ついこの間まで新卒からリクルート(HR→経営企画/FP&A)で勤めていた私が、外に出てみて改めて「この会社、本当にすごいな」と思ったので、ちょっくら真面目に企業分析を書きますッ。
AIで出力していないので安心してみてください
※この前ブレイキングダウンの溝口社長くらい文章長いと言われたとこですが、今回はその倍は行く予定です^^

GIF
先に結論から言うと、リクルートを「人材会社」だと思って企業研究している人は、だいぶ違います。
もちろん、人材領域はリクルートの巨大な柱ではありますが、
リクナビ。
リクルートエージェント。
タウンワーク。
Indeed。
Indeed PLUS。
リクルートダイレクトスカウト。
このあたりの印象が強いので、外の人が「リクルート=人材の会社」と捉えるのは自然かと思います。※新卒の時私も全く同じことを思っていました。
ただ、企業研究としてはそこで止まらない方がいいです。
リクルートの本質は、人材会社ではありません。
僕の理解では、リクルートは、
「個人と企業の間にある情報の非対称性を解消し、意思決定を前に進める会社」です。
さらに、今のリクルートをより正確に言うなら、
現社長の牛田さんの言葉をお借りすると、
「日本中の企業クライアントの稼ぐ力、つまり付加価値を高める会社」
です。
※メール送る時にビビりまくっていたのが懐かしいです。
ここを理解すると、リクルートの見え方がかなり変わると思います。
リクルートの凄さは、単にサービスが有名なことではありません。
よく新卒市場で言われている、
営業が強いこと、でもないですし
若手に裁量があることでもありません。
はたまた、私のように卒業生が起業していることでもありません。
もちろん、それらも強さの一部です。
ただ、もっと本質的に見ると、リクルートは60年以上にわたって、
**社会にある「不」を見つける。
その不を情報とテクノロジーで可視化する。
個人と企業の出会いをつくる。
出会いを市場にする。
市場をプラットフォームにする。
プラットフォーム上の行動データを蓄積する。
そのデータをもとに、さらにマッチング精度を高める。
最後は、企業の売上・生産性・付加価値向上まで入り込む。**
このサイクルを、HRに限らず様々な領域で形変えながら何度も再現してきた会社だと捉えています。
故に、リクルート完全に理解をするには、まず歴史から見た方がいいです。
※FPA時代にリクルートのFPAの祖である方にも同じことをアドバイスいただきました。
【リクルートの歴史編】
リクルートは1960年、大学新聞専門の広告代理店として創業しました。
その2年後、1962年に大学生への求人情報を集めた就職情報誌「企業への招待」を発行します。
ここで確立されたのが、リクルートの根幹にある「リボン図モデル」です。
リボン図モデルとは、
個人ユーザーと企業クライアントを結びつけるビジネスモデルです。

図で見ると、左側に個人ユーザー。
右側に企業クライアント。
その真ん中にリクルートが位置しています。
リクルートは、
個人と企業の間にある情報の非対称性を解消し、より良い出会いを生み出す。
これが原点です。
当時の就職活動を想像すると分かりやすいと思います。
今のように、学生がインターネットで企業情報を検索し、
求人を比較し、口コミを見て、エントリーする環境はありませんでした。
学生は、限られた情報の中で就職先を選ぶしかない中で、
企業側も、自社に合う学生と効率的に出会う手段が限られていました。
学生には「選択肢が見えない」という不がありますし、
企業には「自社に合う人材と出会えない」という不がある。
その間に、求人情報を集め、編集し、届けることで、新しい出会いを作った。
これがリクルートの始まりです。
つまり、リクルートは最初から「情報を扱う会社」でした。
広告会社というより、情報の流通を変えた会社です。
そして、その情報流通を通じて、
個人の選択と企業の機会を増やしてきた会社です。
この構造は、今のリクルートにもそのまま残っています。
