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ゲームが面白くない 5 つの理由:巨匠から学ぶ改善のヒント

@ukyoP_san
日本語2026年6月08日
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TL;DR

この記事では、Sid Meier や Raph Koster といった伝説的なゲームデザイナーの知見に基づき、無意味な選択肢や希薄なコアループなど、面白くないゲームデザインに見られる 5 つの診断サインを解説します。

いま、ゲームを作っているけど、意図するおもしろさにならなくて繰り返し修正をしている。しかし本来ならば企画時点でそれを回避したい。

今回は、自分のゲームの「面白くなさ」を、早い段階で見抜くための5つのサインを、先人の言葉から引用してご紹介。

面白くないゲームには、必ず共通する5つのサインが出ている

「なんか違う」と感じるとき、たいてい本人は「自分の感覚が悪いのかも」「もう少し作り込めば良くなるかも」と思う。私自身も、最初の数回はそう思っていた。

ただ、よく観察すると、「なんか違う」と感じる時には、ゲームの中で必ず何かが起きている。それは感覚ではなく、観察できる具体的な5つの現象だ。

1|選択しているのに、結果が変わらない(意思決定の幻想)

1つ目はこれ。「選択しているのに、結果が変わらない」になっていないか?

ゲームの中で、プレイヤーに何かを選ばせる場面がある。コマンドを選ぶ、ルートを選ぶ、ユニットを選ぶ、買い物で何を買うかを選ぶ。面白くないゲームでは、ここに「選んでる感」だけがあって、結果がほとんど変わらないことが多い。

Aを選んでも、Bを選んでも、ゲームの進行はだいたい同じ場所に着地する。報酬の見た目は変わるが、ゲーム全体の流れには影響していない。強敵を倒した時のドロップも、結局はどれも似たような性能。

これは、ゲーム設計の世界で「意思決定の幻想」と呼ばれた失敗事例で、「シヴィライゼーション」を作ったシド・マイヤーの考え方である。彼は「ゲームとは、面白い意思決定の連続である」と言っている。

ここで重要なのが、「意思決定には、意味のある結果がついてこなければいけない」という条件だ。選んだものによって、ゲームの進行が確かに変わる。プレイヤーが「自分の選択がゲームを動かしている」と実感できる。それがあって初めて、意思決定は「面白い」になる。

逆に言うと、選択しているのに結果が変わらないと感じた瞬間、その意思決定は死んでいるのと同じだと。

**

◆チェック方法**

開発中のゲームをテストする時、こう自分に聞いてみてほしい。

  • このプレイヤーがいま選んだことで、ゲームの結末は本当に変わるのか
  • 別の選択肢を選んだ場合、何が違ってくるかを言葉で説明できるか
  • プレイヤーが「自分の選択がゲームを動かした」と感じる瞬間が、1分以内に来るか

「言葉で説明できない」「ゲームの結末は同じ」「実感の瞬間がない」のどれかに引っかかったら、意思決定の設計が間違っている。

2|中核ループの中で、プレイヤーの「動詞」が活きていない

ゲームには、プレイヤーが使う「動詞」がある。攻撃する、組み合わせる、配置する、走る、跳ぶ、見る、選ぶ、捨てる、買う、交渉する。

ゲームのジャンルによって動詞は違うが、たいていのゲームは少数の動詞を中心に組み立てられている。

面白くないゲームでは、この動詞が中核のループの中で「実は出番がない」「使ってもどうにもならない」「使うのが面倒くさい」という状態になっていることが多い。

「Theory of Fun(『おもしろい』のゲームデザイン)」を書いたラフ・コスターは、これをこう表現している。

「あなたのゲームの『動詞』が、ループの中でたくさんの場面に向き合えるなら、そのコアループは良い。向き合えないなら、コアループはたぶん悪い」。

これはとても実用的な基準だ。

たとえば、「組み合わせる」が動詞のゲームを作ったとする。

組み合わせが、ゲームの中の様々な場面(戦闘、探索、交渉、買い物)で活きるなら、動詞は機能している。

組み合わせが、特定の場面でしか使えないなら、動詞は弱い。プレイヤーは数分でその動詞に飽きる。

◆チェック方法

自分のゲームの動詞を、紙に書き出してみる。そして、中核のループの中で、その動詞がいくつの場面で意味を持つかを数えてみてほしい。

  • 動詞が1〜2場面でしか使われていない → ループが弱い、たぶん飽きが早く来る
  • 動詞が3〜4場面で使われている → 平均的、もう少し広げたい
  • 動詞が5場面以上で意味を持っている → 強いループ

3|プレイヤーが、次に起きることを予測できてしまう

ゲームをプレイしていて、次に何が起きるかが予測できると、プレイヤーは退屈する。逆に、予測できそうで、ぎりぎり外れた時、もしくは「あ、そうきたか」と感じた時、人は面白いと感じる。

