DeNA 南場智子会長に学ぶ、天才的な AI プロンプト活用術

@ai_ai_ailover
日本語2 日前 · 2026年7月08日
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TL;DR

本記事では、DeNA における南場智子氏の「AI ファースト」な経営ビジョンを詳説します。組織の再設計や具体的なプロンプトワークフローを通じて、人間の労力をルーチンワークから創造的な「起点」へとシフトさせる手法に焦点を当てます。

「便利ツール」ではなく、会社のOSをAI前提に作り替える

2026年7月時点で、DeNA公式の役員ページは南場智子氏を「代表取締役社長 兼 CEO」と掲載している。なお、2025年から2026年春にかけての講演や記事では「代表取締役会長」として登場しているため、この記事では公開講演時の発言をベースにしつつ、現在の肩書きに合わせて「DeNA社長・南場智子氏」として整理する。DeNA公式サイトの代表メッセージでも、南場氏はDeNAを「永久ベンチャー」と位置づけ、ゲーム、スポーツ、ライブコミュニティ、タクシー、まちづくりなど、特定の業種ではなく「新しいDelightを創造する挑戦」そのものを本業と語っている。

公開情報に出てくる具体的なAIツール名は原則として「AI」に置き換える。重要なのは、どのツールを使うかではない。南場流の本質は、AIを使って仕事を速くすることではなく、仕事の流れ、組織、人材配置、事業の作り方そのものをAI前提に変えることである。

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https://docs.google.com/document/d/1LRXiSARp2K9ffNoUlXIRSaKLyl3-GXB1muzz2G8-5e8/edit?usp=sharing

1. 南場流AI活用の本質は「自分で使い倒して、組織を動かす」こと

南場氏のAI活用で最も重要なのは、経営トップ自身がAIに触れている点だ。2025年のDeNA講演で南場氏は、劇的な生産性向上にはAIを中心に業務を組み替える必要があり、それは痛みを伴う改革でもあると語っている。そのうえで、経営者は「大事だから使って」と号令をかけるだけではなく、自らAIを使い倒し、その可能性に感激し、興奮し、その熱量を改革のエネルギーに変える必要があると述べている。

ここが多くの企業と違う。普通のAI導入は、情報システム部門やDX部門がツールを選び、現場に研修を配り、利用率を追う。南場流は逆だ。まずトップが「これは仕事の質が変わる」と腹落ちする。次に、現場のキーパーソンを巻き込み、成功体験を作る。最後に、人事評価、業務フロー、新規事業、投資、組織設計まで変える。

つまり、南場流のAI活用はこうだ。

AI導入ではない。AI前提の経営への作り替えである。

2. DeNAの「AIオールイン」は、単なる効率化ではない

DeNAは2025年に「AIにオールインする」と宣言した。南場氏は当時、約3000人で運営している現業を、半分の人員で維持するだけでなく成長させ、残りの人材を新規事業へ振り向ける構想を語っている。さらに、新規事業は一つではなく、10人1組でユニコーンを量産するようなイメージで攻めると説明した。

ここで誤解してはいけない。これは「人を減らしたい」という話ではなく、人間を薄い作業から解放し、創造的な仕事へ移すという話だ。南場氏は、クラウド移行によってエンジニアがサーバーのお守りから解放され、創造的な仕事に集中できるようになった経験を引き合いに出し、AIシフトでは全社員が指示通りにやる仕事から解放され、創造的な仕事にフォーカスできるようになると語っている。

この発想が天才的だ。多くの会社はAIを「コスト削減ツール」と見る。南場流は違う。

AIで空いた時間を、未来の事業に再投資する。

つまり、AI活用のゴールは「楽になること」ではない。楽になったぶん、もっと大きい勝負に出ることだ。

3. 南場流・個人のAI活用は「会う前・会っている間・会った後」を全部変える

南場氏は、経営者としてミーティングが多く、毎週のように初対面の人に会うと語っている。その準備にAIを使い、相手の必読記事、動画、SNS発信などを集め、AIに読み込ませ、移動中にAIと対話しながら相手の最近の考え方や関心領域を把握する流れを紹介している。会議では相手の許可を得たうえでAIに記録・整理を任せ、会議後には議事録やToDoリストをすぐに得る。投資判断の前にもAIで徹底的に下調べをするという。

