【新生ムラッシュFC】運命の最終セレクションへ──世界に挑む18人の素顔
4次にわたる長いふるい落としを勝ち抜き、最終選考の舞台に立つのは18人。明日5月28日、彼らは「世界で勝てるキングスリーグ日本代表ムラッシュFC」という、16席の椅子をかけて最後のサバイバルに挑む。前回大会のチームの中心人物やプロを経験した選手など有力候補が次々と脱落していくなか、この18人だけが生き残った。
ここでは、太田監督をはじめとする首脳陣の評価とともに、彼ら一人ひとりが背負ってきた物語を紹介していく。
監督・選手が「別格」と認める主力
児玉 剛(こだま つよし) ─ 38歳・183cm

京都パープルサンガユース、関西大学を経て、京都サンガF.C./愛媛FC/モンテディオ山形/FC東京/名古屋グランパスとJリーグで16年間プレーした元プロという、チーム随一のキャリアの持ち主だ。守護神としてのセービング能力はもちろんのこと、GKでありながら「運び(足元の技術)」が別格であり、最後尾からの組み立てでチームに安定をもたらす。太田監督が「チームの軸」として絶大な信頼を寄せるのも頷ける。
特筆すべきは、その人格である。これだけの実績を持ちながら「自分はまだキングスについて知らないので教えてほしい」と、若い選手にも学ぶ姿勢を忘れない。実力と謙虚さを兼ね備えた、まさにチームの精神的支柱と言える存在だ。
横山 航河(よこやま こうが) ─ 29歳・174cm

サンフレッチェ広島ユース(Jリーグ選抜)、近畿大学(新人賞・DENSO関西選抜)を経て、現在はVOLVER OSAKAでプレー。2025ソサイチブラジルW杯メンバーにも選出された実力者だ。MIKIHOUSE FCではフットサルもこなす。
守備の安定感は18人のなかでも抜群だ。首脳陣が 「無双している」 と評するほどのパフォーマンスを披露し、最終選考まで勝ち上がってきた。狭い局面でのターンの技術は他と一線を画しており、太田監督が「なぜプロになっていないのか」と思わず唸ったほどの逸材である。
その信頼は、味方の守護神からも厚い。GKをして「コウガがいればやられる気がしない」と言わしめるほど、彼の守備はチームに絶対的な安心感をもたらしている。
中村 駿介(なかむら しゅんすけ) ─ 31歳・167cm

浦和レッズユース(2種登録)から専修大学、海外プロを経て、現在はカラスト(社会人サッカー)/N(ソサイチ)でプレー。小学校から大学まで一貫して背番号10を背負い続けてきたエリートである。その最大の武器は、圧倒的なボールキープ能力だ。
苦しい場面でも彼にボールを預ければ時間が作れ、ビルドアップが安定する。いわば中村は、それ自体が「チームの戦術」になれる選手なのだ。太田監督からは「背中で語れる選手」として、ピッチ上での統率に大きな期待が寄せられている。本人いわく「勝つまでやる」──その負けん気の強さも、彼の真骨頂だ。
攻撃・突破のスペシャリスト
宮下 豪也(みやした としや) ─ 23歳・188cm

日本ウェルネス長野高校からフウガドールすみだバッファローズへ進み、2021年にはフウガドールすみだU20でフットサル日本代表入り。バサジィ大分を経て、現在はfc vinculo(フットサル)とN(ソサイチ)に所属する、サッカー・フットサル・ソサイチを股にかける異才だ。
前回大会、宮下は背番号10と皆の期待を一身に背負って世界に挑んだ。だが、本来の持ち味を発揮できず、人生で一番悔しい敗戦を味わうことになる。ブラジルでの敗戦後は、誰とも口をきけないほど泣き崩れたという。その涙を知る者は多い。
しかし、彼はその悔しさをバネに変えた。再び「10番を背負う」という強い覚悟を胸に、今大会へと臨んでいる。188cmの長身からは想像もつかないボールタッチで相手を翻弄する1対1の能力は世界レベルである。太田監督は、彼と新戦力・白石郁哉とのポジション争いを「チームの鍵になる重要な競争」と位置づけている。雪辱に燃える若き才能が、再び世界へと牙を剥く。
白石 郁哉(しらいし ふみや) ─ 24歳・174cm

FC東京むさしから前橋育英高校。怪我から復帰した第3次セレクションで、圧倒的なパフォーマンスを披露して周囲を驚かせた。実は前回選考でも練習生として相手チームに参加し、MURASH相手に2得点を奪った実力者である。
縦への鋭い仕掛けと、カットインからのシュート精度が極めて高い。エース宮下とポジションを争う、最大のライバルである。
木戸 皓貴(きど こうき) ─ 30歳・176cm

