最強のAIに、平凡な答えばかり出させている理由は、たったひとつ。

そのAIが、あなたのことを何も知らないから。
事業のことも、顧客のことも、昨日自分が何を決めたのかも知らない。だから毎回ゼロから推測する。そして推測は、どこまでいっても「平均点」にしかならない。
僕はこの問題を、Claude Codeで"自分のコピー"を作ることで解いた。専門用語だと第二の脳(セカンドブレイン)。自分の記憶・判断・文体を、AIが読み書きできる形でディスクに溜めていく仕組みだ。
これを数ヶ月動かしてきて、今回Fable 5に合わせて全部作り直した。バージョン2.0。何をどう作ったのか、コードもフォルダ構成も、全部この記事に書く。テンプレとスクリプトはGitHubに全部置いたので、そのまま持っていって自分用に育ててほしい。
→ github.com/chaenmasahiro0425/exbrain

そもそも第二の脳って何? ── Obsidianの上の、ただのフォルダ
大げさな装置じゃない。正体は、Macの中のMarkdownファイルの束だ。これをObsidian(無料のMarkdownアプリ)で見て、Claude Codeがフォルダを直接読み書きする。プラグインもコネクタもいらない。人間はObsidianで読み、AIはフォルダを触る。両方が同じ「脳」を見ている。

PCを閉じても動く(クラウドの自動タスク)。iPhoneでも読める(iCloud同期)。そしてモデルが何に替わっても、この脳は生き残る。ここが一番大事なところだ。仕組みを一枚にすると、こういう流れになる ── 貯める → 編む → 使う。

同じFable 5でも、この脳に繋いだ瞬間、別のマシンになる。コードは自分のアーキテクチャに従い、文章は自分の声で書かれ、提案は自分が握っている事実の上に立つ。

数ヶ月動かして分かった、たった一つの教訓
去年、僕はSOUL / MEMORY / DREAMSという3ファイルを核にした第一世代を組んだ。日々のログ、Xのクリップ、議事録が自動で溜まる仕組みだ。数ヶ月回して、はっきり分かったことがある。
生ログは、放っておいても勝手に溜まる。でも、"編纂された知識"は、放っておくと勝手に腐る。
daily noteやクリップは自動化で毎日太っていく。ところが顧客ページや索引は、数週間で陳腐化した。
4月に作った顧客リストが、7月の新規案件を一件も知らないまま凍っていた。餌をやるのを覚えているときだけ育つ脳は、3週間で死ぬ。
だから「4層」に分けた ── 2.0の設計
2.0では、全部を1つの箱に入れるのをやめた。性格の違う4つの層に分けて、層ごとに「書く人」を1人だけに固定した。書き手が1人なら、同期の競合が構造的に起きない。identity(人格)は人間だけが、digest(要約)はクラウドだけが、wiki(知識)は夜間コンパイラが、raw(生ログ)は自動収集が書く。

なぜraw層を不可侵にするのか。同じAIが同じノートを読んでは書き換えを繰り返すと、ディテールが溶けて誤りが複利で増えていくからだ。生ログを凍らせておけば、上の知識層は何度でも作り直せる。
今回のアップデートは以下の海外の記事を参考にアップデートいたしました。
https://x.com/masahirochaen/status/2073548158270144705
2.0の心臓 ──「夜間コンパイラ」
ここが今回の本丸。生ログを知識に変える仕事を、毎晩23:30に走る自動コンパイラに任せた。毎晩こいつが起きて、その日のログと新しいクリップを読み、登場した顧客・人物・ツールのページを出典リンク付きで自動更新する。「サイバーエージェントと450万で合意」と書いてあれば、該当ページにその事実が積み上がっていく。

暴走させない仕掛けが3つ。①LLMにgitを触らせない。②書ける場所を層で制限(rawとidentityには指一本触れさせない)。③rawに変更が出たら自動で復元してコミットを止める。そしてコストが肝だ。編纂はルーティンワークだから、一番安いモデルに回す。プレミアムモデルが出てくるのは、週に一度の統合パスだけでいい。
脳を生かし続ける「ループ」
第二の脳は、記憶に頼らず、スケジュールで生かす。セッション開始ごとにprimerが今日の文脈を注入し、朝夕にdaily noteが生成され、4時間おきにXブックマークが集まり、毎晩コンパイルされ、日曜に腐敗検出(lint)と週次まとめが走る。プレミアムモデルが働くのは週1回だけ。あとは全部、安いモデルとシェルスクリプトが回す。ルーティンを最上位モデルに投げるのは、金をドブに捨てる行為だ。

日々"見た記憶"は、選ばなくていい
「この記事いいな、って自分で選ぶ必要ある?」──ない。それがこの設計の答えだ。
Xで気になったものは、ただブックマークすればいい。4時間おきのクリップ機能が、それをraw層に自動で流し込む(今1467件溜まっている)。
記事のリンクをSlackのDMに放り込むだけでもいい。人間のやることは"見る"だけ。選別は夜間コンパイラの仕事にした。読むことと、覚えることを、分けたわけだ。
そしてFable 5が来た ── 育てた"指示"を、8割捨てた
数ヶ月かけて書き溜めたルールは、気づけば膨大になっていた。Fable 5に載せ替えて最初にやったのは、その8割を"消す"ことだった。
旧モデルは、手取り足取り指示しないと平均点に戻ってしまった。だから「あれもするな、これもするな」を延々と書き足していた。Fable 5は違う。effort(工数)で知能と速度を握り、狙う挙動は"短い一文"で足りる。列挙をやめたら、むしろ賢くなった。
第二の脳にとっても、これは追い風だった。旧世代向けに膨らんだスキルやプロンプトは、Fable 5ではかえって質を下げる。
だから2.0では、コンパイラのプロンプトもCLAUDE.mdも短く削った。脳に溜めるのは「事実」だけでいい。振る舞いは、モデルが賢くなるほど短くなる。

まとめ ── "自分のコピー"の作り方は7ステップ

① vaultを作る(Obsidianのフォルダ)
② 4層に分ける(raw / wiki / digest / identity)、書き手を層ごとに1人に固定
③ 持っているものを全部rawに放り込む
④ 夜間コンパイルを仕込む(毎晩、安いモデルで)
⑤ 週次lintで"腐敗"を検出する(日曜・LLMなし)
⑥ リサーチを検証付きで資産化する
⑦ INDEXを玄関にして、フルスキャンを禁止する
運転席のモデルは、また替わる。でもvaultは、全ての交代を生き延びる。そして書き込まれたフィードバックが、誰が運転していようと、脳を毎週賢くしていく。一番小さいバージョンなら、1時間で作れる。フォルダ1つ、自分の事業について書いた10ファイル、そして「まずそれを読め」と言われたエージェント。あとは、出力が残りを教えてくれる。
全部オープンソースにした。テンプレも、スクリプトも、READMEの英日両方も。自由に持っていってください。→ github.com/chaenmasahiro0425/exbrain





