半年前、はじめてエクセルのCopilotに集計を頼んで、「まあ、こんなものか」と思った人。その印象のまま、今日まで来ていませんか。
先に結論を言います。いまのエクセルのCopilotは、半年前とは別の道具です。あなたの好みを覚える場所ができました。ファイルに決まりを書いておく場所もできました。中で動くAIの頭脳は、選べるようになりました。そして「全体を分析して」という雑な一言で、集計からグラフまで組み上げてくるようになりました。
私自身、社内でCopilotを広める仕事をしていますが、相談に来る人の言葉はこの半年で変わりました。以前は「何ができるんですか」。いまは「機能が増えすぎて、どれから手をつければいいか分からない」。変化が速すぎて、どこかで一度離れた人には、もう全体像が見えなくなっています。だからこの記事は、2026年9月時点でエクセルのCopilotができることを、1本に全部まとめました。全部にコピペで使える頼み方の文面つきです。いま読み切らなくてかまいません。保存しておいて、必要になった日に、必要な部だけ開いてください。そういう使い方のために書いています。
読み終えたときの変化も、先に約束しておきます。
・「これ分析しといて」と渡されたデータに、その場で手をつけられるようになります。
・できあがった表やグラフの体裁を、毎回手で直す時間が消えます。
・どこまでCopilotに任せて、どこから自分の目で確かめるか、自分で線を引けるようになります。
ここに載せた機能のいくつかは、これまでに単独の記事としても出したことがあります。この1本は、それらを含めて全体像として並べ直し、いま何ができるのかを一望できるようにしたものです。機能はこれからも増えるので、タイトルには日付を入れています。あなたが読んでいる時点で、ここに書いていないものが増えている可能性はあります。
対象は、会社のMicrosoft 365でCopilotの有償ライセンスを使っている人です。私は日系大手でAI推進マネージャーをしています。ここに書いたことは、すべて私の実機で動きを確認したものだけです。逆に、発表されていても私の環境でまだ動かないものは、載せていません。
プログラミングなどは一切いりません。ぜんぶ、日本語で頼むだけです。
本題のまえに、30秒だけ確認を。エクセルでCopilotのウィンドウを開いて、上部に「オート」という文字があるかを見てください。あれば、この記事の第3部(AIの頭脳を選ぶ)まで含めて全部使えます。見当たらない人も、第1部・第2部・第4部は動きます。リボンにCopilotのボタン自体がない場合は、ライセンス未割り当ての可能性が高いので、会社の担当部署に確認してください。
第1部:今日すぐ押せる5つ(仕込みゼロ)
まず、何も準備せずに今日使えるものからです。エクセルのCopilotについての最大の誤解は「ちゃんと指示しないと動かない」だと思っています。実際は逆で、いまのCopilotは雑に頼んだほうが実力が出る場面すらあります。その代表が、この5つです。
理屈は単純で、たとえるなら病院です。患者は症状を医学用語で説明できなくていい。「なんとなく調子が悪い」で診てもらい、問診で医者が絞り込んでいく。データの分析も数式の解読も同じで、あなたは困りごとを持ち込むだけでいい。切り分けは、向こうの仕事です。
1つだけ、先に場所を覚えてください。Copilotウィンドウの上部にある「編集を許可する」という切り替えです。これが、Copilotに手を動かさせるかどうかのスイッチ。「チャットのみ」なら相談相手、「編集を許可する」ならシートを足したり表を組んだりする作業者になります。この記事の第1部は、すべて「編集を許可する」の状態で使います。
1-1.データ分析の丸投げ
「これ、分析しといて」と渡されたデータを前に、どこから手をつけるか固まった経験はありませんか。答えは、固まったまま投げていい、です。

アンケート生データ
1このシートのデータ全体を分析してください。気づいたことも教えてください。
