT/Gemini(要オプトアウト)をツール別に整理し、範囲を超えるNG事例を5つ明示。
- 教育出版:30条の4も35条も「適用外と思われる」との独自見解を示し、「生成AIへの利用に関する許諾を出すことができない」。実質、本文入力は控えるべきという整理。
「条件付きOK」「条件付きOK」「実質NG」。同じ質問への回答が、これだけ分かれました。
共通していた「最低ライン」
姿勢の濃淡はあれど、3社の回答には共通するラインがありました。
第一に、オプトアウト(学習させない設定)は大前提であること。これはスタート地点であって、これさえすれば何でもOKという免罪符ではありません。
第二に、全文・大部分の利用は論外であること。使ってよいとする会社も、範囲は「授業で必要な限度」「1授業単位」です。教科書を丸ごとPDF化してAIに読ませる行為は、どの社の回答に照らしてもアウトと考えるべきです。
第三に、教員間での共有と、ネットへの公開はNGであること。35条が守るのは「その先生の、その授業の過程」まで。AIで作った教材データを学年サーバーに置く、SNSで配布する、アプリに組み込んで公開する——便利にしたくなる方向のすべてが、範囲の外側にあります。
第四に、最終判断と責任は利用者にあること。どの社も、権利制限規定を使うかどうかは利用者の判断と責任であり、適否は終局的には司法判断だと明示または示唆しています。「出版社がOKと言ったから何をしても大丈夫」ではないのです。
最大の相違点:35条が生成AIに「効く」かどうか
一方で、決定的に分かれたのが、著作権法第35条が生成AIへの入力に適用されるかという解釈です。
光村図書は「SARTRAS登録を前提に35条の範囲内なら差し支えない」。東京書籍は「法令・ガイドラインの許容範囲なら許諾手続き不要」。そして教育出版は「35条は適用外と思われる(独自見解)」。
同じ法律について、同じ質問をして、ここまで見解が分かれる。これは各社がいい加減だからではなく、SARTRASの運用指針に生成AIの記述がまだ存在せず、法解釈が固まっていない過渡期だからです。加えて、教科書は多数の第三者著作物の集合体であり、各社が抱える権利者の構成やリスクの考え方も異なります。「出版社によって答えが違う」という事実そのものが、今回の問い合わせで得られた最大の学びでした。
明日からの実務:私はこうする
3社の回答を踏まえて、私自身は次のように運用することにしました。ひとつの実例として参考になれば幸いです。
① 教科書の発行会社ごとに対応を変える。
「AI活用はOKか?」という一般論ではなく、「この教科のこの教科書はどうか?」で考えます。見解が分かれている以上、使っている教科書の発行会社の考え方に合わせるのが筋です。判断に迷う教科書は、問い合わせる。今回の経験から言えば、各社とも真摯に答えてくださいます。
② オプトアウト設定を必ず確認する。
使用するAIサービスで、入力内容が学習に使われない設定・プランになっているかを利用前に確認します。学校で契約しているサービスなら、契約形態を管理職やICT担当に確認するところからです。
③ 入力は「1授業単位・必要な範囲」だけ。
慎重でない社の教科書であっても、入力するのは扱う教材の必要部分のみ。全文の読み込みや、複数単元をまとめたPDFの投入はしません。イラストや写真を含むページ画像は、文章以上に権利者が多いため、そもそも入力の対象にしません。
④ AIで作った教材データを共有・公開しない。
本文を含むプロンプトや生成物は、同僚との共有もSNSでの発信もしない。「この発問案いいでしょ」と見せたくなったら、本文部分を除いた自作パートだけにします。
⑤ 慎重な社の教科書は、本文を入れずに相談する。
教育出版のように慎重な見解の教科書では、本文の入力自体を控えます。その代わり、「教材名と、場面や主題を自分の言葉で要約したメモ、授業のねらい」だけをAIに渡して発問を相談する——本文という著作物を複製せずに、AIの思考力だけを借りる方法です。精度は落ちますが、権利者の意思を尊重した上でAIの恩恵を受ける、現実的な折衷案だと考えています。
そして何より、学校・自治体の生成AI利用ガイドラインの確認と、管理職への相談を忘れずに。著作権をクリアしても、服務や情報管理のルールは別に存在します。
ケーススタディ:この使い方、セーフ?アウト?