リクルートの沿革を見ると、事業領域はどんどん広がっています。
**中途採用
人材紹介 ※おせわになりましたッ
人材派遣
進学
住宅
中古車
結婚
旅行
飲食
美容
教育
SaaS ※おせわになりましたッ
業務支援
HR Tech**
一見すると、かなり多角化している会社に見えます。
ただ、構造はほぼ同じです。
個人ユーザー側には、いつも何らかの「不」があります。
就職先を探しにくい。
転職先を比較しにくい。
住まいを選びにくい。
結婚式場を比較しにくい。
旅行先や宿泊施設を探しにくい。
飲食店を探しにくい。
自分に合う美容サロンが分からない。
学習機会に格差がある。
一方で、企業クライアント側にも「不」があります。
採用できない。
集客できない。
予約管理が煩雑。
決済が面倒。
顧客管理が属人的。
売上が見えない。
業務が非効率。
良いサービスを持っていても、顧客に届かない。
人手不足で本来やるべき経営改善に時間を使えない。
リクルートは、この両面の不を同時に見ています。
個人には、より多くの選択肢を届ける。
企業には、より良い顧客接点と業務支援を提供する。
この両方をやるから、リボンモデルが成立します。
ここがリクルートの凄さです。
片側だけを見る会社は多いと思います、
例えば、ユーザーだけを見るメディア。
企業だけを見る広告代理店。
業務改善だけを見るSaaS。
採用だけを見る人材会社。
でもリクルートは、個人と企業の両側を同時に見ます。
そして、その間で発生する行動をデータ化し、マッチングを改善し、企業の売上や生産性にまで踏み込む。
だから、単なる広告会社ではありません。
単なる求人会社でもありません。
単なるSaaS会社でもありません。
「個人の選択」と「企業の稼ぐ力」を接続する会社と整理ができます。
ここを理解しないと、リクルートの企業研究は浅くなります。
現在のリクルートグループは、大きく3つの事業で構成されています。
1つ目が、HRテクノロジー事業。
2つ目が、人材派遣事業。
3つ目が、MMT(マーケティング・マッチング・テクノロジー)事業。
内部にいた頃は、HRとMMTで分けられていましたね。
外に出ると上記の整理がいいかなと個人的に思ったので整理しています。
FY2026の連結売上収益は約3.7兆円。
EBITDA+Sは約7,943億円。
言わずもがな、巨大な企業です。
ただ、売上の大きさ以上に重要なのは、各事業の役割です。
まず、HRテクノロジー事業。
Indeedなどを中心に、グローバルな人材マーケットプレイスを運営しています。
ここでやっていることは、単なる求人広告ではありません。
求人検索。
求人レコメンド。
プロフィール作成。
経歴書掲載。
キャリアアドバイス。
動画や電話による面接設定。
ソーシング。
スクリーニング。
候補者とのやり取り。
面接。
採用プロセスの効率化。
採用に関わる一連のプロセスを、テクノロジーとAIで簡単にしようとしています。
公式資料では、HRテクノロジー事業のオンライン求人マッチング・採用プラットフォームに掲載される求人件数は2,000万件以上。
Indeedを採用のために毎年利用する企業クライアントは350万社。
Indeed上で作成された求職者プロフィールは6億6,500万件以上。
さらに、2025年のIndeed上における1分当たりの平均採用者数は31名とされています。
この数字はかなり大きいです。
1分に31人が採用されているということは、
リクルートは単に「求人を見せる会社」ではなく、
実際に採用という意思決定の成立に深く関わっているということです。
しかも、リクルートが見ているのは求人広告市場だけではありません。
**求人広告及び採用ツール市場。
人材紹介市場。
エグゼクティブサーチ市場。
採用オートメーション市場。
人材派遣市場。**
これらを総称して、人材マッチング市場と定義しています。
2025年のグローバル人材マッチング市場規模は、
約3,020億米ドルと推計されています。