この使い方は、単なる「時短」ではない。ミーティングの質そのものを変える。

AIなしの会議準備は、だいたいこうなる。

相手の会社サイトを見る。

SNSを少し読む。

ニュースを数本読む。

時間がなければ何となく会う。

会議中に相手の話を聞きながら理解する。

終わった後に記憶でメモを書く。

南場流はこうだ。

会う前にAIで相手の思想・実績・関心・最近の発信を把握する。

移動中にAIへピンポイント質問をする。

会議中はメモではなく対話に集中する。

会議後はAIが議事録とToDoを整理する。

次の判断や投資検討もAIで追加調査する。

この差は大きい。会議が「情報収集の場」から「意思決定の場」に変わる。

そのまま使えるプロンプト:初対面ミーティング準備

これから以下の人物と初めて会います。

公開情報をもとに、会議前に押さえるべき情報を整理してください。

相手

[氏名・会社名・役職・URL・記事・SNS投稿など]

出力

  1. 相手の最近の関心テーマ
  2. 重要な発言・主張
  3. これまでの実績
  4. 相手が大事にしていそうな価値観
  5. 私との接点になりそうな話題
  6. 会議で聞くべき質問10個
  7. 避けた方がよい話題
  8. 最初の5分で話すべき導入

4. AI会議術の核心は「記録」ではなく「集中」である

多くの人は、AI議事録を「メモを取らなくて済む道具」と考える。しかし南場流に見るべきポイントは、そこではない。

会議をAIに記録させる本当の価値は、人間が相手の表情、言葉の温度、違和感、意思決定の兆しに集中できることだ。

メモを取りながら会話すると、人間の注意は分散する。特に経営、投資、採用、商談、提携のような場面では、相手が何を言ったかだけでなく、何を言わなかったか、どこで迷ったか、どこに熱が入ったかが重要になる。AIが記録と整理を担当すれば、人間は「場を読む」仕事に戻れる。

AI会議プロンプト

以下は会議の文字起こしです。

単なる議事録ではなく、次のアクションに使える形に整理してください。

出力

  1. 決定事項
  2. 未決事項
  3. 各参加者の関心・懸念
  4. 会議中に出た重要な数字・固有名詞
  5. ToDoリスト:担当者・期限・優先度つき
  6. 次回会議で決めるべきこと
  7. 会議では明言されなかったが、確認すべきリスク
  8. 私が今すぐ送るべきフォローアップ文面

AI議事録を入れるだけなら誰でもできる。南場流にするなら、議事録を意思決定メモに変える必要がある。

5. AIで「企画書」から「プロトタイプ」へ移る

DeNAのAI活用で象徴的なのは、企画書中心の文化からプロトタイプ中心の文化へ移ろうとしている点だ。DeNAの公開記事では、AIエージェントを使いこなせるようになった部門では、新しい企画や業務改善について「企画書ではなくプロトタイプを見せて」というコミュニケーションが生まれ、紙の企画書よりも認識のズレが少なく、使ったときの違和感も検証できるようになったと説明されている。

これは非常に重要だ。AI時代に、企画書だけで会議を重ねる会社は遅くなる。なぜなら、AIを使えば、アイデアをすぐに動くもの、画面、デモ、試作品、業務フロー、ダッシュボード、提案書、動画、LP、アプリの雛形にできるからだ。

これからの強い会社では、会議でこう言われる。

「説明は分かった。AIでプロトタイプを作って見せて」

この文化になると、議論が変わる。

抽象論ではなく、触って判断する。

好みではなく、ユーザー反応で判断する。

上司の声ではなく、実物の違和感で判断する。

「できるかどうか」ではなく、「試したらどうだったか」で判断する。

プロトタイプファースト・プロンプト

以下の企画を、文章の企画書ではなく、検証できるプロトタイプ案に変換してください。

企画

[企画内容]

出力

  1. 最小プロトタイプの形
  2. 1日で作れる検証版
  3. 1週間で作れる検証版
  4. ユーザーに見せる画面・資料・導線
  5. 検証したい仮説
  6. 成功指標
  7. 失敗した場合に学べること
  8. AIに作らせるべき素材一覧

