IR、業績報告、市場調査、アンケート分析、研究発表。こうしたデータ中心の資料では、「映える」ことよりも比較しやすく、変化を読み取れることのほうが重要です。
それなのにAIにスライドを作らせると、なぜかカード、巨大数字、アイコン、グラデーションを使った“プレゼン映え”する方向へ寄りがちです。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。会社紹介や営業資料なら、視覚的なインパクトが役立つ場面もあります。
ただ、数字をじっくり比較したい資料では少し話が変わります。
「売上はいくらか」だけではなく、
- 前期からどう変わったのか
- どの項目との差が大きいのか
- どの系列が伸びているのか
- 全体の中でどれくらいを占めるのか
- その数字は何を基準に比較しているのか
まで追える必要があります。
そこで今回作ったのが、AIスライドを「分析資料」に変えるための〈分析資料化プロンプト|Data Laboratory〉です。
単にスライドをシンプルにするプロンプトではありません。
**「装飾する」のではなく「測定する」。
「強調する」のではなく「比較可能にする」。**
この考え方をベースに、元の資料をいったん分解し、表・グラフ・数値・注釈を分析資料として読みやすい構造へ組み直します。
「AIっぽい」の正体は、派手さだけではない
AIっぽいスライドというと、グラデーションや派手な装飾を思い浮かべるかもしれません。
でも、個人的にはそれ以上に気になるものがあります。
それが、すべての情報を同じような“部品”として処理してしまうことです。
KPIが3つあれば3カード。数字にはアイコン。重要な情報は大きく。複数カテゴリがあれば円グラフ。補足説明は「Point」の箱へ入れる。
こうすると確かに整います。
一方で、データ同士の関係は弱くなります。
本来であれば、
「この数字とこの数字を横に並べたい」
「4年間を同じ尺度で見たい」
「構成比は面積ではなく長さで比較したい」
「このページは一覧性を優先して表にしたい」
といった判断が必要です。
今回のプロンプトでは、こうした“何をどう比較するか”からレイアウトを決めるようにしています。
実例1|1枚のAI資料を、2枚の分析資料へ
まずはこちら。
Before

元の資料には、主要KPI、売上高・営業利益の推移、セグメント別構成比が1ページにまとめられています。
見た目としてはかなりAIらしい構成です。
主要数値はそれぞれカード化され、アイコン付き。下段には棒+折れ線グラフとドーナツチャート。青〜シアンのグラデーションや発光表現も多く使われています。
1ページで概要を把握する用途なら成立していますが、分析資料として見ると少し気になる点があります。
特に、異なる比較軸が1ページに同居していることです。
上段では「主要数値」、左下では「時系列」、右下では「構成比」を見ています。
全部重要ですが、読み手が同時に3種類の比較をしなければなりません。
そこで、分析資料化プロンプトではページを分割しました。
After 1|業績水準と4期推移

1枚目では「業績は4年間でどう推移したのか」に問いを絞っています。
左側に4期分の売上高と営業利益を同一グラフで配置し、右側には最新期の主要利益指標を表として整理しました。
KPIカードは使っていません。
最新値だけを巨大化するのでもなく、過去3期と同じ座標上に置くことで、現在地を時系列の中で判断できる構造にしています。
また、Figure、Table、単位、Period、Noteといった情報を小さく配置しました。
これらは装飾ではありません。
「この数字は何を示すものか」「どの期間か」「どの単位か」を追いやすくするための、分析資料としての座標です。
After 2|セグメント別売上高構成

2枚目では、元のドーナツチャートを横棒グラフへ変更しています。
ドーナツチャートは全体の雰囲気を見るには便利ですが、30.1%と20.5%のような値を精密に比較するのはあまり得意ではありません。
横棒にすると、同じ基準線から長さを比較できます。
右側には同じデータを表形式でも掲載し、売上高と構成比を正確に確認できるようにしました。
つまりこのページでは、
**グラフ=差を観察する
表=数値を確認する
**という役割分担をしています。
デザインを変えたというより、データの読み方に合わせて表現形式を変えた例です。
実例2|情報を減らさず、「読む目的」で分割する
もう1つ見てみます。
Before