つまり、リクルートは「求人広告の会社」として戦っているのではなく、
人材マッチング全体の非効率を解こうとしています。
採用は、企業にとって非常に重い経営課題です。
**人を採れないと、事業は伸びません。
採用に時間がかかると、機会損失が生まれます。
ミスマッチが起きると、本人にも企業にも大きな損失が出ます。**
特に今後は、労働人口が減っていきます。
企業にとって、採用にかかる時間とコストを下げること。
求職者にとって、自分に合う仕事に速く出会えること。
この重要性はどんどん高まります。
リクルートのHRテクノロジー事業は、ここを解こうとしています。
公式資料では、Simplify Hiringという戦略が掲げられています。
※めちゃ重要です
**採用を、もっと簡単にする。
もっと速くする。
もっと一人ひとりに合ったものにする。**
この考え方です。
さらに面白いのは、日本国内でもIndeed PLUSを通じて、リクルートの既存ジョブボードとIndeedのテクノロジーを接続しようとしていることです。
タウンワークやリクナビNEXTなど、国内で長年蓄積してきた求人・求職者データと、Indeedのマッチング技術を組み合わせる。
これによって、企業はより多くの候補者に効率的に出会える。
求職者は、より多くの求人から仕事を選べる。
**昔からある国内人材事業を、
Indeedのテクノロジーで再編集しているような動きです。**
ここもリクルートらしいです。天才ですよね。
既存事業を守るだけではなく、既存の顧客接点とデータを、新しいテクノロジーに接続していく。
次に、人材派遣事業。
人材派遣は、HRテクノロジーと比べると地味に見えるかもしれませんが、外に出て驚いたのはこの事業規模です。
**FY2026の人材派遣事業の売上収益は約1.7兆円。
**日本、欧州、米国、豪州などで展開しています。
※バケモンかよッ
人材派遣事業は、構造上、派遣スタッフの給与などが売上原価に含まれるため、利益率だけを見ると他事業より低く見えます。
ただ、これは事業構造の違いです。
人材派遣は、企業の柔軟な人材ニーズと、個人の多様な働き方をつなぐ重要なインフラです。
正社員採用だけでは、企業の人材ニーズは満たせません。
**繁忙期。
短期プロジェクト。
専門スキル。
欠員補充。
地域ごとの労働需給。
ライフステージに応じた働き方。**
こうした現実に対して、人材派遣は非常に重要な役割を持っています。
リクルートはここにも、
データや自動化を入れようとしています。
公式資料では、人材派遣事業においても、独自のマッチングエンジン等のテクノロジーを活用し、企業クライアントにはより良い採用体験を、派遣社員にはより良い求職体験を提供していくと説明されています。
つまり、**派遣も単なる人の手配ではなく、
マッチング精度とスピードを高める対象になっています**。
そして3つ目が、MMT(マーケティング・マッチング・テクノロジー)事業です。以下MMTとする。
**個人的には、今のリクルートを理解する上で、ここが非常に重要だと思っています。
**※特に私はMMT領域のFPAを担当していたので、思い入れが強いです^^
なぜなら、ここに「日本中の企業クライアントの稼ぐ力を高める」というリクルートの現在地がかなり明確に出ているからです。
MMTには、
住宅、美容、旅行、飲食、自動車、結婚、教育などの領域が含まれます。
**SUUMO。
HOTPEPPER Beauty。
HOTPEPPER グルメ。
じゃらん。
ゼクシィ。
スタディサプリ。
ABT(air business tools)。**
こうしたサービスです。
ここで重要なのは、リクルートが「掲載して終わり」のメディアから、
企業の業務・経営支援に入り込む会社へ進化していることです。
昔のモデルは、分かりやすく言えば広告掲載でした。
**企業クライアントが掲載料を支払う。
リクルートのメディアに載る。
ユーザーが見る。
予約・問い合わせ・応募が発生する。**