3社の回答を頭に入れたうえで、現場でありがちな5つの場面を考えてみます。以下はあくまで各社の回答に照らした筆者の理解であり、確定的な判断ではありませんが、思考の道筋の参考にしてください。
場面①:明日扱う教材1本の本文を、オプトアウト設定済みのAIに入力して発問案を壁打ちする。
今回の私の質問【1】そのものです。光村図書・東京書籍の回答に照らせば、条件(SARTRAS登録、必要な範囲、オプトアウト)を満たす限り許容と考えられます。ただし教育出版の教科書であれば、本文の入力自体を控えるのが同社の見解に沿った対応です。
場面②:学年の教科書を丸ごとPDF化して、NotebookLMに1年分アップロードしておく。
これは3社いずれの回答に照らしても厳しいと考えます。東京書籍は「1授業単位を超えた範囲の複製(AI利用のためのPDF化も同様)」「AIツールへのデータ蓄積」を超過事例として明示し、光村図書も「全文・全ページの利用は遠慮してほしい」としています。"1年分の相棒AI"は魅力的な発想ですが、現時点では権利者の示す範囲の外側です。
場面③:AIで作った、本文の引用を含むワークシートを、学年フォルダに入れて隣のクラスの先生と共有する。
アウト寄りです。光村図書は「先生同士での共有・発信」を、東京書籍は「教材データを教員等で共有すること」を、いずれも範囲外として明示しています。35条が守るのは"その先生のその授業"まで。共有するなら、本文部分を除いた自作パートに限るべきでしょう。
場面④:本文を含むプロンプトの工夫を、XやnoteでシェアしてみんなのAI活用に貢献する。
アウトです。東京書籍の回答は「インターネット環境において不特定多数がアクセス可能な状態での公開」を超過事例として明示しており、独自開発のアプリケーション等に組み込む場合も同様としています。発信するなら、本文を含まない形に加工する必要があります。教材アプリを公開している私自身にとって、これは肝に銘じるべき一文でした。
場面⑤:本文は入力せず、「教材名と、自分の言葉で書いた場面の要約、ねらい」だけをAIに渡して発問を相談する。
教科書本文という著作物を複製していないので、今回の論点の外側で運用できる方法だと考えています。教育出版のような慎重な見解の教科書でも使える、現実的な代替案です(もちろん、要約が本文の表現をなぞりすぎれば話は別です)。
今回聞いていないこと——残された論点
今回の問い合わせは「教員が、教材研究と自学級の授業のために使う」場面に絞ったものです。裏を返せば、次のような論点はまだ確かめられていません。
児童が教科書本文をAIに入力する場合。
授業の過程で、児童自身が本文をAIに入れて要約や対話をする活動はどうか。35条の「授業の過程における利用」には児童の利用も含まれ得ますが、生成AIが絡んだ場合の各社の見解は、今回の回答からは直接には読み取れません。
教師用指導書や準拠教材の場合。
教科書本体と指導書・ワークテスト等では、権利関係も価格構造も異なります。指導書のデータをAIに入れてよいかは、別の問いとして確かめる必要があります。
校務での利用。
通知表所見や学級通信づくりなど「授業の過程」ではない校務でのAI利用に、教科書由来のテキストが混ざる場合。35条は授業目的の規定なので、そもそも土俵が変わります。
SARTRAS運用指針の改訂後。
運用指針に生成AIの記述が加われば、今回の三社三様の状況は大きく変わる可能性があります。ここは継続的にウォッチし、動きがあればまた記事にします。
わからないことが、まだたくさんある。でも「どこまでがわかっていて、どこからがわからないのか」の地図が描けたことが、今回の問い合わせの価値だと思っています。
大切なお願い
この記事について、いくつか大切な注意があります。
本記事は法的助言ではありません。
私は一人の小学校教員であり、法律の専門家ではありません。各社の回答の紹介は、原文の趣旨を損なわないよう努めた筆者による要約であり、解釈の最終責任は私にあります。
各社の回答は、問い合わせ時点(2026年6月)のものです。
どの社も「現時点での法律・ガイドラインのもとでの回答」であることを明記されています。SARTRASの運用指針が生成AIに対応すれば、状況は大きく変わる可能性があります。
この記事を「OKの根拠」にしないでください。
実際に利用される際は、ご自身が使う教科書の発行会社、SARTRASの運用指針、文化庁の資料という一次情報に、必ずご自身であたってください。そして判断に迷ったら、問い合わせてください。
最後に。お忙しい中、一教員からの問い合わせに、社内で検討を重ねて丁寧な回答をくださった東京書籍・光村図書・教育出版のご担当者の皆様に、心から感謝申し上げます。3社の回答は、姿勢こそ違えど、いずれも教科書に関わる多くの権利者を守ろうとする誠実さに貫かれていました。
おわりに:グレーを「たぶん大丈夫」で走らない
正直に言えば、問い合わせのメールを送るのは勇気が要りました。「そんな細かいことを聞くな」と思われないだろうか。でも、返ってきたのは3通の真摯な回答でした。
私たちは、子どもたちに著作権を教える立場です。「作った人の権利を大切にしよう」と教える大人が、自分の教材準備では「たぶん大丈夫」でグレーゾーンを走り抜けていいはずがない。AIという強力な道具を手にした今こそ、権利と正面から向き合う姿勢が問われているのだと思います。
聞けば、答えてもらえる。確かめれば、安心して使える範囲が見えてくる。そして、確かめた人がその結果を(権利に配慮した形で)共有すれば、次に確かめる人の負担が減っていく。教育現場のAI活用は、そんな地道な確認の積み重ねの上にしか、健全に根づかないのだと思います。
この記事が、同じモヤモヤを抱える先生方の一歩目の参考になればうれしいです。そしてもし、あなたの使っている教科書の発行会社に問い合わせて回答を得たら——ぜひその「確かめた事実」を、教えてください。
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