「AIって、結局なにに使えばいいの?」
この質問を、僕は本当によくもらいます。
そこで今回は、実際に成果を出している経営者がAIをどう使っているのか、リアルな事例を紹介します。
取り上げるのは、マウスピース矯正サービス「Oh my teeth」を展開する株式会社Oh my teethの代表取締役CEO、西野誠さんです。

西野さんの実績は、数字で見ると異常です。
ほぼ自己資本のみで、創業以来ずっと黒字経営。売上は4年で15倍に伸び、ユーザー数は5万人を突破しています。
外部から大きな資金を調達して一気に伸ばしたわけではありません。自分たちのキャッシュで、着実に、しかも黒字で伸ばし続けている。
これはスタートアップの世界だと、かなり珍しいことです。
そんな西野さんは元エンジニアという経歴の持ち主で、AIの使い方が本当に上手いんです。
ここで先に、この記事の一番大事な結論をお伝えします。
西野さんのAI活用がすごいのは、プロンプトのテクニックではありません。
「AIに何をやらせるか」という問いの立て方がずば抜けているんです。
多くの人は「AIにうまく指示する方法」を探しています。でも西野さんは「そもそも自分のどの仕事をAIに渡すか」を先に考えている。
この順番の違いが、成果の差になります。
NewsPicksとIKIGAI lab.の企画で公開された西野さんのChatGPT利用履歴をもとに、その思考法を6つのプロンプト付きで解説します。
全部、明日の仕事でそのまま使えます。
その1:情報収集を「意思決定できる形」まで一気に詰める
まず一番シンプルな使い方です。
西野さんは、ふとした疑問をChatGPTに投げます。
「マリオットとハイアットの違いは?」といった素朴な調べ物です。
ここまでは誰でもやっています。でも、学ぶべきはその先です。
普通の検索は「情報を集める」で止まります。集めた情報を、自分の頭でもう一度「で、どうする?」に変換する作業が残る。
西野さんの使い方は、その変換までAIにやらせています。
つまりAIを「検索エンジン」ではなく「情報を集めて、判断材料の形に整えてくれるアシスタント」として使っているんです。
これをビジネスに応用すると、こうなります。
プロンプト例(競合調査 → 打ち手まで)
1あなたは事業戦略コンサルタントです。2以下の3社について調べ、比較したうえで「我々が取るべき打ち手」まで提案してください。34【調べる観点】5・各社の価格帯とターゲット層6・強みと弱み7・直近1年の動き(新サービス・値上げ・撤退など)89【出力形式】101. 比較表(上記の観点で3社を横並び)112. 各社の弱点=我々のチャンスになりうるポイント123. 我々が明日から取れる具体的な打ち手を3つ、優先順位つきで1314【対象3社】15(競合名を入れる)1617【我々の事業】18(自社の概要を1〜2行で)
ポイントは、最後を「打ち手を3つ、優先順位つきで」まで指定していることです。
「調べて」で止めず「調べた結果、何をすべきか」まで書かせる。
これだけで、AIの出力が「読み物」から「意思決定の材料」に変わります。
その2:AIに「前提」を注入して、体験と成果の質を上げる
西野さんはプライベートでもAIを徹底活用しています。
劇団四季を観に行くとき、移動中にAIで予習をして、体験の価値を何倍にも引き上げているそうです。
西野さんの言葉です。
「前提条件をインプットしておくだけで、イベントは何倍も楽しめます」
ここで学ぶべきは「予習」という行為ではありません。
「前提を持って臨むと、同じ時間でも得られるものが変わる」という原則です。
これは商談やMTGでこそ効きます。
初対面の商談に、相手のことを何も知らずに行く人と、相手企業・担当者・想定される課題を頭に入れてから行く人。同じ1時間でも、結果はまったく違います。
その「前提づくり」を、移動中の5分でAIに任せる。
プロンプト例(商談前の3分予習)
1これから、以下の企業と初回商談があります。2限られた時間で成果を出すために、事前に押さえるべきことを整理してください。34【相手企業】(企業名・業種・規模)5【相手の役職】(例:マーケティング責任者)6【こちらが提案したいもの】(自社の商品・サービス)78【出力してほしいこと】91. この業界・この役職の人が今抱えていそうな課題トップ3102. その課題に、我々の提案がどう刺さるか113. 商談で聞くべき質問を5つ(相手の課題を引き出せるもの)124. 想定される断り文句と、それへの切り返し
商談の前にこれを1回通すだけで、行き当たりばったりの会話が「設計された会話」に変わります。
準備した人だけが、チャンスをものにできます。
その3:議事録を「未来に効く資産」に変える
ここからが経営者らしい使い方です。
西野さんは多くの時間を面談に使っています。