もちろん、これだけでも強いです。
しかし、今のリクルートはそこに留まりません。
**予約管理。
決済。
売上管理。
顧客管理。
会計。
請求。
採用。
給与。
分析。
価格改善。
販促設計。
AIによる経営提案。**
企業クライアントの業務プロセスに入り込み、
経営改善まで支援しようとしています。
これがAirビジネスツールズです。
Airレジ。
Airペイ。
Airシフト。
Airワーク。
Airインボイス。
Airカード。
Airメイト。
※めっちゃあるよね。当時覚えるの大変だった
店舗や中小企業にとって、これらの業務は本当に重いです。
売上を伸ばしたい。
でも、予約管理に時間がかかる。
決済対応が面倒。
人手不足でシフトが回らない。
請求や会計が煩雑。
採用もできない。
顧客データを活用できない。
忙しすぎて経営改善に時間を使えない。
日本の多くの中小企業や店舗は、この状態に近いと思います。
リクルートは、ここに対して「業務をラクにする」だけではなく、
「稼ぐ力を高める」方向へ進んでいます。
この表現はかなり重要です。
公式資料でも、Help Businesses Work Smarterを推進し、
「日本中の企業クライアントの稼ぐ力を高める」ことで売上収益増大を図る、という文脈が出ています。
僕はここが、今のリクルートを理解する上で最重要だと思っています。
リクルートは、単に日本中の店舗や企業から広告費をもらいたいのではありません。
**企業クライアントの売上を増やす。
業務効率を上げる。
生産性を高める。
付加価値を上げる。
その結果として、リクルートも対価をいただく。**
この方向に進んでいます。
リクルートは自分たちが儲かることしか考えていないという発言をされる方よくがいますが、中にいた僕としてはむしろお節介なくらいお客様のことを考え抜いてそれが結果的に競争優位となりリクルートも結果的に儲かっているのだと思っていました。
つまり、企業の売上に貢献し、その一部をリクルートの収益にするモデルへ進化しています。
その象徴が、HOTPEPPER Beautyとサロンボードです。
美容領域の事例は、リクルートの凄さがかなり分かりやすいです。
HOTPEPPER Beautyは、美容系検索予約のマッチングプラットフォームです。
ヘアサロン、ネイルサロン、まつ毛サロン、エステサロン、リラクゼーションサロン、美容医療クリニックなどが対象です。
個人ユーザーは、店舗検索、スタイル検索、即時予約、決済までをモバイルアプリやWebで行えます。
公式資料では、HOTPEPPER Beauty上で成立した予約件数は、
2011年度の約290万件から、2024年度には約1.6億件まで増大しています。
この伸びはかなり異常です。
しかも、リクルートは単にユーザーを集めただけではありません。
地域単位で営業活動を展開し、サロンの新規開拓に加えて、運用立ち上げまで伴走しています。
ここがリクルートらしいです。
プラットフォーム企業というと、プロダクトだけで勝っているように見えるかもしれません。
でも、リクルートは違います。
**営業が現場に入り、企業クライアントを開拓し、運用まで支援する。
企業クライアントが増える。
ユーザーにとって選択肢が増える。
ユーザー数が増える。
予約が増える。
企業クライアントの売上が増える。
さらに企業クライアントが増える。**
この好循環を、プロダクトと営業の両方で作っています。
さらに、サロンボードがあります。
サロンボードは、予約枠管理に加え、会計・売上管理までを一元的に行う、美容サロン向けの業務支援SaaSです。
Airレジも搭載されており、売上管理から分析まで、バックオフィスに関わる業務を幅広く支援しています。
ここが非常に重要です。
HOTPEPPER Beautyだけなら、集客プラットフォームです。
でも、サロンボードまで持つと、サロンの業務データに近づきます。
予約データ。
売上データ。
客数データ。
メニュー別売上。
曜日別稼働。