この一言で、新しいシートに集計表とグラフが組み上がり、チャット側には「この項目の評価が高い一方、こういう指摘が複数ある」といった気づきまで返ってきます。アンケート、売上一覧、勤怠、問い合わせ履歴。行と列のあるデータなら何でも通用します。ブックはOneDriveかSharePointに保存されていることが前提で、データは1行目が見出しになっていれば十分です。
私が研修アンケート(回答50人・評価8項目・最後に自由記述)で試したときは、数分で「研修アンケート分析」というシートが追加され、上から順にこう並びました。まず結論・重要ポイントが4行。「教材・講師・実務有用性・総合満足度は高水準で、満足度4以上が全回答。最大の改善点は演習時間」。次に主要KPI(総合満足度4.38、演習時間の十分さ2.94)、評価項目ごとの平均と5点から1点までの分布、部門別と受講経験別の比較表。そして自由記述の分類——「演習・操作時間の不足 23件・46%・最優先の改善要望」のように、テーマ・件数・構成比・解釈の4列で。最後に項目別平均のグラフ。シートの見出しには「元データは変更していません」という注記まで、自分で付けていました。

分析結果
私がやったのは、一言送っただけです。自分でピボットの設計から始めていたら、この時点でまだ切り口を悩んでいたはずです。自由記述の分類が出てこない環境なら、「自由記述の列から、よくある意見を3つにまとめて、それぞれ何件あったかも教えてください」と続けて頼めば同じものが出ます。数字にならない声が、件数つきの報告ネタに変わります。
コツは、順番です。分析には「探索」と「仕上げ」の2つの工程があって、最初の探索は注文を絞らないほうが、あなたが思いつかなかった切り口が混ざってきます。出てきたものを眺めて、「これをもっと見たい」が生まれたら、そこではじめて「部門ごとの差がわかるように集計しなおして」と注文をつける。先に投げて、後から絞る。この順番だけ覚えてください。グラフの見せ方に迷ったら、「上司への報告に向くグラフにしてください」と頼めば、見せ方の選択までCopilotがやります。優秀な部下への任せ方と同じで、最初から細かく縛るより、一度自由にやらせてから方向を直すほうが、良い仕事が返ってきます。
正直に言うと、出てきた切り口が全部正解なわけではありません。回答3人の部門の平均で語っていいのか、といった見極めはあなたの仕事として残ります。それでも、たたき台が目の前にある状態と白紙の状態とでは、報告までの距離が比べものになりません。
1-2.謎の数式の解読
前任者が残していった、IFとVLOOKUPが3重に入れ子になった長い数式。壊すのが怖いから誰も触らない。あれを日本語にできます。
1(セル番地)の数式が何をしているのか、順を追って説明してください。使われている関数それぞれの役割も添えてください。
返ってくるのは「まず別シートから該当する単価を探し、見つからない場合はゼロを表示し、見つかった場合は数量と掛け合わせる」という、順を追った日本語の説明です。数式そのものは何も変わっていません。変わるのは、それが「触れない呪文」から「読める計算」になることです。読めれば、直せます。直せれば、引き継げます。前任者の異動で塩漬けになっていたブックに、もう一度手を入れられるようになります。
逆向きの使い方もあります。自分が作った数式を説明させて、その説明文を後任向けの解説メモとして残す。引き継ぎ資料が、書かずに1つ増えます。ついでに「この数式を、もっと簡単な書き方にできますか」と聞くと、新しい関数を使った短い代替案まで出てきます。
1-3.汚れたデータの下ごしらえ
集計が合わない原因の大半は、データの汚れです。重複した行、余分な空白、「株式会社」と「(株)」の混在。この掃除も頼めます。
1このシートのデータをクリーニングしてください。重複、余分な空白、表記のゆれを探して、直す前に、見つかった問題を一覧で見せてください。