AI時代の企画力とは、うまい企画書を書く力ではない。

すぐ見せられるものに変える力である。

6. 「小さな勝利」から業務フロー全体を組み替える

DeNAのAI活用は、いきなり全社の業務を大きく変えるのではなく、小さな領域で確かな成功体験を積み重ねる方針を取っている。公開記事では、配信審査の一部にAIを導入して人による審査工数を60%削減した事例、外部サービス利用規約レビューでAIが判断に迷った場合だけ人が対応するプロセスを導入し、人によるレビュー工数を70%削減した事例が紹介されている。

さらに2026年の報道では、開発プロジェクトの一部で95%の作業をAIが代替したこと、AIを前提に業務フローを改善してリーガルチェックを90%効率化したことなども報じられている。別媒体でも、プロジェクトによっては人が5%、AIが95%となり、生産性が20倍になったケースや、一部業務で60%削減、業務によっては90%の効率改善が実現したと伝えられている。

ここから学べるのは、AI導入の順番だ。

いきなり「全社AI化」ではない。

まず、AIが勝ちやすい業務を見つける。

次に、人間の判断が必要な部分とAIに任せる部分を分ける。

そして、成果を数字で出す。

最後に、業務フロー全体をAI前提に組み替える。

業務フロー再設計プロンプト

以下の業務を、AI前提で再設計してください。

現在の業務フロー

[手順を書く]

制約

  • 品質を落とさない
  • 法務・セキュリティ・個人情報に注意
  • 人間の最終責任を残す
  • まず小さく試せる範囲にする

出力

  1. AIに任せる作業
  2. 人間が必ず判断すべき作業
  3. AIが迷ったときだけ人間に回す作業
  4. 1週間で試せる小さな実験
  5. 成功指標
  6. 想定されるリスク
  7. 導入後の新しい業務フロー
  8. 削減できる工数の仮説

南場流では、AIは既存業務に足すものではない。

AIを前提に、業務そのものを組み替えるものだ。

7. AI人材を「気合い」ではなく、評価制度で育てる

DeNAは、AI活用を一部の詳しい人だけに任せていない。全社員へのAI導入、AIエキスパートチームによる支援、独自のAIスキル評価指標を組み合わせている。公開記事では、AIエキスパートチームが事業インパクト、品質、セキュリティ、法務、データガバナンス、使い勝手、コスト、サポート体制などの観点でAIを評価し、その結果を社内に公開していることが説明されている。また、AI活用能力をレベル1から5で可視化する独自指標を導入し、単にAIを知っていることではなく、実際に使い倒して個人や組織の成果に貢献した実績を評価に反映している。

これは非常に実務的だ。AI活用を「頑張ろう」で終わらせる会社は失敗する。人は、評価されない行動を続けにくい。だから南場流では、AIを使えることをスキルとして定義し、成果につながったかを見る。

この発想を個人に落とすなら、自分用のAI活用レベルを作るといい。

レベル1:AIに質問できる。

レベル2:文章、要約、翻訳、議事録に使える。

レベル3:自分の業務フローの一部をAI化できる。

レベル4:AIを前提に業務のやり方を変えられる。

レベル5:自分だけでなく、チーム全体の成果をAIで上げられる。

AI活用レベル診断プロンプト

私のAI活用レベルを診断してください。

私の仕事内容

[仕事内容]

現在のAI活用

[使っている場面を書く]

診断してほしい観点

  1. ただの時短に留まっていないか
  2. 業務フローを変えられているか
  3. 成果物の質が上がっているか
  4. チームに展開できているか
  5. 評価される実績につながっているか

出力

  • 現在レベル
  • できていること
  • 伸ばすべきこと
  • 明日から試すAI活用3つ
  • 1カ月後に目指す状態

AI時代の人材評価は、「AIを使ったか」では足りない。

AIで成果を変えたかが問われる。

8. 社長の思考をAI化する

DeNAの公開記事には、社長や事業責任者の考えをAIに学習させ、社員がいつでも質問できるようにする仕組みも紹介されている。社長は常に忙しく、全社員が同じタイミングで直接質問することは難しい。しかし、社長の考え方を学習したAIがあれば、社員は遠慮なく質問でき、経営方針の一貫性も高められる。導入した子会社の社長からは、自分の考えをAIに入れる過程で、普段いかに考えが整理されていなかったかに気づいたという声も紹介されている。