その議事録作成をAIに任せているのですが、ただの要約では終わらせません。
音声データをAIに投入し「Q&A形式でまとめて」と指示します。一問一答にしておくことで、後から見返したときに圧倒的に使いやすくなるからです。
さらに、面談相手のニュアンスまで再現するプロンプトを仕込んでいます。
ここで学ぶべきは、議事録に対する考え方そのものです。
多くの人にとって議事録は「終わったことの記録」です。過去の産物ですね。
西野さんにとっての議事録は「次のアクションを生む起点」です。未来への投資なんです。
同じ議事録でも、目的が違えば作り方が変わります。
プロンプト例(議事録 → タスク・宿題の抽出まで)
1以下は会議の文字起こしです。2これを、後から誰が見ても動ける議事録にまとめてください。34【出力形式】51. 決定事項(結論だけを箇条書きで)62. 論点と結論(なぜその結論になったかがわかるQ&A形式)73. ネクストアクション(担当者・期限つきの表。担当が不明なものは「要確認」と明記)84. 次回までに持ち越しになった宿題910【補足指示】11・発言のうち「重要な意思決定の根拠」になった部分は必ず残してください。12・言った言わないを防ぐため、誰が何にコミットしたかを明確にしてください。1314【文字起こし】15(ここに貼り付け)
「決定事項」と「ネクストアクション(担当・期限つき)」を必ず出させる。
これで議事録が、そのままプロジェクトの進行管理表になります。
記録で終わらせず、行動につなげる。この一手間が効きます。
その4:AIを「壁打ち相手」にして、思考を言語化・構造化する
西野さんは、自分の思考を言語化・構造化するための「壁打ち相手」としてAIを使っています。
西野さんの言葉が刺さります。
「僕は言語化にこだわりがあって、すごく時間がかかるタイプなんです。AIはその作業を代替してくれる。しかも人間相手と違って、AIは何度でも修正をお願いできる。納得いくまで永遠に付き合ってくれるのがいい」
ここに、深い学びがあります。
AIの一番の価値は「答えをくれること」だと思われがちです。でも本当の価値は「自分の頭の中を、外に出して整理させてくれること」です。
人は、頭の中がぼんやりしたままだと動けません。でも、それを言葉にして構造化できると、一気に前に進めます。
西野さんはAIを、その「言語化の高速化装置」として使っているんです。
しかもAIは、何度ダメ出ししても機嫌を損ねません。人間の壁打ち相手だと、5回も修正を頼めば気まずい。でもAIは、納得するまで無限に付き合ってくれます。
プロンプト例(自分の考えを事業戦略に構造化する)
1これから、私が頭の中で考えていることを、まとまりなく話します。2あなたは優秀な壁打ち相手として、以下をやってください。341. 私の話を聞いて、要点を構造化して返す52. 話の中の「前提」「事実」「ただの願望」を分けて指摘する63. 論理の飛躍や、詰めきれていない点を質問で返す74. 私が納得するまで、何度でも修正に付き合う89まず私の話を聞いたら、いきなり結論を出さず、10「理解が合っているか」を確認する質問から始めてください。1112【私の話】13(ここに、考えていることをそのまま書く。箇条書きでも、話し言葉でもOK)
ミソは「いきなり結論を出さず、確認の質問から始めて」と指示している点です。
これでAIが、こちらの思考を引き出す方向に動いてくれます。一方的に答えを出す相手ではなく、対話の相手になるんです。
音声入力で、思いついたことをそのまま話しかけるのも相性がいいです。
その5:うまくいってるものを分解して、自社に移植する
個人的に、一番おもしろいと思った使い方がこれです。
西野さんは「良いサービスの構造分析」にAIを使っています。
たとえばラーメン店の「一蘭」。
テーブルの「こだわりのしおり」を写真に撮り、AIに読み込ませて「なぜこれが人の心を動かすのか、構造的に分析して」と指示します。
そして、ここで終わりません。その構造を理解したうえで「これをうちのサービスで言うならどうなる?」と、自社への応用まで一気に問いかけます。
売上30億円を黒字で伸ばす会社の経営者が、街のラーメン屋のしおりから学んでいる。
このどん欲さが、成長の裏側にあるんだと思います。
ここで学ぶべきは、「感覚」を「再現可能な構造」に変えるという発想です。
「あの店、なんかいいよね」で終わる人と、「なぜいいのかを分解して、自分のビジネスに移植する人」。この差が、じわじわ効いてきます。
うまくいっているものには、必ず理由があります。その理由を言語化できれば、それは真似できる技術になります。
プロンプト例(成功事例を分解して自社に移植する)