他部署から届いた名簿や売上データの整備に、月に何度この時間を使っているでしょうか。1回10分の下ごしらえが月4回あるなら、月40分。この掃除が消えるだけで、第1部のもとは取れます。
大事なのは「直す前に一覧で」の一文です。何がどう変わるのかを自分の目で確認してから直させる。掃除は強力なぶん、まとめて任せると直してほしくない表記まで統一されることがあるので、元ファイルのコピーを取ってから作業してください。
1-4.ひさしぶりに開いた管理表の、現在地を聞く
共有フォルダの課題管理表を、2週間ぶりに開く。100行超、あちこちに赤字の追記。いま何がどうなっているのか。上から目で追う代わりに、こう聞きます。
1このブックの最近の変更内容をまとめて
私の実機では、最終更新日と「直近変更は赤字追記8件・新規4件」という数の把握に続けて、主な変更が案件の中身レベルで箇条書きになり、それぞれに根拠のセル番地が付いて返ってきました。気になった項目だけ番地に飛んで原文を確かめる。会議10分前の準備が、読む作業から考える作業に変わります。
正確に線を引いておくと、Copilotが読んでいるのは表の中身であって、Excelが記録している編集の履歴ではありません。ブックの作成者と最終保存者は分かりますが、どのセルを誰が書いたかまでは分かりません。「何が起きたか」を知る道具であって、「誰がやったか」を突き止める道具ではない、と覚えてください。
1-5.Pythonを知らないまま、高度な分析を頼む
異常値の検出、統計的な傾向の分析、シミュレーション。いままでは「Pythonが書ける人に頼む仕事」でした。いまのエクセルのCopilotは、頼まれた分析に必要なPythonのコードを自分で書いて実行し、結果だけをあなたに返します。私の環境でも、Pythonの知識ゼロで動きました。
1Pythonを使って、このデータの異常値を見つけてください。なぜ異常と判断したかの理由も添えてください。
先ほどのアンケートで試すと、「Python異常値分析」というシートが追加されました。中身は3段構えです。まず判定方法ごとの該当件数。IQR法で0件、Zスコア法で0件、全項目に同じ点を付けた回答が1件、極端な高低差のある回答が18件、全体傾向から乖離した回答が12件、重複を除いた確認候補が21件。次に項目ごとの平均・標準偏差・四分位。そして確認候補21件の一覧に、1件ずつ「判定理由」の列——「7項目がすべて4点」「有用性と満足度が高いのに演習時間と操作理解が低い」といった具合に。末尾には「解釈上の注意」まで付いていました。

Pythonでの異常値検索の結果
私が気に入ったのは、統計的な外れ値がゼロだったときに「異常なし」で終わらせず、別の観点で確認候補を挙げてきたことです。決めつけず、人間が最終判断するための材料として差し出してくる。この設計なら、安心して任せられます。
「Pythonを使って」と頭に付けるだけで、Copilotが分析の手段を切り替えます。「売上の傾向を統計的に分析して」「来期の数字を3つのシナリオでシミュレーションして」「この2つの項目に相関があるか調べて」。これまで専門部署に依頼して数日待っていた種類の分析が、自席で数分になります。結果はエクセルの表の形で返ってくるので、Pythonのコードを読む必要はありません。ただし、出てきた数字を報告に使う前に、元データの件数と1カ所の値は自分の目で確かめてください。分析が高度になるほど、この習慣の価値は上がります。
第2部:あなたの好みを覚えさせる(5分)
第1部を試すと、次の不満が出てきます。「中身は合ってるけど、毎回、見た目を直してる」。グラフの色、合計の位置、セルの結合。この「最後のひと直し」は1回2分程度ですが、週5回なら月40分、1年で8時間です。直したほうが早い、は1回だけなら正しくて、毎回だと一番高くつく判断です。
その手直し、好みを1回教えれば消えます。頼むたびに全部の注文を言う運用は、家族に毎回「味は薄め、ご飯は少なめ」と言うようなもので、続くはずがない。行きつけの店の「いつもの」のように、一度覚えてもらうのが正解です。