スタッフ別の強み。
価格設定。
リピート状況。
これらをもとに、サロンの経営改善を支援できるようになります。
公式資料では、サロンボードの「AI経営相談」も紹介されています。
例えば、企業クライアントが「客単価の上げ方を教えて」と入力すると、店舗の実際のデータをもとに、AIが客単価アップのための具体的な提案を返す。
すでに一部の企業クライアントは、この機能を使って価格調整やキャンペーン設計を行っていると説明されています。
これ、めちゃくちゃ重要です。
リクルートは、予約を取る会社から、経営相談に乗る会社へ進化しています。
もっと言うと、サロンの「稼ぐ力」を上げる会社になっています。
実際、美容領域では、HOTPEPPER Beauty経由のGMV、
つまり流通取引総額が、2024年度には約1.1兆円まで増大しています。
2019年度から2024年度までの5年間のCAGRは14.2%。
一方で、従来の期待アクション数別プランに基づく美容分野の売上収益CAGRは7.4%でした。
つまり、企業クライアント側のGMVの伸びに対して、
リクルートの売上収益は完全には連動していなかった。
そこで導入されたのが、GMV連動モデルです。
美容分野では、従来の期待アクション数別プランに加えて、
GMVに対する従量課金率1%のモデルが始まっています。
これは非常に大きな変化です。
なぜなら、リクルートの収益モデルが、
企業クライアントの売上成果により近づくからです。
ただ掲載料をもらうのではなく、
企業クライアントのGMV増大に貢献し、その一部を対価としていただく。
つまり、リクルートと企業クライアントの利害がより一致する。
これは事業モデルとしてかなり強いです。
しかも、完全な従量課金ではなく、
固定と従量を組み合わせたハイブリッド型です。
ここにもリクルートらしさがあります。
美容サロンのリピートは、プラットフォームの力だけでは決まりません。
スタイリストの技術。
接客。
店舗体験。
雰囲気。
立地。
価格。
個人ユーザーとの相性。
こうした要素に大きく左右されます。
だから、すべてをリクルートの成果として課金すると、
企業クライアントの納得感が得られにくい。
そこで、固定とGMV連動を組み合わせる。
この設計がかなり現実的です。
リクルートの強さは、単に理想論を掲げることではなく、現場の納得感を見ながらビジネスモデルを進化させるところにあります。
さらに、旅行分野ではオンラインサービス開始当初から従量課金を導入しており、飲食分野や住宅領域でも一部サービスでGMV連動モデルの導入が始まっています。
つまり、美容だけの話ではありません。
リクルートは、複数のバーティカルで、企業クライアントの売上により深く連動するモデルへ進化しようとしている。
ここまで見ると、リクルートの現在地はかなり明確です。
昔のリクルートは、情報誌の会社でした。
次に、インターネットメディアの会社になった。
その後、マッチングプラットフォームの会社になった。
今は、AIとSaaSを使って、
企業クライアントの業務効率化と売上向上を支援する会社になっています。
つまり、
**情報流通の会社
↓
マッチングの会社
↓
業務支援の会社
↓
企業の付加価値向上を支援する会社**
へ進化しています。
この進化を理解できると、リクルートの凄さが見えてきます。
しかも、リクルートは日本国内だけではありません。
2012年にIndeed、2018年にGlassdoorを買収し、
HRテクノロジー事業がグループ成長を牽引する形になっています。
現在は、60以上の国と地域でサービスを展開しています。
リクルートの歴史を見ると、国内のリボンモデルで培った
「個人と企業をつなぐ力」を、
グローバルの人材市場に持ち込んでいることが分かります。
これもかなりすごいです。
日本で人材、住宅、美容、旅行、飲食などのマッチング事業を作ってきた会社が、IndeedとGlassdoorを通じて、グローバルな採用市場の非効率に挑んでいる。