これは、単なる社内チャットボットではない。

経営思想のインフラ化である。

強い組織では、トップの判断基準が現場に浸透している。弱い組織では、現場が「これは社長ならどう考えるだろう」と毎回迷う。AIを使えば、トップの思想、過去の発言、経営方針、判断基準、顧客観、採用観、プロダクト観を、いつでも参照できる状態にできる。

ただし、これは危険もある。AIが社長の代わりに最終判断をするわけではない。AIは「この会社ではどう考えるべきか」を整理する補助線であり、責任は人間が持つ必要がある。

経営思想AIプロンプト

以下の資料をもとに、私の判断基準を整理してください。

入力資料

  • 過去の社内メッセージ
  • 経営方針
  • 採用方針
  • プロダクト方針
  • 顧客への約束
  • 過去の意思決定事例

出力

  1. 私が大事にしている価値観
  2. 意思決定で優先する基準
  3. やるべきでないこと
  4. 社員が迷ったときの判断原則
  5. よくある質問への回答集
  6. AIが答えてよい範囲
  7. 必ず本人確認が必要な範囲

南場流で見るべきなのは、AIを「社員の代わり」にするのではなく、組織知を配る道具として使っている点だ。

9. AI時代の事業戦略は「アプリケーションレイヤー」を狙う

南場氏は、生成AIの産業構造を、チップ、コンピューティングインフラ、基盤モデル、開発ツール、アプリケーションレイヤーに分けたうえで、DeNAはアプリケーションレイヤーを狙うと語っている。理由は、エンドユーザーに直接触れ、具体的なユースケースやニーズを受け止め、それを付加価値に変えられるのがアプリケーションレイヤーだからだ。

これは個人にもそのまま使える。AI時代に価値があるのは、巨大モデルそのものを作ることだけではない。むしろ、多くの人や企業にとっての勝ち筋は、現場の細かい痛みを理解し、それをAIで解決するアプリケーションを作ることだ。

南場氏はB向けでは、特定業界・特定業務に深く入り込むAIエージェント領域を重視し、スポーツ、施設運営、ヘルスケア、メディカルなど、DeNAが業務知識や事業運営上のアセットを持つ領域から立ち上げる方針を語っている。C向けでは、エンタメ、コミュニティ、孤独の解消、ゲームなど、没入感や人間らしい感動に関わる領域への関心を示している。

ここから導ける南場流の事業発想はこうだ。

モデルそのものでは勝負しない。

AIの上に乗る。

顧客の近くに行く。

業界特有の面倒を見つける。

AIでワークフローを作り替える。

深い業務知識を競争力にする。

AI事業アイデア発見プロンプト

私の業界で、AIアプリケーションとして事業化できる領域を探してください。

業界

[業界を書く]

私たちの強み

[顧客接点、データ、業務知識、販売チャネル、ブランドなど]

出力

  1. 顧客が毎日困っている業務
  2. 既存AIでは解きにくい業界特有の課題
  3. AIで置き換えられる作業
  4. 人間の判断を残すべき作業
  5. 最初に作るべき小さなAIプロダクト
  6. 競合との差別化
  7. 収益モデル
  8. 3カ月で検証する計画

AI時代の新規事業は、「すごい技術」からではなく、具体的な現場の痛みから始まる。

10. 「速さ」がプロダクトの参加資格になる

2026年のDeNA AI Dayで南場氏は、AIエージェントが民主化した1年を振り返り、開発エンジニアの仕事が大きく変わったこと、生産性向上だけでなく「中途半端な専門性」や「スピード感のないプロダクト」に厳しい現実が突きつけられていることを語ったと報じられている。

これは厳しいが、現実的だ。AIによって、開発、資料作成、分析、顧客対応、営業準備、法務確認、採用広報などのスピードが上がる。そうなると、単に「頑張っている」「丁寧にやっている」だけでは競争に参加できない。顧客の反応を見て、すぐ直し、すぐ出し、すぐ検証し、また直す会社が勝つ。

