会社が数億、数十億と伸びていけばいくほど、創業者や社長は今後の成長において人材の重要性を強く感じていく。「もっと任せられる人が欲しい。自分の代わりに社員を動かしてほしい。経営まで一緒に考えてくれる右腕が欲しい」。
その手段として外からNo.2候補を探し始める経営者がいる。
しかし、ここで間違える会社は多い。
No.2は「優秀な人を採用すれば埋まるポジション」ではない。
外から完成品を買ってくる感覚で探しても、ほとんどうまくいかない。
No.2に必要なのは経歴だけではない
営業やマーケティングなら、外部から優秀な人を採用して成果を出してもらうことはできる。
しかし右腕は違う。
社長が何を考えているのか。どこまで決めていいのか。何を絶対に譲らないのか。会社が過去に何で失敗したのか。誰にどう話せば社員が動くのか。これまでに築き上げてきた企業風土や社風、各方面の信頼関係の把握。
さらに重要なのが社内からの信用である。
社員から「あの人が言うなら仕方ない」「社長がいなくても、この人なら任せられる」と認められていなければ、本当の意味でNo.2にはなれない。
肩書きを与えれば右腕になるわけではない。
外から連れてきたNo.2がハレーションを起こす理由
エージェントから紹介され、経歴も立派。見た目にも雰囲気がある。大企業や有名企業で管理職を経験している。
そういうおじさんを高い年収や年俸で採用し「この人に会社を変えてもらおう」と期待する経営者がいる。
しかし社員からすれば、昨日まで外部にいた知らない人である。
その人が突然No.2として入ってきて、高い給料をもらい、過去の成功体験を持ち込み、既存社員へ指示を始める。
当然ハレーションが起きる。
しかも外から来た本人も、その会社の状況を把握しきれていない。
前職では正しかったやり方が、今の会社でも正しいとは限らない。社員との関係も顧客との関係も、組織文化も事業ステージも違う。同じ釜の飯を食べてきた関係性もない。そう簡単に信頼関係を築けるものではない。
結果として期待したほどの成果を出さず、社内に不要なストレスだけ残して辞めていく。
こういうケースはあらゆるところで起こっている。
上場企業のプロ経営者とは条件が違う
もちろん外部招聘が成立する会社もある。
上場企業や大企業で組織が成熟し、権限や責任範囲が明確になっている会社なら、外からプロ経営者を入れて成果を出すこともできる。
会社そのものが一定程度仕組み化されているからである。
しかし年商数億、数十億のオーナー企業や成長途中の会社は事情が違う。
社長の頭の中に多くある判断基準。人間関係で回っている部分も多かったりする。役職だけではないパワーバランスもある。
会社のステージを無視して大企業の人事や組織作りを真似すると、増えるのは高い人件費と社内ストレスだけである。
右腕は時間をかけて作る
本当に強いNo.2は、長い時間をかけて社長と仕事をしている。
成功も失敗も一緒に経験する。社長から任され、失敗し、また任される。社員との信頼を積み上げる。経営判断にも段々と参加する。
その繰り返しの中で、社長が細かく説明しなくても動けるようになる。
同時に社長側も「ここまでは任せられる」「この領域は自分より彼の方が強い」と分かってくる。
これが右腕である。
だから短期間では作れない。
No.2が欲しくなってから探し始めるのでは遅い。会社が小さいうちから、将来経営を任せられる人間を見つけ、仕事と責任を渡し続ける必要がある。
「御社の右腕になります」は意味が分からない
さらに意味が分からないのが、経営コンサルタントや外部顧問が「御社の右腕になります」と売り込んでいるケースである。
経営について助言することはできる。特定の課題を解決することもできる。外部だからこそ言えることもある。
それと右腕はまったく別の話である。
月に数回打ち合わせをする外部コンサルタントが、どうやって社内のNo.2や右腕になるのか。
社員を動かし、問題が起きた時に責任を負い、社長不在でも意思決定をし、会社の将来まで背負う。
そこまでやらない人間を右腕とは呼ばない。
「御社の右腕になります」と言っている経営コンサルタントもどきは、99%無視すべきである。
まとめ
1 No.2は優秀な人材を採れば埋まるポジションではない
2 社長との共有文脈、会社への理解、社員からの信用が必要になる
3 成長途中の会社が外から右腕を手に入れようとすると、ハレーションと高い人件費だけが残る
4 本当の右腕は、長い時間をかけて仕事と責任を渡しながら社内で育てるもの
社長の右腕が欲しいなら、外を探し回るより社内を見るべきである。
今いる社員、これから入ってくる新入社員の中で、誰に仕事を任せ、誰に責任を負わせ、誰を経営まで引き上げていくのか。
No.2は探すものではない。
時間をかけて作るものである。