場所は、Copilotウィンドウ右上の三点リーダー(…)から「Copilotをカスタマイズする」(環境によっては「個人用設定」という表記)。開いた入力欄に好みを書いて保存すると、以降はどのブックを開いても、その好みに沿った成果物が返ってきます。まずはこのセットを貼って、自分の流儀に書き換えてください。
1グラフは青系を基本にして、色は3つまでにする。2セルの結合はしない。3表には太字の見出しをつける。4合計の行は、表の下ではなく先頭に置く。5説明のコメントは短く、変更した点だけにする。
教えた後の変化は、地味ですが確実です。おなじ「拠点別に集計してグラフにして」の一言でも、教える前は原色5色のグラフに最下行の合計、教えた後は青系3色のグラフに先頭の合計、太字の見出し。何も言っていないのに、自分が仕上げたみたいな表が最初から返ってきます。手直しの2分が消えるのはもちろんですが、それ以上に効くのは、Copilotの成果物を「そのまま人に見せられる」ようになることです。会議の直前に「この表、そのまま画面に映せるな」と思えるかどうか。その差を作るのが、この5分です。
書き方のコツは、短く明確な行を数本まで。長い段落より、短い行の箇条書きのほうが確実に効きます。何を書けばいいか浮かばなければ、最近Copilotの成果物を手直しした記憶を思い出してください。あの直しの中身が、そのまま好みの1行になります。
1つ、仕様として知っておいてほしいことがあります。この設定はあなたのアカウントにひもづき、ファイルには保存されず、他の人と共有されません。欠点ではなく設計です。表の好みは人それぞれで、あなたの「合計は上」を全員に押しつけるべきではない。だから個人の好みは個人に、チームの決まりはファイルに(第4部で書きます)。この線引きが、後で効いてきます。
第3部:AIの頭脳を選ぶ
ここからは、冒頭の30秒確認で「オート」が見えた人の話です。あの「オート」の正体は、モデルの選択メニュー。Copilotの中で動くAIモデルそのものを、自分で選べます。
開くと、選択肢は1社ではありません。私の画面には、GPT系とClaude(クロード)系、2つの陣営の最新モデルがあわせて4つ並んでいます。エクセルの中で、AIの頭脳を乗せ替えられるということです。1つの道具の中に複数社の頭脳が同居している状況は、1年前には考えられませんでした。並ぶ顔ぶれは更新で変わっていくので、名前は覚えなくてかまいません。覚えてほしいのは仕組みだけです。
「エクセルの中のAIって、選べるものなの?」という反応を社内で何度ももらいました。選べるんです。そしてこの事実自体が、Copilotを毎日使っている人にもほとんど知られていません。
ふだんは「オート」のままでよくて、これはCopilotへのお任せ設定。メニューからモデル名を選ぶと、そのセッションのあいだ固定され、エクセルを閉じると標準に戻ります。戻し忘れの心配はいりません。
実感として効果が分かりやすいのは、集計の「設計」を相談する場面です。おなじ「この予実データ、どういう切り口で見せるのが良いと思う?」という相談でも、モデルによって提案の深さが目に見えて違います。答えが浅いと感じたら、質問を磨き込む前に、まず頭脳を替えてみる。それで解決することが結構あります。
使い分けの目安はシンプルです。軽い作業はオートのまま。月次の重い分析、複雑な集計の設計、長い文章まじりのデータ処理のときだけ、高性能なモデルに乗せ替える。そして覚えておいてほしいのは、「Copilotの答えが浅いな」と感じたとき、頼み方を変える前にモデルを変えるという選択肢があることです。同じ質問でも、頭脳が違えば答えの深さは変わります。
第4部:ファイルに決まりを覚えさせる「.Rules」(10分)
第2部で覚えさせたのは「あなたの好み」でした。ここで覚えさせるのは「そのファイルの決まり」です。金額は円表記、マイナスは赤、勝手に列を消さない。あなたの部署の当たり前を、ファイル自身に書いておけます。