AI時代のプロダクト競争では、次の力が重要になる。

速く作る。

速く試す。

速く捨てる。

速く学ぶ。

速く直す。

速く顧客に戻す。

ただし、速いだけでは危険だ。南場流の速さは「雑に出す」ではない。AIと人間の役割を分け、AIで作業を加速し、人間が責任、価値判断、顧客理解、倫理、ブランドを担う。

速さ診断プロンプト

私たちのプロダクト開発がAI時代のスピードに対応できているか診断してください。

現在の開発フロー

[企画、設計、開発、レビュー、リリース、検証の流れ]

出力

  1. 遅くなっているボトルネック
  2. AIで短縮できる工程
  3. 人間が時間をかけるべき工程
  4. プロトタイプ化できる箇所
  5. 意思決定が詰まる原因
  6. 1週間で改善できること
  7. 3カ月で変えるべき組織習慣

AI時代の速さとは、作業速度ではない。

学習速度である。

11. AIは「仕事を奪う」のではなく、「薄い仕事」を消す

南場氏は、AIが指示通りに動いてくれる未来においても、起点は人間であり、物事を起こす意思、夢中になる力、欲求や欲望が重要になると語っている。薄い仕事はコンピュータ任せになるため、意思を持って何かを始める「起点力」が重要になるという見方だ。

これは、AI時代のキャリア論として非常に鋭い。AIに置き換えられやすいのは、単純作業だけではない。目的が曖昧でも、過去の型に沿って何となく処理していた仕事は置き換わる。逆に、価値が上がるのは、問いを立てる仕事、顧客の痛みを見つける仕事、仲間を巻き込む仕事、責任を取る仕事、強い意思から始まる仕事だ。

AIにできることが増えるほど、人間に残る仕事は濃くなる。

だから、南場流のAI活用では「AIを使いこなせる人」よりも、AIに何をやらせたいかを持っている人が強い。

起点力プロンプト

私はAI時代に、自分の仕事の価値を高めたいです。

以下の情報をもとに、私が持つべき「起点」を整理してください。

私の経験

[経験]

私が怒りや違和感を持っていること

[課題意識]

私が夢中になれること

[関心]

私が使える資産

[スキル、顧客、データ、人脈、ブランド]

出力

  1. 私が始めるべきテーマ
  2. AIに任せるべき作業
  3. 人間である私が担うべき価値
  4. 小さく始める方法
  5. 事業化・キャリア化する道筋

AI時代に必要なのは、AIに命令する力だけではない。

何を始めるかを決める力だ。

12. AIエキスパートチームを作るなら「便利ツール紹介係」にしてはいけない

DeNAでは、AIエキスパートチームが各事業部を支援し、AIの評価、活用支援、ナレッジデータベース構築を担っている。評価観点には、事業インパクト、品質、セキュリティ、法務、データガバナンス、使い勝手、コスト、サポート体制などが含まれる。

これを一般企業に置き換えると、AI推進チームの役割は「おすすめAIツールを紹介すること」ではない。そうではなく、事業成果につながるユースケースを見つけ、現場に入り、業務フローを変え、リスクを管理し、成果を定量化し、他部門に展開することだ。

悪いAI推進チームはこうなる。

「このAIが便利です」

「研修を受けてください」

「利用率を上げましょう」

「プロンプト集を配ります」

強いAI推進チームはこう動く。

「この業務はAIで60%削れます」

「このチェックはAIが迷った場合だけ人間に回しましょう」

「この部門の成功事例を、次は法務と人事に展開しましょう」

「このAIは便利ですが、データガバナンス上は使えません」

「このユースケースは事業インパクトが小さいので優先しません」

AI推進チーム設計プロンプト

社内にAI推進チームを作りたいです。

単なるツール紹介ではなく、事業成果に直結するチーム設計にしてください。

会社情報

[業種、人数、主要業務、課題]

出力

  1. AI推進チームのミッション
  2. 必要な役割
  3. 各部門への支援方法
  4. AIツール評価基準
  5. セキュリティ・法務・データ管理のルール
  6. 成功事例の作り方
  7. 3カ月ロードマップ
  8. 評価指標