東福岡高校から明治大学へ進み、アビスパ福岡/モンテディオ山形/ラインメール青森/ヴィアティン三重でプレーした元プロ。J2の舞台も経験し、U-18日本代表(2014)、日本高校選抜、ユニバーシアード日本代表と各カテゴリーの代表歴を誇る。現在はFUKUOKA CITY 24(ソサイチ九州一部)に所属。プロらしい「ドシッとした構え」の存在感は圧巻で、強靭な体を活かしたキープが武器だ。
そして特筆すべきは、ディフェンスとの駆け引きから裏へ抜け出す得点嗅覚である。ペナルティエリアから始まるキングスリーグ特有のオフサイドラインを攻略するうえで、彼の特徴はこの上なく適している。
桜木 蒼斗(さくらぎ あおと)

ソサイチ全国大会での活躍をスタッフが目撃し、スカウトされた追加メンバーだ。事実、桜木は所属するVOLVER大阪のソサイチ全国大会優勝に大きく貢献した。誰が見ても抜けた活躍をしていたというドリブル突破を最大の武器とする。突如現れたこのジョーカーが、最終選考でどんな輝きを見せるか注目だ。
小田 崚平(おだ りょうへい) ─ 26歳・171cm

大阪市立桜宮高校から桃山学院大学を経て、東京ベイFC(現しながわシティ)でプレー。現在は東京蹴球団(サッカー東京都一部)、てくてくキッカーズ(ソサイチ関東一部)、FC Vinculo Footsal(フットサル神奈川県3部)と3カテゴリーを股にかける異色の存在だ。キングスW杯メキシコ大会・イタリア大会・パリ大会の3大会に出場経験を持ち、2023〜2024年ソサイチ日本代表、2025〜2026年ソサイチ日本代表最終候補メンバーにも名を連ねる。
前回大会の落選という悔しさを、誰よりも努力に変えてきた男だ。その執念は、第1次セレクション・第2次セレクションを全体1位で通過したという結果が証明している。仕事と練習を両立させるストイックな姿勢、そして攻守両面での強度の高さ。泥臭く身を削るそのプレースタイルは、監督・コーチ・オーナーからも絶賛されている。本人いわく「キングスリーグにかける思いは誰にも負けない、命を懸けて戦う覚悟は出来ている」──その言葉に偽りはない。
梅津 怜央(うめつ れお) ─ 26歳・165cm

ベガルタ仙台ユースU-18(国体選抜)から東北学院大学を経て、現在は東京蹴球団(東京都社会人サッカーリーグ1部)とてくてくキッカーズ(ソサイチ関東リーグ1部)でプレーする左利き。武器はスピードと、2対1の局面で見せる高い決定力だ。ブラジル大会でもその決定力は際立っていた。1vs1で何度も相手を剥がせる技術と、取られにくいボールの持ち方が彼の真骨頂。自分で仕掛けるだけでなく、人を使うプレーも巧みな、計算できるアタッカーである。
濱本 和希(はまもと かずき) ─ 27歳・184cm

京都橘高校・京都橘大学を経て、リンドバロッサ京都(フットサル・京都府選抜)、ヴィアベンテン滋賀(サッカー)、現在はVOLVER大阪(ソサイチ日本代表・2025ブラジルW杯)に所属。さらに2025年のキングスリーグフランスW杯メンバーにも名を連ねる、サッカー・フットサル・ソサイチ・キングスの「4刀流」をすべてこなす大型フォワードだ。184cmの体格と馬力を活かし、相手を背負った時のボールキープ能力が高く、足裏を使ったパスやドリブルもできる。狭いコートでの動き方が体に染み付いている。
気合の入った泥臭いプレーでチームを鼓舞しつつ、一度ゴールが生まれれば爆発するポテンシャルを秘める。万能型のストライカーである。
技術と戦術眼に長けた実力派
谷田 光(たにだ みつる) ─ 28歳・170cm

聖和学園から新潟医療福祉大学を経て、フィンランド2部のmusan.salamaでプレー経験を持つ技巧派。現在はFC カラスト(サッカー埼玉県一部)/N(ソサイチ全国大会出場)に所属。真ん中で相手を背負い、クルクルとターンして相手を剥がす技術に長けている。加えてシュート精度も高く、攻撃の起点にも終点にもなれる選手だ。「1人で打開することを売りにしている」と本人が語る通り、独力で局面を変えられる力を持つ。
林田 大和(はやしだ やまと) ─ 25歳・178cm