しかも、その裏側ではAI、機械学習、生成AI、外部ATS連携、候補者プロフィール、企業クライアントデータを活用して、マッチング精度を高めようとしている。
リクルートは「営業が強い会社」と言われます。
それは間違いありません。
でも、営業が強いだけではここまで来られません。
**
リクルートの強さは、営業・プロダクト・データ・事業開発・人事が接続されていることです。**
**営業が現場の不を拾う。
プロダクトが仕組みにする。
データが改善を加速する。
事業開発がビジネスモデルを進化させる。
人事がそれを担える人材を育てる。**
この接続が強い。
※営業時代何度もプロダクトや企画の人にヒアリングされました。徹底していたかのように思えます。
そして、リクルートの人事制度もかなり特徴的です。
有名なのが、Will-Can-Mustです。
**Willは、本人が実現したいこと。
Canは、活かしたい強みや克服したい課題。
Mustは、業務目標や能力開発につながるミッション。**
リクルートでは、このWill-Can-Mustシートを半期ごとに運用します。
本人と上司が対話しながら、本人が主体的・自律的に取り組めるように目標を設定する。
これを聞くと、単なる目標管理制度に見えるかもしれません。
でも、実際はかなり重要です。
リクルートは、個人と企業をマッチングする会社です。
そして社内でも、個人のWillと組織のMustをマッチングしています。
本人がやりたいことだけでは、事業成果にはなりません。
会社がやらせたいことだけでは、個人の情熱は続きません。
本人の強みを見ないと、成果も成長も最大化しません。
だから、
**Will:本人が何を実現したいのか。
Can:本人は何ができて、何を伸ばすべきか。
Must:組織は何を期待しているのか。**
この3つをすり合わせる。
個人の情熱を、組織成果に変換する。
組織の期待を、個人の成長機会に変換する。
この仕組みがWCMです。
※Willがなくても大丈夫です。私は一貫してwillありませんって答えていました。(笑)
さらに、人材開発委員会があります。
直属の上司だけでなく、他の組織長も交えて、一人ひとりの育成方針を議論する場です。
半期ごとに、本人のWillとCanを踏まえて、どのような仕事やポストが適切かを議論します。
ここも非常にリクルートらしいです。
人材を、今いる部署の労働力としてだけ見ない。
会社全体のアセットとして見る。
その人のWillは何か。
強みは何か。
課題は何か。
次にどんなミッションを任せると伸びるか。
どんな配置なら、本人の成長と組織成果が両立するか。
これを組織横断で考える。
さらに、ミッショングレード制があります。
年齢、入社年次、経験、性別に関わらず、
任される職務に応じてグレードを決める制度です。
半年ごとに、
**個人の能力見立てに基づき、
どの程度の成果を期待するか、
さらに成長に向けてどのレベルの仕事を任せたいか**を定めます。
そして、その職務価値に応じてグレードを設定します。
ここも合理的です。
**年次ではなく、職務価値で見る。
年齢ではなく、期待成果で見る。
マネジメントだけでなく、ハイプロフェッショナルラインなどのキャリアパスもある。**
これにより、若手でも大きなミッションを持つことができる。
そして、ミッションを持つから成長する。
「成長したい人が集まる会社」というより、
「成長せざるを得ないミッションを渡す会社」と言った方が
近いかもしれません。
また、キャリアウェブ制度もあります。
これは、リクルートグループ内で募集されている仕事に従業員が自由に応募し、マッチングが成立すれば異動できる制度です。
元部署の上司に拒否権がないというのが特徴です。
普通の会社では、優秀な人ほど現場が手放したがりません。
でも、それを許してしまうと、
個人のWillと会社全体の最適配置が止まります。
リクルートは、
個人の意思による異動機会を制度として用意しています。
社外で転職しなくても、
