AI研修は儲かります。1人で月3,000万円という数字も実在します。
ただ、研修だけで儲けようとした人は消えていくでしょう。
なぜそうなるのか。個人がどの順番で入ればいいのか。その手順を、相場と制度の数字含め全部書きます。
「なぜAI研修でそんな儲けられるのか」という収益の中身は、前回の記事で書きました。未読の方はこちらからどうぞ。
https://x.com/genmai_tokyo/status/2072638502953459727
前提:この市場の現在地
先に3つだけ数字を。
- 法人向けAI研修の価格は、数万円から500万円超の伴走型まで幅がある。
- 国の助成金(人材開発支援助成金・事業展開等リスキリング支援コース)を使うと、中小企業は研修経費の最大75%が戻る。
- この助成金は2027年3月31日で終わる。
AI研修が儲かる理由も、急がなければいけない理由も、これがほぼすべて。
では、短期的な儲けではなく事業として継続した売上を作るにはどうすべきか。
STEP1:自分がAIを使い、効率化・実績を具体的に伝えられるようにする
最初に作るのはカリキュラムではなく、自分の実績。
Claude CodeでもChatGPTでも何でもいい。まず自分の業務に入れて、「何の業務を、どう変えて、何時間減らしたか」を数字で言える状態にする。見積書の作成が3時間から10分になった。問い合わせ対応の下書きを自動化して週5時間浮いた。これくらいでいい。
顧客企業が買うのは講義ではなく再現性。「AIに詳しい人」は今や無数にいますが、「自分の商売で成果を出した数字を持っている人」は途端に少なくなる。研修の中身より先に、この数字が効果的です。
STEP2:初期案件の獲得
最初の案件の取り方に正解はありません。使えるルートは全部使う。
無償研修からの紹介:近くにいる、AIに疎い社長に無償で研修をやる。対価はお金ではなく、実績と紹介。中小企業の経営者ネットワークは横に繋がっていることが多いので、1社で本当に役に立てば「うちの組合の〇〇さんも困ってた」と連鎖します。
発信:XやYouTubeで自分の成果を公開する。得意な人にとっては広告費ゼロの信用形成になります。
既存の人脈:前職の取引先、商工会議所、地元の経営者の集まり。地方ほどここが効きます。AIの話ができる人間が物理的に近くにいない地域は、まだいくらでもあります。
ルートは違っても原理は1つ。営業をするのではなく、AIについて頼りたくなる証拠を見せるだけ。STEP1で作った数字はこのためです。
STEP3:刺さる部分を探りながら、メニューは後から絞り込む
いきなり「製造業の見積業務特化AI研修」のような完成形は作れません。作れたとしても、それが売れるかは別の話です。
最初の数件は汎用寄りの内容で。そして、受講者の反応を記録する。どのパートで前のめりになったか。どの業務の話で質問が増えたか。終了後に個別に聞きに来たのはどんな立場の人で何を聞かれたか。
特化メニューは考えるものではなく、こうした記録から抽出するものです。
そして絞り込みには値付け上の意味があります。冒頭で書いた通り、この市場の相場は数万円から数百万円まで開いている。相場がこれだけ曖昧な市場では、「その領域ならこの人」と絞った者だけが自分の値段を提示できます。汎用研修は比較され、特化研修は指名される。
STEP4:助成金は営業を楽にするツール
これが今、AI研修がバブってる要因。
人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを使うと、中小企業は研修経費の75%が助成されます。1人20万円の研修なら、戻りが15万円で実質負担は5万円。さらに訓練時間中の賃金助成が1人1時間あたり1,000円付きます。
顧客の決裁者に対して「実質負担は4分の1です」と言える。200万円の稟議と50万円の稟議では、通る速さが桁違い。払うのは顧客の財布ではなく、国の財布です。
実務で押さえる点は3つ。
- 申請するのは顧客企業側。講師は申請代行者ではなく「制度を正確に案内できる人」であればいい。それだけで研修会社との比較で優位に立てます
- 助成対象は「OFF-JTで訓練時間10時間以上」。半日セミナーは対象外。助成金を営業に使うなら、メニューは最初から10時間以上で組んでください。
- AI研修は通常「DX化に伴う訓練」の類型で申請します。この類型なら、解説記事でよく混同されている認定支援機関の確認は不要です。計画届を訓練開始の1か月前までに労働局へ。
この助成金は2027年3月31日まで。いま市場にある発注の相当部分は、本物の学習意欲ではなく、制度が前倒しさせた需要です。
STEP5:研修を「報酬をもらいながらやる業務リサーチ」として実施
研修講師が顧客企業から持ち帰る本当の資産は、報酬ではありません。その会社の中身です。
考えてみてください。外部の人間が、その会社の複数部署の社員と半日以上同じ部屋にいて、業務の困りごとを本人の口から聞ける機会が、研修以外にあるでしょうか。(たぶんあるけど入りやすさは今は研修が一番)
だから研修中は、教えると同時に記録します。
- 受講者の質問。質問は現場の詰まりがそのまま言語化されたものです
- 誰が発言すると場が動くか。組織図に載っていない実質の意思決定者が見えます
- どの業務がまだExcelと手作業で回っているか
- 「うちのデータは汚いから」という発言が出た部署はどこか
研修だけで儲けようとした人から消える、と冒頭に書いた理由がこれです。研修を売上として数えている人は、単価の下落と助成金の終了で消える。研修を調査として使った人は、次の商売に繋げられます。
STEP6:研修の最終日に、次の契約の話が出る状態を作る
STEP5の記録は、そのまま提案書になります。
「研修中に皆さんから出た質問を整理すると、御社の詰まりは受発注まわりに集中しています。ここをAIで直すところまで、伴走しましょうか」
最終日にこれが言えるかどうか。研修の満足度アンケートより、この一言のほうがはるかに重要です。
出口はおおむね3つの型に分かれます。
- 内製化の伴走:研修で底上げした社員と一緒に、実務へのAI導入を月額で支援する
- 顧問契約:経営者の相談相手として、ツール選定や社内ルール作りに継続的に関与する
- 業界特化サービス:複数社で同じ詰まりを見つけたら、それは商品になります。1社の困りごとは案件ですが、10社共通の困りごとは事業です
共通するのは、単発のフロー収益から継続のストック収益への移行です。研修は入口であって、事業はここから始まります。
STEP7:2027年4月を先に想像してから、今日を始める
助成金が終わった2027年4月、この市場で何が起きるか。実質50万円だった研修が、200万円に戻ります。前倒しされていた発注は消え、研修の受注は細る。研修だけを頼りにしてた事業者にとってこれは危機的。
でも、STEP5とSTEP6をやってきた人にとっては違います。数十社分の業務フローと、詰まりの一覧と意思決定者との関係が残っている。研修がなくなってもこの資産は消えません。むしろ研修需要が細ることで競合が退場し、残った顧客との継続契約だけが残る。
助成金は需要を生みません。
未来にあったはずの需要を、前倒ししているだけ。
売上の先食い期間と読んだ人は、期限と一緒に終わる。報酬をもらいながらできる市場調査の期間だと読めた人にとって、2027年3月31日は締切ではなく、仕込みが完了する日付になります。