体裁の注文を毎回口で言っている人は、注文を忘れた月に、円マークのない裸の数字が並んだ表を受け取ることになります。ルールを覚える場所がファイル側にあれば、この事故は構造的に起きません。
やり方は、ブックの中に「.Rules」という名前のシートを1枚作り、A列に1行1ルールで書くだけ。まずはこのセットからどうぞ。
1金額は円記号つきの3桁区切りで表示する。2パーセントは小数第1位までで統一する。3負の数は赤字のカッコつきで表示する。4既存の行や列は、指示がないかぎり削除も並べ替えもしない。
仕込んだ後の月初は、こうなります。数字を更新して「.Rulesを実行してください」。円表記も、マイナスの赤も、パーセントの桁も、ルールどおりに整って返ってくる。毎月あなたが口で言っていた体裁の注文が、ファイルに常駐した状態です。
実行は「.Rulesを実行してください」の一言です。シートを非表示にすると読まれないので、そのまま置いておいてください。見える場所にルールがあること自体が、チームへの引き継ぎ資料にもなります。
そして.Rulesの最大の価値は、ファイルと一緒に共有されることです。あなたが仕込んだルールは、そのブックを開く全員のCopilotに効きます。つまり整理するとこうなります。あなただけの趣味は個人設定へ(共有されない)。全員が守る決まりは.Rulesへ(ファイルごと配れる)。どちらに書くか迷ったら、「それは誰のためのものか」と1回だけ自分に聞いてください。3秒で答えが出ます。
この「配れる」が効くのは、チームの表の品質がそろう瞬間です。あなたが30分かけて磨いたルールセットを入れたブックをテンプレートとして配れば、誰が作業しても同じ体裁で返ってくる。個人の時短で終わらず、部署の標準になります。
書くルールに迷ったら、部下や後輩の表を直すときに毎回口で言っている注文を、そのまま1行ずつ書き写すのがいちばん早いです。口で言った回数の多い注文ほど、良いルールです。4行で始めて、手直しが発生するたびに1行ずつ足していけば十分です。
第5部:任せる前の安全装置
ここまでで、エクセルはかなりの仕事を任せられる相手になりました。最後は、任せて事故らないための装置です。2つあります。
5-1.実行前に、作業計画を見せさせる
大事なブックを触らせるとき、いちばんの不安は「勝手に何かを壊されること」です。なら、動く前に段取りを出させてください。
1実行する前に、どのセルに何をするのか、手順の計画を先に見せてください。私が承認してから作業を進めてください。
実際に使うと、「B列とC列の書式を変更し、D列に前月比の列を追加し、最後にグラフを更新します」のような段取りが先に返ってきて、あなたが良しと言ってから手が動きます。勝手に進む不安が消えると、任せられる仕事の範囲が一段広がります。部下に仕事を任せるときの「着手前に段取りだけ共有して」と同じで、任せ方の基本はAIが相手でも変わりません。計画を先に見せる専用のモードも順次展開されていますが、未展開の環境でも、この頼み方だけで同じ効果が得られます。
5-2.元データを守る一言と、60秒の検算
分析や掃除を頼むときは、この一言を添えてください。
1元のシートは変更せず、結果は新しいシートに出してください。
もう1つ、いちばん確実な安全装置は、第1部で触れた切り替えを「チャットのみ」に戻すことです。この状態のCopilotは、何を頼まれてもシートに一切手を触れません。相談だけしたいとき、他人のブックを開いているとき、まずここを見る癖をつけてください。
そして出てきた数字を使う前に、60秒だけ検算を。設問1つの平均なり合計なりを自分で計算して一致を見る。元データの行数と集計の母数が合っているかを見る。この2点だけで、報告の信頼性は段違いになります。
検算を面倒に感じるかもしれませんが、逆です。会議で数字を指摘されたとき、「検算済みです」と言えるかどうかは、あなたの報告の信用に直結します。集計方法を聞かれて「AIが出しました」としか答えられない状況だけは、避けてください。