社内で新しいマーケットに移れる。
これも、個人と機会をマッチングする会社らしい制度です。
さらに、よもやま/1on1の文化もあります。
リクルートでは、上司との定期的な1on1だけでなく、
とりとめなく気軽に雑談しあえる「よもやま」の文化があります。
まだ自分でもうまく言語化できていない状態でも、
他者と対話することで、
新しい発見につながったり、
本当に大切にしたい好奇心や情熱に気づくきっかけになる。
これも、WCMとつながっています。
Willは、最初から明確にあるものではありません。
対話しながら掘るものです。
**現場で違和感を持つ。
顧客の不に気づく。
自分の関心に気づく。
強みを言語化する。
次のミッションに接続する。**
この繰り返しが、リクルートの人材育成です。
リクルートの人事がすごいのは、
個人の情熱を放置しないことです。
「やりたいことを尊重します」で終わらない。
Willを聞く。
Canを見立てる。
Mustを渡す。
ミッションを設計する。
人材開発委員会で議論する。
よもやまで対話する。
キャリアウェブで機会を開く。
ミッショングレードで職務価値を明確にする。
**個人の成長と会社の成長を、かなり仕組みで接続している。
**ここが本当に強いです。
※私がリクルートに入って一番得たものはこの仕組みです。
リクルートの採用で見られるポイントも、
ここから逆算すると分かります。
リクルートは、
ただ営業ができる人を採りたいわけではありません。
ただ頭が良い人を採りたいわけでもありません。
ただ成長意欲がある人を採りたいわけでもありません。
求められるのは、
**社会や顧客の不に気づける人。
その不を自分ごととして捉えられる人。
事実を集めて構造化できる人。
本当に解くべき問題を見立てられる人。
筋の良い仮説に仕立てられる人。
周囲を巻き込み、動かせる人。
最後までやり抜ける人。
自分のWillを、組織のMustと接続できる人。**
こういう人です。
リクルートには、「6つのスキル・4つのスタンス」という考え方があります。
6つのスキルは、大きく言えば、
**見立てる。
仕立てる。
動かす。**
に整理できます。
見立てるとは、構造で捉え、問題を特定すること。
仕立てるとは、筋の良い仮説を立て、プロセスを作り込むこと。
動かすとは、ビジョンを打ち出し、人を理解し、周囲を巻き込むこと。
4つのスタンスは、
**圧倒的な当事者意識。
考え抜く、やり抜く姿勢。
広く、深く学び続ける姿勢。
チームとして協働を追求する姿勢。**
このあたりを見ても、リクルートが求める人物像はかなり明確です。
単に「頑張れます」では足りません。
単に「成長したいです」でも足りません。
単に「人材業界に興味があります」でも足りません。
リクルートで強い人は、
社会や顧客の不を見つけて、
それを構造化し、
事業や顧客成果に変換できる人です。
なので、リクルートに転職したい人は、
志望動機をかなり丁寧に作った方がいいです。
「成長したいです」
「裁量が欲しいです」
「無形営業で力をつけたいです」
「人材に興味があります」
これだけだと、かなり弱いです。
リクルート側から見ると、
**なぜリクルートなのか。
どの事業の、どの不に関心があるのか。
あなたは過去にどんな不に向き合ったのか。
その不をどう見立てたのか。
どんな仮説を立てたのか。
どのように周囲を動かしたのか。
どこまでやり抜いたのか。
その経験が、リクルートのどのミッションで再現できるのか。**
ここが見たいです。
例えば、人材領域を受けるなら、
「人のキャリアに関わりたいです」
で止めない方がいいです。
それよりも、
「採用市場には、求職者が自分に合う選択肢を見つけきれず、企業も本当に会うべき候補者に出会えていないという情報の非対称性がある。加えて、採用プロセスには、ソーシング、スクリーニング、面接設定、候補者対応など多くの手作業が残っている。私は前職で、顧客や候補者の意思決定の摩擦を構造化し、選択肢を整理してきた。この経験を、採用プロセスの効率化とマッチング精度向上に接続したい」