AI推進は、IT導入ではなく経営改革である。

13. DeNA流AI活用を個人に落とす「1日の型」

南場流を個人の1日に落とすと、こうなる。

朝、AIに今日の予定を読ませる。

初対面の相手についてAIに調べさせる。

会議ごとに論点と質問を作らせる。

移動中にAIと壁打ちする。

会議中はAIに記録を任せ、人間は対話に集中する。

会議後にAIでToDoとフォロー文面を作る。

意思決定前にAIで追加調査する。

1日の終わりに、AIに「今日の学び」と「明日の優先順位」を整理させる。

南場流・1日運用プロンプト

今日の予定をもとに、AIを使って生産性と仕事の質を最大化したいです。

今日の予定

[予定一覧]

出力

  1. 各予定の目的
  2. 事前準備すべきこと
  3. AIで調べるべきこと
  4. 会議で聞くべき質問
  5. 会議後に作るべき成果物
  6. 今日の最重要意思決定
  7. やめるべき作業
  8. 明日に回してよい作業

これを毎日やるだけで、AIは「たまに使う便利ツール」ではなく、仕事の司令塔になる。

14. DeNA流AI活用を会社に落とす「90日ロードマップ」

DeNAは2026年3月に「AIオールイン」宣言から1年の成果を示すイベントを開催し、開発、品質管理、業務改革、ゲーム、スポーツ、需要予測、HRなど、複数領域でAI活用事例を公開している。イベントページでは、AIによる効率化と創造性の両立を追求し、深層から変革を進めてきた成果を見せる場として説明されている。

これを普通の会社が真似するなら、90日でこう進める。

1〜30日目:社長と幹部が使い倒す

まず、経営陣がAIを毎日使う。会議準備、議事録、リサーチ、採用、営業、法務、経営企画、プロトタイプ作成に使う。ここで大事なのは、社長が「これは便利だ」と本気で感じることだ。南場氏も、トップがAIの可能性や便利さを実感し、興奮する会社の方が変革は速く進むと語っている。

31〜60日目:小さな勝利を作る

いきなり全社展開せず、AIが効きやすい業務を3つ選ぶ。たとえば議事録、問い合わせ分類、法務レビュー、営業資料作成、採用候補者調査、経費チェック、品質管理などだ。目標は「AIを使った」ではなく、「工数が何%減った」「差し戻しが何件減った」「リードタイムが何日短くなった」と数字で出すこと。

61〜90日目:業務フローと評価制度に入れる

成功したら、AI活用を個人の努力ではなく業務フローに組み込む。AIを使うことを標準手順にし、AIが迷ったときだけ人間が見る設計にする。さらに、AIで成果を出した人を評価する。DeNAがAIスキルを可視化し、成果への貢献を評価に反映している点は、一般企業にも応用できる。

90日ロードマップ生成プロンプト

自社をAI前提の組織に変える90日ロードマップを作ってください。

会社情報

[業種、社員数、主要業務、現状課題]

条件

  • まず経営陣が使う
  • 小さな成功体験を作る
  • 業務フローを変える
  • 評価制度に反映する
  • セキュリティと法務を守る
  • 現場が使い続けられる設計にする

出力

  1. 1〜30日目にやること
  2. 31〜60日目にやること
  3. 61〜90日目にやること
  4. 成功指標
  5. 失敗しやすいポイント
  6. 必要な体制
  7. 社長が毎週確認すべきこと

15. 新規事業では「10人でユニコーン」を本気で狙う

南場氏は、AI時代には1人で10人分の仕事ができる時代になっていると語っている。さらに、10人1組でユニコーンを量産する構想、AIスタートアップのM&A、社内事業の独立支援にも触れている。

2026年6月のDeNA公式ニュースでも、DeNAはIVS2026で南場氏の登壇やブース出展を行うと発表し、スタートアップ起業家が南場氏に直接ピッチし、事業の壁打ちを受けられるサイドイベントも案内している。さらに、AI領域の起業家・スタートアップ向け交流イベントも用意されている。

ここから見えるのは、DeNAがAIを「社内効率化」に閉じていないことだ。AIで現業を軽くし、そこで生まれた余力を、スタートアップ、M&A、スピンアウト、新規事業へ流す。これは、組織全体をベンチャー創出装置に変える発想である。

10人ユニコーン構想プロンプト

10人以下のチームで、AIを前提に大きな事業を作る構想を考えてください。

領域

[業界・テーマ]

