SmartHRやLayerXの業績が話題だったので、他の上場トップSaaSも含めて分析してみました〜📊
SmartHRの成長発射角度は高く、今後の事業拡大も期待できる

各社のARR300億円に到達した時点のARR成長率を比較すると、SmartHRの成長率はSansan、マネーフォワード、freeeよりも高く、今後の成長も期待できます。
また、SmartHRは国内ソフトウェア投資額のうち6-7割のシェアを持つエンタープライズ領域にも参入できており、SMB中心で伸びた他SaaSよりも、今後のARPA拡大・クロスセル余地は大きそうです。
一方、ラクスの当時の成長率は+49.6%(HOYAからの勤怠管理サービス事業の譲渡がなくても+45%)でSmartHRよりも10ptほど高く、現時点の営業利益率も30%弱で高いにも関わらず、PSRは5倍程度です。
SmartHRがPSR5倍以上のバリュエーションをつけるには、非上場であるポジションをうまく利用して高い成長率を維持し、裏側で利益率も高めていけるかが重要な論点になるでしょう。
そこでポイントになってくるのが次の生産性の観点です。
売上拡大と利益創出の両立のカギになる生産性(AIを前提とした業務・組織変革)

一般的にSMBよりもエンタープライズの方が従業員1人あたりARRは高くなる傾向がありますが、SmartHRのストック生産性(= ARR ÷ 従業員数)はfreeeよりも低くなっています。
SmartHRは急成長の裏側で、売上に結びつきにくい業務や調整コストも同時に増えて、生産性を上げきれていないのではないかと推察されます。
一方、LayerXとfreeeは、直近のストック生産性を大きく改善しています。
この2社のプレスリリースやIR資料などを見ていると、共通点として「AI活用によるセールス人員の早期戦力化」「AI駆動開発による開発人件費の抑制」「再販パートナーシップの強化」が挙げられそうです。
また、外部からは見えにくいですが、「AIによる既存業務の効率化」ではなく、「AIを前提とした業務・組織の再定義」も進めているのではないかと推察していたりするので、一度お話を聞いてみたいところです。
特にLayerXは他のSaaS企業と比べるとARR規模が小さいにも関わらず、ここまで生産性を高めているのは非常に驚きです(一般的には規模の小さいSaaS企業の方がストック生産性は小さくなります)。
また、LayerXの獲得生産性(= 純増ARR ÷ 従業員数)は、他のSaaS企業よりも2倍程度高く、極めて効率的な事業投資と運営をしています。
代表の福島さんは、「車輪の再発明的なダッシュボード作り(おそらく指標作りも含んでいると思っている)やAIツール作りは飽きた」「再利用されて売上を生み出し、生産性を上げ、意思決定効率を上げ続けるものへの投資見極めが重要」とコメントしており、やめるべき活動や投資すべき活動を経営陣が解像度高く意思決定していることが、この生産性の高さにつながっているのだと思います。

まとめ
SmartHRは高いARR成長率とエンタープライズ参入により、今後のARR拡大余地は大きい。一方で、AIを前提にした業務・組織変革で生産性と利益率を高められるかが焦点。
LayerXはARR規模はまだ小さいものの、ストック生産性・獲得生産性の高さが際立つ。今後は高い生産性を維持したまま、組織とARRをどこまでスケールできるかが論点。