1あなたはマーケティングとブランド設計の専門家です。2以下の「うまくいっている事例」を分析し、私のビジネスに移植してください。34【STEP1:構造分析】5この事例が顧客の心を動かしている理由を、以下の観点で分解してください。6・顧客のどんな感情に訴えているか7・どんな体験の設計がされているか8・他社が真似しにくい「仕組み」は何か910【STEP2:抽象化】11この事例の成功要因を、業種を超えて使える「原則」の形に一般化してください。1213【STEP3:自社への移植】14その原則を、私の事業に応用する具体案を3つ提案してください。15それぞれ「明日から試せる小さな一歩」もセットで書いてください。1617【分析対象の事例】18(うまくいっているサービス・施策・文章などを貼り付け)1920【私の事業】21(自社の概要)
STEP2の「抽象化」が肝です。
事例をそのまま真似ると、ただのパクリになります。でも一度「原則」まで抽象化してから自社に落とすと、業種が違っても応用が効きます。
一蘭のしおりから、歯科矯正のサービスへ。この飛躍を可能にするのが、抽象化のステップです。
その6:プロンプトに凝るな。試行回数で殴れ
これだけAIを使いこなす西野さんですが、意外なことを言っています。
「プロンプトにはこだわらない」
良い回答が出なければ、すぐにそのチャットをリセットする。新しいチャットで同じ質問を投げる。それでもダメなら、ClaudeやGeminiなど別のAIに同じ質問をします。
西野さんの考え方です。
「単一のAIやプロンプトに固執せず、とにかく試行回数を増やす。3つのAIで3回ずつ試せば、それだけで9回の試行錯誤ができる。世界で最も賢いAIたちに9回聞けば、どれかは良い答えを出してくれる」
これは、AIに限らずビジネス全体に通じる話だと思います。
多くの人は「1回で正解を出そう」として、動き出す前に固まってしまいます。完璧なプロンプトを考えているうちに、時間だけが過ぎていく。
でも西野さんは逆です。「9回打てばどれか当たる」と割り切って、とにかく打席に立つ回数を増やす。
これ、Oh my teethが売れないブランドを素早く見切って次に進む経営スタイルと、まったく同じ発想なんです。
1回の精度を上げるより、試行回数を上げる。これが成果を出す人の共通点です。
AIは、その試行回数を爆発的に増やせる道具です。人間相手なら1日1回しか聞けない相談を、AIには1時間で10回聞ける。
だからこそ「1回で完璧を狙う」のは、AIの一番の強みを捨てているのと同じなんです。
プロンプト例(同じ問いを、あえて3つの視点で撃つ)
1以下の課題について、3人の異なる専門家になりきって、2それぞれ別々の解決策を提案してください。34・専門家A:コスト削減を最優先する財務の視点5・専門家B:売上成長を最優先するマーケの視点6・専門家C:現場が実行しやすいかを最優先する運用の視点783人の案を出したあと、最後にあなた自身の視点で9「私が取るべき案」を理由つきで1つ選んでください。1011【課題】12(解決したい課題を書く)
1回のプロンプトの中に、あえて複数の視点を撃ち込む。
これも「試行回数を増やす」の一つの形です。1つの正解を探すのではなく、複数の選択肢を並べて、その中から選ぶ。
考える主導権は自分が握ったまま、選択肢だけAIに広げてもらうイメージです。
まとめ:AIで差がつくのは「問いの立て方」
西野さんの使い方を6つ見てきました。
最後に、一番大事なことをお伝えします。
AIで成果を出す人と出さない人の差は、プロンプトのうまさではありません。
「自分のどの仕事を、どう問いに変えてAIに渡すか」の差です。
今日の6つを、その視点でもう一度まとめます。
・情報収集 → 「調べて」ではなく「調べて、打ち手まで出して」
・体験や商談 → 前提を注入してから臨む
・議事録 → 記録ではなく、次の行動を生む起点にする
・思考整理 → 答えをもらう相手ではなく、壁打ち相手にする
・成功事例 → 感覚で終わらせず、構造化して移植する
・試行回数 → 1回の完璧より、9回の試行で殴る
どれも、特別なプロンプト技術はいりません。
必要なのは「この仕事、AIにどう渡せば成果につながるか?」と考える習慣だけです。
そしてもう一つ。
ほぼ自己資本で、黒字のまま売上30億円まで伸ばした経営者が、こんなにシンプルにAIを使っている。
逆に言えば、僕たちが今日から真似できることばかりだということです。
派手な使い方は一つもありません。
地味で、実務的で、だからこそ効きます。
今日紹介したプロンプトは、全部コピペで使えるように書きました。
まずは1つ、今日の仕事で試してみてください。
その1回が、あなたのAIの使い方を変えます。
最後に:AI×X運用の情報を無料で受け取れます
僕は普段、AIを使ったX運用や、稼ぐための最新の使い方を発信しています。
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