チームの強み

[メンバーのスキル、顧客接点、データ、業務知識]

出力

  1. 狙うべき顧客課題
  2. AIで10倍効率化できる業務
  3. 最初のプロダクト案
  4. 10人の役割設計
  5. AIに任せる業務
  6. 人間が持つべき専門性
  7. 収益モデル
  8. 3カ月で作るMVP
  9. 1年で狙う成長シナリオ

AI時代の少人数チームは、人数が少ないことが弱みではなくなる。

AIを使えない大組織より、AIを使い倒す10人の方が速い。

16. 南場流AI活用の7原則

原則1:社長がまず使い倒す

AI導入は現場任せにしない。社長、役員、部長が毎日使う。会議準備、資料作成、意思決定、投資判断、採用、営業、法務、プロトタイプ作成で使う。トップが興奮していないAI改革は、現場に熱が伝わらない。

原則2:AIを既存業務に足すのではなく、業務をAI前提に組み替える

「今の作業をAIで少し速くする」では不十分。AIが一次判断し、人間が例外と最終責任を見る。AIが資料を作り、人間が意思と判断を入れる。AIが調べ、人間が決める。この分担に業務フローを作り替える。

原則3:企画書ではなくプロトタイプを出す

AI時代に、長い企画書だけで勝負するのは遅い。AIで画面、デモ、LP、ダッシュボード、業務フロー、提案資料、試作品を作る。会議では説明よりも「触れるもの」を出す。

原則4:小さな勝利を数字で出す

「AIを使っています」では意味がない。工数60%削減、レビュー70%削減、チェック90%効率化、開発95%代替のように、成果を数字で示す。数字が出ると、社内の空気が変わる。

原則5:AIスキルを評価に入れる

AIを使える人が評価されない組織では、AI活用は定着しない。AIで自分の成果を上げた人、チームの成果を上げた人、業務フローを変えた人を評価する。

原則6:人間の価値を「作業」から「起点」に移す

AIは作業を速くする。だから人間は、何をやるべきか、誰のどんな痛みを解くべきか、どんな未来を作りたいかを持たなければならない。AI時代に価値が上がるのは、意思を持って始める人だ。

原則7:効率化で終わらせず、新規事業へ再投資する

AIで空いた時間を休憩だけに使うのではなく、未来の事業に投資する。既存事業を軽くし、新規事業、スタートアップ連携、M&A、スピンアウトへ人材と資本を振り向ける。これがDeNA流の「AIオールイン」だ。

17. そのまま使える南場流AIプロンプト集

  1. 社長・役員向け:今日のAI秘書プロンプト

あなたは私のAI参謀です。

今日の予定をもとに、私の仕事の質とスピードを最大化してください。

今日の予定

[予定一覧]

出力

  1. 各予定の目的
  2. 事前に読むべき情報
  3. 相手ごとの重要論点
  4. 会議で聞くべき質問
  5. 決めるべきこと
  6. 会議後のToDo
  7. AIに任せる作業
  8. 私が直接やるべき判断
  1. 初対面相手の事前調査プロンプト

以下の人物について、会う前に把握すべき情報を整理してください。

相手情報

[名前、会社、役職、URL、記事、SNS投稿など]

出力

  1. 経歴
  2. 最近の活動
  3. 重要な発言
  4. 価値観・関心領域
  5. 私との接点
  6. 会話の切り口
  7. 聞くべき質問
  8. 会議で避けるべき論点
  1. 投資・提携判断プロンプト

以下の会社について、投資または提携を検討しています。

意思決定に必要な材料を整理してください。

対象会社

[会社名・URL・資料]

出力

  1. 事業概要
  2. 市場規模
  3. 顧客課題
  4. 競合
  5. 強み
  6. 弱み
  7. 事業リスク
  8. 経営チームの論点
  9. 追加で確認すべき質問
  10. 投資・提携判断の仮説
  1. AI業務改革プロンプト

以下の業務をAI前提で作り替えてください。

現在の業務

[業務内容]

現在の課題

[時間がかかる、ミスが多い、属人化しているなど]

出力

  1. AIに任せられる作業
  2. AIが一次判断できる作業
  3. 人間が最終判断すべき作業
  4. 例外処理
  5. 新しい業務フロー
  6. 必要なルール
  7. 工数削減の仮説
  8. まず1週間で試す実験
  1. プロトタイプ生成プロンプト

