今日、ぼーっとLinkedInを見ていたら、下記の画像に添えたポストが目に止まった。なので、釣りっぽい記事のタイトルは僕のことではないです。

LinkedInにポストされた画像
このポストをしたのは、20年以上UXデザインのキャリアを持つアメリカ・アイダホ州在住の Soudy Khan. 彼は今回のポストを通じて「22年間UXを率いてきたデザイン責任者が、業界を去る理由」を詳しく説明している。
彼が、デザイナー、特にUXディレクターとして限界を感じたその理由がかなり示唆的であり、世界中のデザイナーたちもうっすらと感じてることなんだろうなと思ったので、下記に日本語に翻訳した彼のポストを紹介します。
「AIでデザイナーを半分に減らせばいい」——そんな発想が、デザインの本質を壊している。
22年間、UXディレクターとして働いてきたが、ついにこの世界から身を引くことにした。
2週間ほど前に退職の意向を伝え、先週の水曜日がHungerRushのUX・デザイン担当VPとしての最後の勤務日となった。
まず、HungerRushには心から感謝している。
約3年半にわたり、これまで一緒に働いてきた中でも特に優秀な人たちと仕事ができた。会社は常に私とチームをサポートしてくれた。本当に感謝している。
では、なぜ辞めるのか?
それは特定の会社や、そのデザイン哲学に問題があるからではない。
業界全体が向かっている方向性に疑問を感じているからだ。
デザイン業界は「作ること」を効率化しすぎた
ここ数年、デザイン業界全体が重視してきたのは「アウトプットを増やすこと」だった。
デジタルUXの世界では、それは一般的にFigmaでデザインを大量に制作することを意味する。
デザインツールも、この効率化の流れに適応し、時にはその流れを加速させてきた。
共有ライブラリ、オートレイアウト、一箇所のボタンを変更すればすべての画面に反映される仕組み。
確かに便利だ。
しかし、ここで重要な問題がある。
制作スピードが上がったからといって、ユーザー体験が良くなるとは限らない。
私たちは画面を作るのは速くなった。
しかし、人間を理解する能力まで向上したわけではない。
AIでデザイナーを半分に減らす。それは正しい選択なのか?
そして今、次の波が押し寄せている。
AIだ。
よく聞く話はこうだ。
「デザイナーが10人いるなら、5人に減らしてAIを与えればいい。同じアウトプットを、より低いコストで実現できる」
大量生産の世界なら、この計算は成り立つかもしれない。
しかし、そもそも問いが間違っている。
本当に賢い選択は、10人のチームを維持し、AIによって生まれた時間を、本来のユーザー体験を向上させる仕事に使うことだ。
例えば、
ダイアリー調査(日記調査)
エスノグラフィー(行動観察・現場調査)
顧客インタビュー
Prolificを活用したアンケート調査
顧客が実際に働く現場で時間を過ごすこと
自分たちがデザインしている対象の仕事を、実際に体験すること
ファストフード店で1週間働いてみれば、どんなワークショップでも得られないような学びが得られるはずだ。
もちろん、1週間で専門家になれるわけではない。
しかし、現場の感覚をつかみ、自分がこれまで当たり前だと思っていた前提を疑うきっかけにはなる。
残念ながら、そうした機会を与えられるデザインチームはあまりにも少ない。
なぜ企業は「ユーザー理解」より「アウトプット」を重視するのか?
理由はシンプルだ。
私たちの業界の多くが「EXIT(売却・IPO)」を前提に作られているからだ。
急成長させる。
数字を見せる。
会社を売却するか、上場させる。
そして次のビジネスへ移る。
顧客を本当に理解するには時間がかかる。
一方で、アウトプットの増加は測定しやすく、投資家や経営陣にも説明しやすい。
その結果、私たちは「デザイナーがどれだけ多くのものを作ったか」を測り続けている。
「そのデザインによって、人々の生活や仕事が本当に楽になったか」ではなく。
デザイナーは忙しくなった。しかし、本質的な仕事は減っている
制作スピードを高めるツール。
コスト削減のためのAI。
EXITを最優先する経営思想。
これらが組み合わさった結果、デザイナーたちは常に忙しく働いている。
しかし皮肉なことに、デザインを本当に価値あるものにするための仕事に費やせる時間は、どんどん減っている。
私たちはデザインを効率化することに成功した。しかし、デザインの価値を高めることには成功していない。
デザインが壊れたのではない。デザインの使い方が間違っている。
22年間、UXチームを率いてきた今でも、私はデザインが持つ可能性を信じている。
しかし、自分がどこで、どのような形で、最も大きな価値を生み出せるのか。
それを改めて考え直す時期に来たと感じている。
だからこそ、私はこの世界から一度身を引くことにした。
そして今、燃え尽きそうになっているデザイナーたちに伝えたい。
あなたたちが感じている違和感は、間違っていない。
デザインという仕事そのものが壊れているわけではない。
問題なのは、企業が、そして私たち自身が、デザインをどう使っているかだ。
皆さんは、この状況をどう見ているだろうか。