駿河台大学からスペインセミプロ(5部リーグ、関東1部リーグ相当)でプレーした対人守備の職人。現在はソサイチ関東一部リーグのNES UNITEDでキャプテンを務める。スライディングの技術は非常に高く、まさに守りのスペシャリストである。センターバックだけでなくボランチやサイドバックもこなせるユーティリティ性を備え、後方からのビルドアップ能力も高い。スペイン語でのコミュニケーションも可能で、多様なバックグラウンドを持つ選手とも円滑に関係を築ける適応力も持つ。
箱崎 裕也(はこざき ゆうや) ─ 31歳・172cm

香川西高校(国体)から大阪学院大学(関西選抜)へ進み、ルート11、RAPAZ FUTSAL CLUB、VOLVER OSAKAでプレー。2024アジアカップ・2025ブラジルW杯のソサイチ日本代表にも選出された実力者だ。センスが光るオールラウンダーで、対人の強さと高いメンタリティを兼ね備え、どこのポジションでもこなせる。何より、絶対にサボることなく必要な場所に顔を出す献身性が彼の真骨頂だ。パスを出すタイミングと出しどころのセンスがあり、フットサルの動きも取り入れた賢いプレーが光る、総合力の高い選手である。
重信 圭佑(しげのぶ けいすけ)

浦和西高校出身。「なかしゅんが連れてきた、無名枠」──そんな自虐めいた一言とは裏腹に、その実力は本物だ。天才肌の技術を持ち合わせる、つかみどころのないアタッカー。飄々とした佇まいから繰り出されるドリブルとスピードで、相手選手の間をスルスルと抜けていく独特のリズムが最大の武器だ。以前にも増して駆け引きが上手くなったと評価されており、ボールを持てば局面を打開できる、変幻自在のドリブラーである。
縣 翔平(あがた しょうへい) ─ 31歳・184cm

青森山田高校(国体選抜)から中央大学(関東選抜)へ進み、現在はプラムワン(ソサイチ日本代表)に所属。キングスリーグのイタリア大会・フランス大会にも出場している経験豊富なファイターだ。ゲームを読む力と精度の高いキックが武器で、強靭なフォワード相手にも一歩も引かない対人の強さにも定評がある。何よりも、ピッチ上でどっしりと構えるその佇まい、そして本番に強いメンタルこそが彼の真価。大舞台でこそ輝きを増す、頼れる存在である。
チームを支える献身的なメンバー
江川 雅信(えがわ まさのぶ) ─ 29歳・173cm

桐蔭学園高校から、ブラジルのClub Atletico Paranaense U-20、モンテネグロのFK Sutjeska Nikšić、スウェーデンのIFK Värnamoと世界各国でプレーした稀有な経験の持ち主。帰国後はエリース東京、厚木はやぶさFC、東京ベイを経て、現在はエリース東京ジェンツ(サッカー東京都二部)でプレーする。視野の広い選手で、FWからDFまでこなす万能性を備えるが、なかでも光るのが「気が利く」プレーだ。守備ライン前でピンチを未然に摘み取り、味方が困っている場所に絶妙なタイミングで顔を出す。4次選考の合宿では太田監督から 「掃除屋」 と評された。目立たずとも、痒いところに手が届くプレーでチームを支える、欠かせない存在である。
宮内 俊輔(みやうち しゅんすけ) ─ 22歳・172cm

Fortuna SC、帝京大可児を経て、トヨタ車体、甲府レジェンズ、ROBOGATO、TOKISAI SHIN ANJOと渡り歩き、現在はoWn_nagoya(ソサイチ)でプレーする22歳。狭いコートでの戦い方を熟知しており、サイドでの仕掛けと一瞬の速さ、そして球際の強さを武器とする。切り替えの速さと豊富な運動量も持ち味だ。そして何より光るのが、誰にも負けたくないという強烈な負けん気だ。若さと闘志でチームに刺激を与える、勢いある存在である。
深谷 圭佑(ふかや けいすけ) ─ 27歳・183cm

帝京長岡高校(高校選抜)から立正大学を経て、品川CC、そしてサガン鳥栖でプレーした元Jリーガー。2024年キングスW杯メキシコ大会、2025年キングスW杯イタリア大会・フランス大会に出場し、ソサイチ日本代表にも名を連ねる、日本で誰よりもキングスリーグを知るゴールキーパーだ。シュートストップはピカイチで、本人いわく「死ぬ気でゴールを守る」覚悟を胸に最終選考に挑む。
そして、運命の5月28日へ
4次にわたるセレクションを勝ち抜いた18人。元Jリーガーの実績組から、ソサイチやフットサルから発掘された原石、前回の悔しさを糧にした雪辱組まで、その経歴は実に多彩だ。
だが、彼らに共通するのはただひとつ──「世界で勝ちたい」という渇望である。明日、この18人のうち16人が「常設メンバー」の座を掴む。新生ムラッシュFCの本当の戦いは、ここから始まる。
ムラッシュFC 奥村
編集:ネジ・野崎雅也