全部を疑えという話ではありません。仕事は預けても、責任は預けない。この記事で紹介した全部の機能に共通する、たった1つの作法です。
第6部:よくあるつまずき3つ
最後に、社内で必ず聞かれる質問を3つ置いておきます。
Q1.記事どおりの機能が、自分の画面に出てきません
それはあなたの操作ミスではありません。全員が同じCopilotを見ているわけではないんです。新機能は環境ごとに順番に配られていて、同じ会社の中でも、隣の席と画面が違うことすらあります。私の環境に先に届いた機能もあれば、発表されているのに私のところにまだ来ていない機能もあります。この記事に載せたのは私の実機で動いたものだけですが、それでもあなたの環境と数週間ずれる可能性はあります。出てこない機能は、来月もう一度メニューを見てください。機能はあなたを待ってくれます。
Q2.会社のデータをAIに読ませて、大丈夫なんですか
会社が契約しているCopilotは、入力した内容が社外の学習に使われない前提で提供されていて、あなたのアクセス権の範囲でしか動きません。その意味で、個人で使う無料のAIサービスに社内資料を貼るのとは、まったく別の行為です。ただし、あなた自身が扱ってよい情報かどうかは別の話。機密ラベルの付いた資料や人事情報は、閲覧できることと、加工して共有してよいことが違います。迷ったら、その資料を印刷して机に置いたままにできるか、と考えてください。
Q3.データが汚いままでも、動きますか
動きます。書式が崩れていても、列の見出しが途中で変わっていても、まず投げてかまいません。気になるなら第1部のクリーニングを先に1回かければ十分です。「きれいに整えてからAIに渡そう」と準備を始めて、渡す前に力尽きるのが一番もったいないパターンです。汚いまま投げて、動いてから整える。順番はそれでいいんです。
まとめ:もう一度、最初の質問へ
エクセルのCopilotは何ができるのか。2026年9月時点の答えを1行ずつで置いておきます。
雑な一言で、分析・数式の解読・データ掃除・管理表の現在地の把握、そしてPythonを使った高度な分析までできる(第1部)。あなたの好みを覚える(第2部)。頭脳を選べる(第3部)。ファイルが決まりを覚える(第4部)。そして、計画を見せてから動かせる(第5部)。
半年前の「こんなものか」の正体は、性能ではなく、覚えさせる場所がなかったことでした。いまは場所があります。つまりエクセルは、その都度頼む道具から、教えたことを覚えて働く部下に変わったということです。
仕込みの所要時間も置いておきます。第1部は0分(頼むだけ)。第2部の個人設定が5分。第4部の.Rulesが10分。第3部と第5部は、使うときに思い出すだけ。合計15分の仕込みで、この記事の全部が回り始めます。
とはいえ、今日ぜんぶ仕込む必要はありません。やることは、1つだけです。
いま手元にあるデータをどれか1つ開いて、第1部の「このシートのデータ全体を分析してください」を投げてみてください。仕込みゼロで、今日の実力が見えます。半年前に「こんなものか」と思った人ほど、差に驚くはずです。手応えがあったら、この記事を保存して、第2部から順に仕込んでいってください。
一度、教えたことを覚えている状態のエクセルで働くと、もう毎回おなじ説明をくり返す使い方には戻れなくなります。
発表はされていても私の環境でまだ動かない機能は、ここには載せていません。動いたものだけで組んだ、2026年9月時点の全部です。当面は、ここに書いた5つの部で十分に戦えます。
Copilotは進化が本当に速いです。一人で最新を追い続けるより、実践している人から学ぶほうが、圧倒的に速いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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