これも、ラフ・コスターが書いている「人は、ゲームの中でパターンを見つけることに快感を覚える」という話と繋がる。

ゲームの中で起きていることが、一度パターンとして見えてしまうと、それ以上学ぶことがなくなる。そこから先は、ただの作業になる。

◆「予測できる」のサインは、テストで分かる

開発中のゲームをテストしてもらうと、このサインは比較的早く出る。

  • テスターが、ゲームを始めて5分くらいで「次これだよね」と先回りし始めた
  • 「ああ、こうなるんだ」「やっぱりこうか」が口に出る
  • プレイの後半、テスターが何も話さなくなる(=予測通りで驚きがない)

このサインが出たら、ゲームの中で起きていることが、プレイヤーの予測の範囲に収まりすぎている。

解決には、変化を入れる。ルールに揺らぎを入れる、ランダム性を足す、選択肢を増やす、見た目を変えるのではなくシステムを変える。

ゲーム設計の世界では「予測できる部分こそが、ゲームの中で最初に退屈になる部分だ」と言われている。プレイヤーが何回かやって「もう分かった」となった時点で、その箇所は捨てるか、揺らぎを入れるか、根本的に作り直す必要がある。

4|面白さを、説明しないと伝わらない(ルールの歪み)

これは、私自身がいまリアルタイムで気づきつつあることだ。

開発中のゲームで、ルールの一部に違和感があると、つい「UI(ユーザーインターフェース)で補おう」「説明文を足そう」となってしまう。

プレイヤーが分かりにくそうな部分に、ヘルプを足し、チュートリアルを長くし、画面の隅に説明文を入れる。本人としては「親切に説明している」つもりになっている。ただ、これは大体の場合、サインだ。

説明しないと面白さが伝わらないルールは、たぶんルールそのものが歪んでいる。

優れた設計は、説明をほとんどしない。ルールが直感的で、画面の状況だけで「何をすればいいか」が伝わる。「説明書を読まないと面白さが分からない」ものは、設計の敗北だ、と言ってもいい。

◆現場ではこう判定する

開発中のゲームで「ここに説明を足したい」と思った瞬間に、こう自分に聞いてみてほしい。

  • 説明を足さないと、プレイヤーに何が伝わらないのか
  • それは「面白さの中身」か、それとも「操作の手順」か

「操作の手順」の説明はまだいい。最初の数秒で消化されるし、覚えれば不要になる。「面白さの中身」を説明で補おうとしているなら、それは違う方向に努力している。ルール側を直さないと、何時間プレイしても、面白さは出てこない。

5|自分が、テストするために起動するのが面倒になる

制作者本人の感覚は、最後の判定材料になる。これも、シド・マイヤーが言っていることだ。

「プロトタイプを作って、しばらく経ってから、自分やテスターに『まだあれ、プレイしてる?』と聞いてみる。もし答えが『いや、もう片付けた』だったら、それは問題だ」。

いやー、でもわかる。わかるんだよ、テストって面倒だから。

ゲームをテストする時、本人としては「これは作っているんだから、起動するのは当然」と思っている。ただ、ある時から、起動するのがちょっと面倒に感じる。「あー、テストしなきゃな」と思いつつ、別のことをしてしまう。

制作者本人ですら起動が面倒なゲームを、プレイヤーが楽しんでくれる可能性は、たぶんゼロに近い。本人の感覚は、最後の判定材料として、いちばん正直で、いちばん強い。

◆「面倒くさい」が来たら、どこを直すか

「面倒くさい」が来た時、考えるべきはこれだ。ゲームの起動から、最初の楽しい瞬間に到達するまでに、どれくらい時間がかかっているか。

  • 起動から最初の楽しさまでが5秒なら、たぶんゲームは健全だ
  • 30秒なら、ちょっと長い
  • 1分なら、明らかに長すぎる
  • 3分なら、ほとんどの人は離脱する

最初の楽しさまでの距離が遠いと、制作者本人ですら、起動する気力が削られる。これがゲームの「面白くなさ」の、いちばん大きなサインである。

ここまでの5つのサイン、まとめ

  1. 選択しているのに、結果が変わらない(意思決定が死んでいる)
  1. プレイヤーの「動詞」が、ループの中で出番がない(コアループが弱い)
  1. プレイヤーが、次を予測できてしまう(パターンが浅い)
  1. 面白さを、説明しないと伝わらない(ルールが歪んでいる)
  1. 制作者本人が、起動するのが面倒になる(最後の客観指標)

これらは、感覚ではなく、観察できる現象だ。

プロトタイプを動かして、自分で遊んで、テスターに見せて、それぞれのサインが出ていないかを確認する。出ていたら、UIや演出で補うのではなく、ルールを直しに戻る。

これは、ゲームだけの話じゃない

ここまでゲームの話として書いてきたが、私が書いた5つのサインは、ゲーム以外の場面にもそのまま当てはまる。

  • 選択肢があるサービスなのに、どれを選んでも結果が同じ → SaaS、ECサイト、提案資料
  • ユーザーの主な動作が、サービスの中で出番が少ない → アプリ、ツール、ワークフロー
  • 顧客が次を予測できてしまう → ニュースレター、コンテンツ、配信、商品ラインナップ
  • 説明しないと価値が伝わらない → 商品、サービス、プレゼン、note記事
  • 自分自身が触るのが面倒になる → どんなプロダクトでも

「面白くなさ」を見抜くサインは、ゲームの中だけでなく、人を引きつけるものを作っている全員に共通する。

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