こちらは損益計算書を中心とした業績ページです。
元資料には、
- 業績に関する3つのポイント
- 売上成長率
- 売上総利益成長率
- 損益計算書
- 各利益の前年比較グラフ
- 補足コメント
が1ページに入っています。
これはこれで情報量の多い実務資料なのですが、AI的なデザインを足すと、さらにKPIカードやアイコン、囲み、色面が加わり、どこを見るべきかが分散しやすくなります。
今回は情報自体を削るのではなく、「確認」と「解釈」を分けました。
After 1|損益計算書の前年同期比較

1枚目は思い切って表だけです。
売上高、売上原価、売上総利益、販管費、営業利益、経常利益、EBITDAなどを、当期・前年同期・増減・増減率で横方向に比較できるようにしています。
こうしたページでは、無理にグラフへ変換する必要はありません。
むしろ、
**同じ行を横へ追うだけで前年との差を確認できること
**のほうが重要です。
表が最適なら、表のまま使う。
これは今回のプロンプトでかなり重視している考え方です。
After 2|主要利益の変化と背景

2枚目では、営業利益・経常利益・中間純利益・EBITDAを前年同期と比較する棒グラフへ整理しています。
右側には、その変化を理解するための説明を番号付きで配置。
つまり、
**左で数値の変化を観察し、右でその背景を読む
**構造です。
Beforeでは同じページの中で表・KPI・グラフ・コメントが競合していましたが、Afterでは「数字を確認するページ」と「数字を解釈するページ」に役割が分かれました。
文字を小さくして1枚に押し込むのではなく、問いが違うならページを分ける。
これも分析資料化プロンプトの重要なルールです。
どんな資料に向いている?
このプロンプトは、何でも分析資料風にするためのものではありません。
特に相性がいいのは、数字・比較・時系列・構成比・分布などが重要な資料です。
たとえば、
- IR・決算説明資料
- 業績報告資料
- 経営会議資料
- 市場調査
- アンケート分析
- 調査報告書
- 研究発表
- 技術レポート
- KPIレビュー
- 実績・予実管理資料
など。
逆に、会社紹介、採用ピッチ、商品紹介、ブランド訴求のように、写真やコピーによる印象形成が重要な資料にはあまり向いていません。
このプロンプトが得意なのは、「見せる資料」より「読む・比べる資料」です。
メインカラーは自由に変えられる
もう1つ、今回使いやすくしたのが配色です。
Data Laboratoryというスタイル自体は固定していますが、メインカラーだけは入力時に自由に変更できます。
たとえば、
メインカラー:グリーン
メインカラー:ネイビー
メインカラー:ボルドー
メインカラー:#315C6B
のように指定できます。
背景、本文、補助線などはニュートラルな色を基本として固定し、指定した色を、
- 主要系列
- 最新値
- 基準線
- セクション番号
- 強調罫線
などへ限定して使用します。
そのため、メインカラーを変えてもデザイン全体がカラフルになりすぎません。
今回の実例ではグリーン系を使っていますが、企業カラーや資料の用途に合わせて変更できます。
使い方は「画像を入れる → 構成を確認 → 1枚ずつ生成」
使い方もシンプルです。
まず、再編集したいスライド画像を複数枚まとめて添付し、プロンプトと一緒に送ります。
その際、必要なら冒頭に、
メインカラー:グリーン
と指定します。
すると最初から画像を生成するのではなく、AIが全ページを横断して確認し、
- 何を残すか
- 何を統合するか
- 何を別ページへ移すか
- 何枚に再構成するか
- 各ページを表・グラフ・文章のどれで見せるか
を文章で提案します。
構成を確認したら、
1枚目と入力。
すると再編集後の1枚目だけを生成します。
続けて、
2枚目
3枚目
と指定していけば、1ページずつ作れます。
一度にデッキ全部を作らせるのではなく、構成と画像生成を分けるのもポイントです。
ここから先はメンバーシップ特典です
ここからは、今回使用した「分析資料化プロンプト|Data Laboratory」全文を掲載します。
メインカラーを指定して使えるようにしているので、実例と同じグリーンだけでなく、ネイビー、ボルドー、ブルーグレーなどにも変更できます。
画像を添付して、そのままプロンプトを貼り付けて使ってください。
分析資料化プロンプトはこちら↓
note:AIっぽいスライドを「分析資料」に変えるプロンプトを作った
noteメンバーシップであれば、これまで紹介してきたプロンプトやGPTsは全て利用可能であり、今後も続々追加予定です!
ランチ1回分の値段で、スライド作りが確実にラクになります。
メンバーシップ:ふじくるりのAI学習室
https://note.com/fuji_kururi/membership
ぜひご検討ください。



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