くらいまで言った方がいいです。
※やりすぎかも(笑)
リクルートの企業研究で大事なのは、
サービス名を覚えることではありません。
そのサービスが、
誰の、
どんな不を、
どんな構造で解いているのかを見ることです。
そして、自分の経験と接続することです。
リクルートを受けるなら、
最低限、次の問いに答えられるようにした方がいいです。
**自分は過去に、どんな社会の不や顧客の不に気づいたのか。
それは、単なる感想ではなく、どんな事実に基づく課題だったのか。
その課題を、どのように構造化したのか。
なぜ、それを自分が解きたいと思ったのか。
どのような仮説を立てたのか。
どのように周囲を巻き込んだのか。
結果として、誰の意思決定を前に進めたのか。
企業の売上、生産性、採用、集客、業務効率にどう貢献したのか。
その経験は、リクルートのどの事業で再現できるのか。
自分のWillは、リクルートのMustとどう接続されるのか。
**
ここまで整理できると、かなり強いです。
リクルートの凄さは、表面的には分かりにくいです。
サービスが身近すぎるからです。
SUUMOで家を探す。
HOTPEPPER Beautyで美容室を予約する。
じゃらんで宿を探す。
ゼクシィで結婚式場を探す。
リクナビで就活する。
リクルートエージェントで転職する。
Airレジで会計する。
Airペイで決済する。
日常の中に溶け込みすぎていて、
逆に凄さが見えにくい会社だと思います。
でも、経営目線で見ると、
かなり異常な会社です。
人生の大きな意思決定から、
日常消費、
採用、
業務支援まで、
個人と企業の接点を押さえている。
そして、その接点で発生する行動をデータ化し、マッチングを改善し、企業の売上や生産性に踏み込んでいる。
さらに、その仕組みをHRテクノロジーではグローバルに展開し、MMTでは日本国内の企業クライアントの稼ぐ力向上に向けて進化させている。
これは、かなり大きな構造変化です。
僕は外に出て改めて、リクルートの強さは「稼ぐ力を高める仕組みを作る力」だと思いました。
**
日本は人口が減っています。
働き手も減っています。
中小企業や店舗は人手不足です。
採用も難しい。
業務も複雑。
価格転嫁も簡単ではない。
現場は忙しいのに、経営改善に時間を使えない。**
この状況で必要なのは、
単に人を増やすことではありません。
一人あたり、1店舗あたり、1社あたりの付加価値を上げることです。
つまり、稼ぐ力を高めることです。
リクルートは、ここにかなり本気で向き合っている会社だと思います。
人材領域では、採用プロセスを効率化し、企業がより速く人を採れるようにする。
美容領域では、HOTPEPPER BeautyとSALON BOARD、AI経営相談、GMV連動モデルを通じて、サロンの売上向上と生産性改善に踏み込む。
飲食、旅行、住宅などでも、マッチングと業務支援を通じて、企業クライアントの収益機会を広げる。
Airビジネスツールズでは、店舗や中小企業の業務負荷を下げ、経営改善に使える時間とデータを生み出す。
これが、リクルートの今の凄さです。
リクルートは、
**個人に選択肢を届ける会社であり、
企業に機会を届ける会社であり、
日本中の企業クライアントの稼ぐ力を高める会社です**。
という企業分析をしてみました。
余談ですが、
昔担当していた企業の人事も転職活動の時にリクルートを受けたことがあるらしく、最終面接で面接官が話してくれた内容が今の人生の糧になっている。と言っていました。
個人情報保護の観点で伏せますが、リクルートの役職者は本当にすごい方が多いです。
辞めた今でもいい会社だったなと思います。興味があるかたは受けてみてください。応援しています。
※リファラルとかないですごめんね^^
今はRPOや、個人の転職支援とかをやっています。
興味がある方は気軽にお問い合わせください。真面目にやれます。
▼こちらよりお問い合わせください。