以下の企画を、会議で見せられるプロトタイプにしてください。

企画

[企画内容]

出力

  1. 1日で作る最小プロトタイプ
  2. 画面構成
  3. ユーザーの利用シナリオ
  4. 検証したい仮説
  5. 成功指標
  6. ユーザーに聞く質問
  7. 次に作るべき機能
  1. AI活用評価プロンプト

私またはチームのAI活用を評価してください。

現在の活用状況

[使っている場面]

成果

[削減時間、改善した品質、作った成果物]

出力

  1. 現在のAI活用レベル
  2. 単なる時短に留まっている部分
  3. 業務フローを変えられている部分
  4. チームに展開できる成功事例
  5. 次に伸ばすべきスキル
  6. 30日間の改善計画
  1. 経営思想整理プロンプト

私の過去の発言や資料をもとに、組織に伝えるべき判断基準を整理してください。

入力

[経営方針、社内メッセージ、採用資料、過去の意思決定など]

出力

  1. 私が大事にしている価値観
  2. 迷ったときの判断基準
  3. 優先順位
  4. やらないこと
  5. 社員が自律的に判断するための原則
  6. よくある質問への回答
  1. 新規事業探索プロンプト

AIを前提に、私たちが取り組むべき新規事業を探索してください。

私たちの強み

[顧客、データ、業界知識、技術、人材、ブランド]

市場

[対象市場]

出力

  1. 顧客が強く困っている課題
  2. AIで解決しやすい業務
  3. 既存サービスでは足りない点
  4. 小さく始めるプロダクト案
  5. 10人以下のチーム構成
  6. 初期顧客の取り方
  7. 3カ月検証計画
  8. 成功した場合の拡張シナリオ
  1. 社内AI合宿プロンプト

部門のAI活用力を一気に上げる1日合宿を設計してください。

対象部門

[部門名・人数・業務内容]

ゴール

  • AIを触って終わりにしない
  • 実際の業務改善案を作る
  • 最後にプロトタイプを出す

出力

  1. 合宿のタイムテーブル
  2. 事前課題
  3. 当日の演習
  4. 作るべきプロトタイプ
  5. 成果発表の形式
  6. 合宿後30日間のフォロー
  7. 成果指標
  1. 起点力を鍛えるプロンプト

AI時代に、私が人間として持つべき起点を見つけたいです。

私の違和感

[社会・業界・仕事でおかしいと思うこと]

私の経験

[経験]

私の強み

[強み]

出力

  1. 私が本気で取り組むべきテーマ
  2. なぜ私がやる意味があるか
  3. AIに任せる作業
  4. 人間である私が担う価値
  5. 最初の一歩
  6. 1年後の到達点

結論:南場流AI活用とは、AIで「楽をする」ことではなく、AIで「次の勝負に出る」ことである

DeNA社長・南場智子氏のAI活用術を一言でまとめるなら、こうだ。

AIで作業を減らし、人間を未来の仕事へ移す。

初対面の相手調査にAIを使う。

移動中にAIと壁打ちする。

会議記録とToDoをAIに任せる。

投資判断の下調べをAIに任せる。

企画書ではなくプロトタイプをAIで作る。

業務フローをAI前提に組み替える。

社員のAIスキルを評価する。

社長の思想をAIで組織に配る。

小さな勝利を数字で出す。

空いた人材を新規事業へ投じる。

ここまでやって、初めて「AI活用」と呼べる。

南場流がすごいのは、AIを「便利ツール」として見ていないことだ。

AIを、会社のOSを作り替える力として見ている。

AIを、現業を軽くする力として見ている。

AIを、人間を薄い仕事から解放する力として見ている。

AIを、10人で大きな事業を作るためのレバレッジとして見ている。

そして最後に残るのは、人間の意思だ。

何をしたいのか。

誰を喜ばせたいのか。

どの課題を解きたいのか。

何に夢中になれるのか。

AI時代に淘汰されるのは、人間ではない。

意思のない仕事である。

南場流AI活用の本質は、効率化ではない。

AIで時間を取り戻し、その時間を未来に賭けることである。

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