1 on 1 で「特にありません」と言われてしまうあなたへ

@Masa_Mimura
日本語4 週間前 · 2026年6月17日
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TL;DR

1 on 1 で部下が「特にありません」と答える理由を解説します。目の前の課題解決に終始するのではなく、感情的なつながりと「受け止める力」を重視することで、1 on 1 を劇的に変える方法を学びましょう。

「最近どうですか、何か困っていることありますか?」

「特にないです」

「そうですか、じゃあ引き続きよろしく」

この会話、心当たりがある管理職の方は多いのではないでしょうか。

毎週30分、律儀に時間を確保している。でも毎回「特にないです」で終わる。何かを聞き出せているわけでもない。何かが変わっているわけでもない。ただ時間だけが過ぎていく。

「1on1って、本当に意味があるのか」と思い始めたとき、まず疑ってほしいのは部下ではなく、聞き方の方です。

「特にないです」は、本音ではない

部下が「特にないです」と言うとき、本当に何もないことはほぼありません。

困っていることがある。モヤモヤしていることがある。言いたいことがある。でも言わない。

なぜか。

「評価する人に弱みを見せたくない」からです。

1on1の相手は、自分の評価者です。「できない人と思われたくない」「この悩みを話したら、仕事を任せてもらえなくなるかもしれない」。そう考えれば、「特にないです」と言うのは、至極合理的な判断です。

つまり「特にないです」が続くのは、部下に話すことがないのではなく、話せる関係がまだできていないということです。

これは責める話ではありません。構造の問題です。

「何か困っていることありますか?」が機能しない理由

1on1で最もよく使われる質問は、おそらくこれです。

「何か困っていることありますか?」

でもこの質問、ほぼ機能しません。

理由は二つあります。

一つ目は、「困っている」という状態を認めることへの抵抗です。困っていると言うことは、できていないことを告白することに近い。それを評価者の前ではできません。

二つ目は、質問が抽象的すぎることです。「何か」と聞かれても、何を話せばいいかわからない。人間は、広すぎる問いには答えられないのです。

だから「特にないです」で終わる。

コンカーで12年、何百回という1on1をやってきました。そこで気づいたのは、本音を引き出す問いと、本音を閉じる問いがある、ということです。

「何か困っていることありますか?」は、本音を閉じる問いです。

本音が出る問いと、出ない問いの違い

本音が出る問いには、共通点があります。

「評価されない話」から始まっていることです。

たとえばこういう問いは、本音を引き出しやすいです。

「最近の仕事で、一番楽しいと感じた瞬間はどんなとき?」 「逆に、やっていてエネルギーが下がるなと感じる場面はある?」 「もし今の仕事を自由に変えていいとしたら、何を変えたい?」

これらの問いには、「できる・できない」の評価軸がありません。だから防御しなくていい。正直に答えてもリスクがない。

困りごとではなく、感情から入る。

これだけで、1on1の中身がまったく変わります。

「正したい反射」を止めること

もう一つ、1on1で気をつけてほしいことがあります。

部下が話しているとき、「でも」と言いたくなる瞬間があります。

「先週の件ですが、実はこうしたらよかったんじゃないかと思っていて……」

「でもそれは、〇〇だからこうすべきだよ」

これを「正したい反射」といいます。相手を助けたい、正解を教えたいという善意から来ている衝動だから、抑えにくい。しかも経験のある管理職ほど、この反射は強くなります。

でも押せば押すほど、相手も押し返してくる。

「わかりました」と言いながら、もう聞いていない。引き出す1on1ではなく、伝える1on1になってしまいます。

コーチングの世界によく知られた言葉があります。「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」と。

部下が変わるかどうかを決められるのは、部下自身です。上司にできるのは、自分で気づく問いを渡すことだけ。

「でも」と言いかけたとき、一度黙ってみてください。

その沈黙の後に出てくる言葉が、本質です。

「受け取る力」が、1on1を変える

1on1を変えるために、もう一つ重要なことがあります。

それは、上司自身が「受け取る力」を持っているかどうかです。

部下がせっかく本音を話してくれたとき、上司がどう反応するかで、次に話してくれるかどうかが決まります。

「そうか、教えてくれてありがとう」 「それは気づかなかった。もう少し聞かせてもらえる?」

こういう反応をする上司のもとには、次も話が来ます。

「それは違うよ」「でもそれは〇〇だから」という反応をする上司のもとには、次は「特にないです」が来ます。

伝える力より、受け取る力。

これをコーチャビリティといいます。マイケル・ジョーダンはこう言っています。「自分の最も優れた資質は、コーチャブルであったことだ」と。史上最高のバスケ選手が、運動能力でも得点力でもなく、これを選んだ。

受け取る準備ができている人のもとに、声は自然と集まってきます。

明日の1on1で、一つだけ変えてほしいこと

ここまで読んで、「そうはいっても、どこから変えればいいか」と思っている方に、一つだけお伝えします。

最初の一言を変えること、それだけでいいです。

「最近どうですか、何か困っていることありますか?」を、

「最近の仕事で、楽しいと感じた瞬間ってありましたか?」に変えてみてください。

業務の話から入ると、そのまま業務の話で終わります。感情の話から入ると、そのまま感情の話が続きます。

これだけで、相手の顔が変わるはずです。

1on1は、技術です。センスではなく、問いの設計と、聞く姿勢で変わります。

「特にないです」が続いているなら、変えられます。

おわりに

この記事に書いたことは、私がコンカーの社長として12年間、失敗と試行錯誤を重ねて辿り着いたことをまとめたものです。

「正したい反射」も「受け取る力」も、最初から持っていたわけではありません。

自分が沈黙の組織を作っていたことに気づいてから、ようやく変わり始めました。

この経験を体系的にまとめたのが、「フィードバック経営」(日経BP)です。

本日、日経新聞に広告を掲載していただきました。

三村真宗📘U-ZERO(ユーゼロ) on X — cover

おかげさまで、発売からわずか2日で3刷重版が決定しました。各書店でも、続々と1位をいただいています。

  • 三省堂書店 有楽町店(ビジネス書 6/1〜6/7)
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  • 三省堂書店 池袋本店(ビジネス書 5/30〜6/5)
  • ブックファースト 新宿店(ビジネス書 5/31〜6/6)

「沈黙の組織を改善したい」と願う方々の、切実な思いの表れだと受け止めています。

1on1の設計から、フィードバックの渡し方、組織としてのフィードバック文化の作り方まで、具体的な手順を書きました。「特にないです」と言われなくなった1on1がどんなものか、ぜひ体験していただければと思います。

→ 発売2日で3刷重版決定。「フィードバック経営」の詳細はこちら https://www.u-zero.com/corporate/news/2026/06/11/20260611

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